「子(ね)の春や 初あきないは鼠算」〈金子直吉(俳号「白鼠」)〉
平成20年の新年、あけましておめでとうございます!今回は、子年の元旦にふさわしい「言の葉」をご紹介しますぜよ。
前記の俳句は、大正時代に三井・三菱と共に並び称された巨大商社・鈴木商店を育て上げた、高知県出身の実業家、金子直吉さんの作ながよ。明治19年に神戸で鈴木商店に雇われた直吉さんは、同27年に主人が亡くなってからは、夫人の篤い信頼を受けて経営に手腕を発揮し、めざましい活躍をするがやき。一時期は、三井・三菱を追い抜くばあの勢いやったっちゅうき、スゴイがぜよ。
彼が育てた企業や人物は、当時の日本の工業発展にこぢゃんと大きな役割を果たしたがやき。神戸製鋼所、石川島播磨重工、日商岩井、大日本製糖、帝人、昭和石油、サッポロビール・・・等々。これらあは全部、彼が育てた鈴木商店系の企業集団やったがぜよ。
ちなみに直吉さんの俳号は「白鼠」(はくそ)。白い鼠は、こぢゃんと縁起がえいとも言われ、主家に仕える献身的な家僕を意味するとも言われちゅうがやと。そんな俳号を持つ大実業家が、「子年の新春、早々の商売は鼠算式に倍増じゃ!」っちゅう句をよんじゅうがやき、こりゃ子年の新年早々まっこと縁起がえい「言の葉」ながぜよ。
また直吉さんにゃあ、もうひとつ、「初夢や 太閤秀吉奈翁(ナポレオン)」っちゅう新年の俳句もあるがやき。まっこと、土佐出身の大実業家らしい気宇壮大な句やと思わんかよ。
地域間格差が激しゅうて、経済状態が47都道府県中最下位レベルと言われゆう高知県やけんど、同郷の先達である直吉さんのような気概だっけは、失わんとおりたいもんながぜよ!