一昨日の10月17日(水)は、「日本八壺会」(にほんはっこかい)の第69回マーケティング講座で、講座としちゃあ最終回やったがぜよ。
ちなみに「日本八壺会」ゆうたら、マーケティングの第一人者、水口健次先生(http://www.sdinst.co.jp/)が顧問を務める、日本酒蔵元12社の勉強会組織ながよ。ほんで、この会を結成した「小鼓」西山酒造の西山会長さんが、自社にて社長を息子さんに譲られて会長になられたことと、12年やってきての小休止っちゅうことで、「日本八壺会」っちゅう組織としちゃあ、今年で終了することになったっちゅう訳ながぜよ。
最終回の講座の講師は、もちろん水口先生。演題は、最終講義「選択率需要、価値営業、デライト戦略 〜世紀末から21世紀へ 水口健次12年〜」で、東京都千代田区平河町の日本都市センター会館会議室にての開催やったがよ。14時から16時までの2時間におよぶ、熱のこもった最終講義の内容を、簡単に要約すりゃあ、以下の通りやったがぜよ。
【序】挫折、卒業、出発 「Today's Answers Today」 いつも新しい解決策を追求してきました
水口先生の活動や活躍、提言や解決策を、1962年から最近までの年表にして、かいつまんでご紹介いただいたがやき。こうして見てみりゃあ、まっこと水口先生の提言は、常に時代をリードしてきちゅうことが、あらためてよう分かるがぜよ。それでも、挫折もあった、卒業もあった、あらたな出発もあったとおっしゃるがやき。ほんで以下は、これまでの水口提言の全てを、10のテーマに分けて簡単にまとめ、さらにそれぞれについての現時点での水口先生が感じちゅう「Next(ネクスト)」を、語っていただいたがぜよ。
【1】消費リーダー
●女性 団塊 エージングブーマー
●団塊格差 新しい子供達
●〈ネクスト〉キーワードは、「老いていくアジア」やっちゅうがよ。日本は1995年に「人口ボーナス」を使い果たしたっちゅうがやき。ほんであの発展著しい中国も、2015年にゃあ「人口ボーナス」を使い果たし、日本とおんなじ状況になるっちゅうがぜよ。
【2】願望、需要
●選択率需要 モノ・コト・ソリューション
●需要の再定義 サービス
●〈ネクスト〉一言で言うたら、「モノづくりとサービスの境目が消滅しもって、表はサービスになる」っちゅうがよ。J・トゥポール「サービス・ストラテジー」の指摘の通り、表と裏のどんでん返しが起こると。つまりモノづくりは裏舞台にまわり、表舞台はサービスになっていくっちゅうがやき。
【3】顧客接点
●店舗減少 接点爆発
●多次元接点 意欲店の条件
●〈ネクスト〉水口先生がネクストの中心接点として上げるがは、「宅配ビジネス」と「モバイル」やっちゅうがよ。高齢化の中で、1キロのお米さえ持てんっちゅうお年寄りは、益々増えるき、宅配ビジネスは必ず伸びるっちゅうことながやき。また、いまや高島屋の売上を奪いゆうがは、ケータイやっちゅうがよ。ケータイを電話として使いゆう人は3割したおらんがやと。モバイルで購入するクセがついちゅう今の若者は、お店で買い物をせんなってきゆうっちゅうがぜよ。
【4】チェーン店
●商品力・集客力・選択力 接点優位
●小売集中度 チェーン店の困難
●〈ネクスト〉キーワードは「モールビジネス」やと水口先生は言うがやき。男女のトイレを同数作るような人にゃあできんビジネスやっちゅうがよ。女子トイレは男子トイレの5倍必要やっちゅうがやき。結局モールは、映画館であり、郵便局であり、ケアハウスであり、市役所であり、自治体であり、学校であり、祭りであり・・・これがモールビジネスながよ。イオンは、24色のランドセルを開発してランドセル需要の3分の1を取ったっちゅう村上さんを社長に、イオンモール(株)を立ち上げたがやと。モスバーガーは、モールのためのバーガーショップはどうあるべきかを考え、モス・ファクトリーっちゅう業態を開発したがやと。
【5】商品、ブランド
●産業と商品 2つの新製品(定番革新・新価値新製品)
●NB・PB 接点のブランド化
●〈ネクスト〉ここで水口先生は、「LB(ローカルブランド)の可能性」を挙げるがよ!ある地方で、長年お客様に支持され確立されちゅうブランドがLBやっちゅうがやき。NBは安売り対象でしかのうて集客力にゃあなるけんど利益は出ん。PBはまだまだ日本じゃあしれちゅうし、浸透させるにゃあ時間がこぢゃんとかかる。その店LBは大きな可能性を秘めちゅうっちゅうがよ。宮崎の東国原知事の例を見りゃあ一目瞭然やと。デパートでも、ローソンでも、「宮崎」っちゅうコーナーがある!もはや宮崎はブランドっちゅうことながぜよ!仕掛けるがは、やっぱし知事が適任やと、水口先生は言うがやき。またカルビーは、いまLB戦略を始めゆうがやと。九州で売るポテトチップスは長崎で作ったりしゆうっちゅうかよ。カルビーのキャッチフレーズは「掘り出そう自然のチカラ」。ジャンクフードをナチュラルフードにしようとしゆうっちゅうがぜよ!新潟の地酒メーカーも、「越淡麗」っちゅう米で、全国一律の山田錦、五百万石から脱皮しょうと
しゆうがやと。ワインが土やブドウから語れるように、日本酒も土や米から語れるようにするっちゅうがよ。契約農家の田んぼに、蔵元の社長が入り始めたがやと。商品価値からやり直すっちゅうことながぜよ。
【6】営業、価値実現
●栄光のメーカー(1965〜1985年までの20年) 2つの潜在価値
●価値営業6則 取組会議
●〈ネクスト〉このテーマについちゃあ水口先生は、「ストーリーを語れるセールスマン」と「需要発生メカニズムの中の組織のキーマンと親しゅうなる」の2つを挙げるがやき。○○地区の酒需要を決めちゅう組織は、小売やったらドコソコ、居酒屋やったらドコソコ、ホテルやったらドコソコ、土産物売場やったらドコソコ、冠婚葬祭やったらドコソコ・・・ひとつひとつしらみ潰しに当たり、それぞれのキーマンと親しゅうなって、ストーリーを伝え、それぞれの接点でお客様にストーリーが伝わるようにしていくっちゅうことながぜよ。
【7】認知、選択
●認知と購買 店内決定率(日本の食品スーパーにおける店頭決定率は79%)
●サーチエコノミー(「ザ・サーチ」にある通り、ネットでの検索の普及で、もはや認知からスタートできんなった) 3つの選択
●〈ネクスト〉ここじゃあ水口先生は、「ヒアリング力・洞察力」「みんな力・社会脳」「カタリナマーケティング」をキーワードに挙げるがよ。まず「ヒアリング力・洞察力」たぁ、いまの消費者が求めるもんは、消費者自身にも知覚されてないニーズながやき。ほんじゃき、「ヒアリング力・洞察力」が必要になるっちゅうことながよ。次に「みんな力・社会脳」たぁ、ネット内にゃあ、みんなあが何かを探した結果が存在するがよ。「みんなあが○○を買いゆうみたいなき、○○を買おう」っちゅうことながやき。これが「みんな力」(書籍は新井範子著)ながよ。ほんで、その他人の選択の結果がたまっちゅう場所が「社会脳」で、この脳にたよって、自分の脳で考えて選択せんなってきゆうがやと。「ループ」っちゅうカーナビは、その道を1時間前に通った車の情報が入ってくるっちゅうがやき。続いての「カタリナマーケティング」たぁ、固有名詞の消費者がしたアクションを判断基準にして、効果的な仕掛けをするっちゅうマーケティングながよ。簡単に言うたら、
「レジクーポン」ながやき。例えば、キリン一番搾りの缶ビール1缶を買うた人にゃあ、「ありがとうございます。次はキリン一番搾りの6缶パックはいかがですか?」っちゅうて、次回割引のレジクーポンが出るとか、アサヒビール買うてレジを通過すりゃあ、キリン・ザ・ゴールのクーポンが出るとか。ちなみに若林学っちゅう方がこの権威らしいがやけんど、コカ・コーラとサントリーが彼を起用しちゅうがやと。
【8】人、組織
●ムチ・プレッシャー 組織の鼓動(組織の心臓音はRPDC。止まれば死ぬ。)
●ブラックホール 支店長
●〈ネクスト〉ここじゃあ「ミドルの危機」を挙げるがよ。何もせんミドル、何もできんミドル。やり方が変わったら年数は効かん。年数はサビになるがよ。トレーニングしかない。人の成長は、できんかったことができるようになる「スキル」の成長と、役に立つことが嬉しいっちゅう「マインド」の成長があるがやと。外部から誉められるようなシナリオを作らにゃあイカンっちゅうがやき。
【9】競争、シェア
●シェアの減価 競争の進化(競争は5種類 「なぜ企業はシェアで失敗するのか」)
●総製造:総流通(総製造対総流通の競争) PB(ウチのPB作らにゃあ棚から外す!)
●〈ネクスト〉シェアに変わるもんは、顧客満足・感動やと。ほんじゃき成長の条件は、「既存客の満足」と「新規客の期待」ながよ。価格を超えるがは、「感動・デライト開発力」しかないがやき。日本は総需要マイナスの国やき、20対80の法則(パレートの法則)が成り立つかは疑問やと。ほんじゃき、全く別の戦略、「ブルーオーシャン戦略」が必要になるがやと。競争を無意味にする市場空間を、常に準備せにゃあイカンっちゅうがぜよ。カゴメはスーパーの一般売場からはずされた時、パン売場に「モーニング」っちゅうキャンペーンで入っていったがやと。意外に競争がなかったと。また、病院内のお店らあも同様やったっちゅうがやき。水口先生は、しらみ潰しに探せっちゅうがよ。ほいたら、膨大な、価格の崩れん需要が取れるっちゅうがぜよ。
【10】マーケティング
●たったひとつの真実(消費者は全コストの負担者。消費者が負担せんコストが出始めた企業から潰れる。) 古い体質
●新しい体系(対象は、ターゲットとしての顧客→生活の主役としての顧客 戦略のリーダーは、本社スタッフ→マインドを持った接点のスタッフ)
●〈ネクスト〉水口先生は、マーケティングたぁ「ワォ!デライト!サンキュー!」の体系になるっちゅうがよ。古い4Pマーケティングから、新たな「デライトマーケティング」になると。ほんで、接点と組んだデライト戦略になるっちゅうがやき。つまり、「接点企業+メーカー」っちゅう新しい戦略主体が不可欠になるっちゅうことながぜよ!
【追加】いい本を読むと疲れが取れる
●「みんな力」(新井範子)
●「ブランドマーケティングの再創造」
●「オープン・ソリューション社会の構想」(コープ札幌はこの本!データを開示すりゃあ、大きなソリューションがもらえるっちゅうこと。)
●「民主化するイノベーションの時代」
●「ザ・サーチ」
●「サービス・ストラテジー」
【終】卒業、ネットワーク、軽く鋭く
日本八壺会はこれで終了。卒業。水口先生は、これからは決まってない時間を増やしたいとか。できるだけ軽うに、けんど鋭うに。楽しゅうて美味しい風の中で・・・。
今後の情報は、ホームページにて。(株)戦略デザイン研究所(http://www.sdinst.co.jp/)
これにて水口先生の最終講義は終了。まっこと山のようなヒント、解決策、答え、勇気をいただき、心から感謝申し上げますぜよ!
以後は、「旬どき・うまいもの自慢会」(http://umaimonojiman.jp/)打ち合わせや、次回11月の日本八壺会お別れパーティについての打ち合わせがあり、懇親会は石鍋シェフの和食店「アリスin歌舞伎」(中央区築地1-13-1 ADK松竹スクェア2F TEL:03-6226-5883)へ。持ち込みさいてもうた各社の銘酒をいただきもって、大いに食べて飲んで語り合うて、12年間におよぶ「日本八壺会」の最終講座が終了したがぜよ。水口先生、事務局の澤田さん、まっことありがとうございました!心から御礼と感謝を申し上げますぜよ!
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司牡丹酒造株式会社