昨日は、宮崎から伊丹空港に飛んで、大阪新阪急ホテルにて正午から開催された、永谷正治先生の「お別れ会」に参加したがぜよ。
永谷先生は、元大阪国税局鑑定官室長で、ご退官後は、酒造好適米の最高峰「山田錦」の栽培技術をご研究され、全国各地に高品質な「山田錦」の栽培技術を普及されたっちゅう、ワシらあ地酒蔵元にとっちゃあ恩人中の恩人、まっこと「酒米の神様」みたいな方ながよ。
永谷先生が「山田錦」の栽培技術を普及される以前は、本場兵庫県の「山田錦」以外は、なかなか高品質なもんにゃあならんかって、他県じゃあ高品質なもんは栽培できんとされちょったがやき。それが、永谷先生のご指導のお陰で、今じゃあ徳島、滋賀、山口、広島、三重、佐賀・・・等々、西日本の各地で高品質な「山田錦」が栽培できるようになって、これまで「山田錦」をよう手に入れんかった蔵元らあも、手に入れることが可能になったがぜよ。徳島じゃあ永谷先生は、「阿波・山田錦の神様」とまで呼ばれゆうほどながよ。
意外なことに、東京農大の醸造学部らあでも、酒米の育て方らあは教えられやあせんがやき。つまり永谷先生が現れる以前は、酒米は大粒で低タンパクの酒造好適米がえいとか、「山田錦」がえいとかっちゅうだっけで、どんな育て方をしたらえい酒米ができるからあて、誰っちゃあ知らんかったし、教えてもくれんかったがよ。ただ兵庫県の一部の「山田錦」生産者らあだっけが、経験的にやりよったばあで、彼らにしたちその栽培技術は、確立されたもんやあなかったようながやき。
永谷先生は、そんな「山田錦」を筆頭とした酒米が、高品質になる栽培方法をキチンと確立され、「酒米」(〜山田錦の育て方・買い方〜)〈永谷正治 著 醸界タイムス社 刊〉っちゅう書籍まで刊行されちゅうがよ。この書籍は、地酒蔵元や酒米栽培農家にとっちゃあ、まさに福音、バイブルともいえる書籍になっちゅうがぜよ。
ちなみに司牡丹も、高知県内の農家の方々に「山田錦」を栽培してもらいゆうがやけんど、ウチの場合は、永田農法の永田照喜治先生に直接ご指導いただきゆうがやき。実は永谷先生に高品質な「山田錦」の栽培法を伝授したがは、永田先生やったがぜよ。つまり、永谷先生がご指導された各地の高品質な「山田錦」は、間接的にゃあ「永田農法」やっちゅうことながよ!そんな関係から、司牡丹も永谷先生にもお世話になるようになって、「酒米」の書籍を「山田錦」生産者の皆さんに配布さいてもうて、皆さんの実地の教科書になっちゅうがぜよ。
そんな永谷先生がお亡くなりになられたがは今年の5月5日、享年72歳をもって永眠されたがやき。ワシも風の噂でお体の具合がようないたぁ聞きおよんじょったけんど、ゴールデンウィーク明けの突然の訃報に、呆然としてしもうたがよ。酒造りの技術面も分かっちょって、高品質な酒米の栽培法も指導できる方らあて、この世に永谷先生をおいて他にゃあもはや誰っちゃあおらんがやき!まっこと、日本酒業界にとっちゃあ、痛恨事やったがぜよ。
永谷先生の密葬は、近親者の方々にて既に済まされちょって、昨日は「お別れ会」っちゅう形式の会が執り行われたっちゅう訳ながよ。それこそ全国各地から、蔵元さんや酒販店さんや酒問屋さん、国税局関係の方々から醸造機械メーカーさんやら、お酒を楽しむ会らあの方々まで、300人近い方々が集まられ、永谷先生とのお別れを惜しまれたがぜよ。永田農法の永田先生もご出席され、まっこと残念がられちょったがやき。
形式ばったことがお嫌いで、みんなあでおいしい日本酒を酌み交わしもって語り合うがが大好きやった永谷先生とのお別れは、ご参加者お一人お一人が永谷先生のご遺影と日本酒を酌み交わすっちゅう献杯方式やったがよ。まっこと永谷先生らしい、悲しくも素敵な「お別れ会」やったがぜよ。
永谷先生!先生のご遺志は、しっかりワシらあがみんなあで継いでいきますきに。天国でおいしい日本酒を飲みもって、しっかりお見守りくださいや!
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司牡丹酒造株式会社