2006年09月01日

「ごくらくちんみ」を読みゃあ、珍味と酒が欲しゅうなるぜよ!

 今回は、江戸風俗研究家として有名な文筆家・杉浦日向子さんの最後の作品、「ごくらくちんみ」(杉浦日向子 著 新潮文庫)をご紹介するぜよ。ごくらくちんみ

 この作品は、98年から6年ばあ「小説新潮」に毎月連載されよった掌編小説で、ひとつの話しが僅か1300字ながよ。この文庫本のページで言うたら僅か3ページで終わるこじゃんと短い小説が、68編も載っちゅうがぜよ。

 内容は、簡単に言うたら、珍味と酒を入り口にした女と男の物語。タイトルは全部「青ムロくさや」「たたみいわし」「とうふよう」らあて、珍味名が付けられちゅうがよ。つまり68種類の珍味が登場するっちゅうことながやき。また著者の杉浦さんは漫画家でもあるきに、それぞれの珍味のイラストもご自分で書かれちょって、それも魅力ながよ。

 いろんな人の人生の様々な日常の場面にある珍味と酒。そのほんの短い風景だっけを見事に切り取って、せつのうて味わい深い、女と男の物語を見せてくれる名作ながぜよ。ある意味、このまんま珍味のCMに使やぁ名作CMとして賞をもらえそうな、そんな感じながやき。それっぱあ、珍味や酒の味わいの表現が見事で、まっこと読んだだっけでヨダレが出てくるがぜよ。例えばひとつ挙げてもうか。

「舌で上あごに、そっと押し当てると、丹念にこしたパテのように、しっとりなめらかにとけていく。豆とは思えない。が、酒を飲むと、豆のふくよかな香りが、ビロードの空飛ぶケープと化して、大吟醸を、透明な光りの岬へと誘う。浮遊感。」(くろまめ)

 どうぜよ?酒と珍味が欲しゅうなってくるろうがよ。ちゅうことで、ナントこの本の巻末にゃあ、登場した珍味のお取り寄せガイドまで付いちゅうがやき!こりゃあ珍味好き、酒好きの人は、必携の本ながぜよ。また、ワシらあ酒業界の人間にとっちゃあ、酒や珍味の表現力の勉強にもなるがやき。

 ちなみに著者の杉浦さんは、残念ながら昨年7月に46歳の若さでガンで亡くなっちゅうがよ。けんど最後に、まっことスゴイ作品を残してくれたもんぜよ。この本は、ワシにとっちゃあバイブルのひとつになったがやき。心からご冥福をお祈り申し上げますぜよ。

 ほいたら最後に68種類の珍味と、杉浦さんがそれに合わせられた酒をご紹介しちょこうか。意外な組み合わせらあもあって、なかなか面白うて、こじゃんと参考になるがやき。

「青ムロくさや」と「島焼酎」
「たたみいわし」と静岡の「純米冷酒」
「とうふよう」と「泡盛」のロック
「さなぎ」と信州の「赤ワイン」
「またたび」と50年物の「カルバドス」
「がん漬け」と「テキーラ」のダブルでロック
「ふきみそ」とぐい呑みで「熱燗」
「ふぐこぬかづけ」と「どぶろく」
「うばい」と甘口の酒のぐらぐらの「熱燗」
「からすみ」と辛口の「本醸造」
「かぶらずし」とぬる燗の「山廃純米古酒」
「このこ」と「プロセッコ」
「ふなずし」と「カルバドス」
「とうふみそづけ」と15年の「シングルバレルスコッチ」
「ほやしょうゆづけ」と最多販売銘柄日本酒の安酒
「きんちゃくなす」とはやりの「発泡酒」
「しおなっとう」と「テキーラ」と「レモンスライス」
「鮭の酒びたし」と「ブランデー」
「しおうに」と「コニャック」
「ふくしらこ」と「ひれ酒」
「あんきも」と「ひやおろし」
「にがうるか」と「焼酎」
「キャビア」とガスなしの「ミネラルウォーター」
「そばみそ」と樽の「菊正宗」熱燗
「モッツァレラ」と「スプマンテ」
「じゅんさい」
「うみたけ」と「テキーラ」のソーダ割り
「オリーブの実」と「白ワイン」(83年のガウ゛ィ)
「みみがー」と「キューバ・ハイサイ」(ルートビアとラム)
「つくだに」と炊きたての「新米」
「ばくらい」と「酒」
「氷頭なます」「鮭の皮」と「熱々燗」
「くろまめ」と「大吟醸」
「さくらくんせい」を花見の席で
「うずらのぴーたん」と「ウニクム」(甘い東欧の薬用酒)にライムを搾りお湯割り
「かつおへそ」(土佐じゃあ「ちちこ」)と「熱燗」
「わさび」と「ぬる燗」
「いぬごろし」と冷えた「白ワイン」
「瓶詰チェリー」と「ラム」
「いなご」「ざざ虫」「蜂の子」と「酒」
「くじらベーコン」とガツンと度数の高い「原酒」
「ぎんなん」と「燗酒」
「パルミジャーノ・レッジャーノ」と「プロセッコ」
「ちょろぎ」で、居酒屋で酌み交わす
「ゆべし」と「オンザロック」
「べにしょうが」と「番茶」
「きんつば」と辛口の本醸造の「熱々燗」
「さしみこんにゃく」
「リエット」と芋虫「テキーラ」
「きもやき」と「熱燗」
「ドライトマト」と軽い「赤ワイン」
「ラルド」と「ワイン」
「みんでんなす」と「純米無濾過特別限定ひやおろし」
「黒いブーダン」とスペインの「赤ワイン」
「いぶりがっこ」と「秋田の酒」ひや
「にこごり」と斗瓶囲いの「純米吟醸」
「いたわさ」と「熱燗」
「はたはたずし」で「飲む」
「きんざんじみそ」と「ビール」
「ひょうたん」と「酒」
「もうかの星」
「かつおのこ」と「芋焼酎」のロック
「貧乏人のキャビア」と「シャンパン」
「ジコイカ」と「ワンカップ酒」
「エスコカルゴ」と「池田の純米酒」
「ひずなます」と「ビール」と「缶の日本酒」
「はまなっとう」
「たてがみさしみ」と「冷酒」





ごくらくちんみ





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Posted by tsukasabotan at 08:51│Comments(7)
この記事へのコメント
杉浦日向子さん、大好きだったので、亡くなられたのがとても残念です。

「ごくらくちんみ」、ぜひ読んでみたいです。



Posted by 酔っぱライター at 2006年09月01日 13:29
酔っぱライターさん、コメントありがとうぜよ!
実はワシも、杉浦さんはガロ(マニアック!)に漫画を書きゆう頃から知っちょって、ファンやったがやき。是非一緒に酒を酌み交わしたかったがぜよ。
Posted by 竹村昭彦 at 2006年09月01日 16:39
へぇーそんな小説があるんですね。
お酒のみの僕としては読んどく必要がありますね(笑
Posted by ITおやじ at 2006年09月02日 01:44
ITおやじさん、コメントありがとうぜよ!
そうながやき。お酒好きの方はみんなあこの本を読んじょく必要があるがぜよ!
Posted by 竹村昭彦 at 2006年09月02日 07:19
面白そうなので早速読み始めました。ここに出てくるカタカナ以外の大部分は口にしたことがあるのには我ながら驚きました。私も相当のゲテモノクイだと・・・。また土佐酒道入門講座のつまみに出してください。
Posted by 原 弘道 at 2006年09月02日 11:13
原さん、コメントありがとうぜよ!
しかしサスガじゃのう!ワシも結構いろいろ
食べちゅうと思いよったけんど、
この本に紹介されちゅう珍味の、半分ばあしか
まだ食べたことないがやき。
是非全部制覇してみたいがぜよ。
Posted by 竹村昭彦 at 2006年09月02日 11:58
社長さん、素敵なご感想ありがとうございました!ワタシにはこの本はバイブルです。でもなかなか試せぬものも多く、今日は同僚に鮒寿司をいただき、カルヴァトスを買い、試すところです。大好きな司牡丹の社長さんのお墨付き、うれしいです!
Posted by ふう at 2018年10月30日 19:38