今回は『「考え方」の考え方』〜すぐれた企画は30秒で伝わる〜 (指南役 大和書房 2008年11月1日発行 1400円+税)っちゅう書籍をご紹介しますぜよ。
まず著者の「指南役」(http://www.cynanyc.com/)っちゅうんは、あのホイチョイ・プロダクションズのブレーンも務める、クリエイティブ集団の名称ながよ。これまでにも、「キミがこの本を買ったワケ」「透明人間の買いもの」(ともに扶桑社)「空気のトリセツ」(ポプラ社)らあのヒット作があるがやき。
ほんで今回の書籍は一言で言うたら、とにかくアイデア出しや企画づくりらあにゃあ、こぢゃんと役立つ、企画担当者のバイブルみたいな本ながよ。著者のプロローグでの以下の言葉(土佐弁訳)が、まさにこの本がどんな本かをバッチリ表しちゅうがやき。
「自慢するわけやないけんど、ワシゃあ今日まで、いわゆるアイデアを問うオーディションの類いに落ちたことがないがよ。学生時代は小遣いが足りんなったら、バイト気分でその種のコンテストに応募し、当たり前のように賞金をゲットしてきたがやき。特に秘訣はないがよ。アイデアを考える方法に従うて、アイデアを生み出しただっけながやき。この本にゃあ、そんなアイデアを考える方法が18通り、記しちゃあるがよ。すべてワシが日々実践しゆう方法ながやき。これさえ身につけりゃあ、誰やち容易にアイデアを生み出すことができるがよ。誰やち自転車に乗れるように、のう。」
ほんで、以下がこの本の章だてと、18のアイデアを考える方法の目次ながよ。
〈プロローグ〉アイデアマンたぁ、アイデアの「考え方」を知っちゅう人
【1章】始動 スターター・キット
〈考え方1〉はじめにゴールを見る
〈考え方2〉とりあえず書き始める
〈考え方3〉ルビッチやったらどうする?
〈考え方4〉必ず正解がある
〈考え方5〉アイデアはある日突然ノックする
【2章】環境 シチュエーション
〈考え方6〉制約はチャンス
〈考え方7〉立ち位置は関係ない
〈考え方8〉アイデアは夜作られる
〈考え方9〉機は熟す
【3章】技術 テクニック
〈考え方10〉笑えること
〈考え方11〉具体的であれ
〈考え方12〉逆転の発想
〈考え方13〉引き算の美学
〈考え方14〉積極的に模倣する
〈考え方15〉ネーミングのコツ
【4章】品質 クオリティ
〈考え方16〉タイムリミットは30秒
〈考え方17〉アイデアは美しい
〈考え方18〉最後に勝つがはオリジナル
〈エピローグ〉すぐれたアイデアは、あしたの普通
とにかく事例も豊富で、内容もこぢゃんと笑えて面白うて、文章は読みやすうて、アッちゅう間に読み終わってしまうがやけんど、実は中身は深いきに、座右に常に置いちょいて時々読みかえしたい一冊ながよ。ちなみに豊富な事例の中にゃあ、ワシがこぢゃんと世話になりゆう永田照喜治先生の永田農法(本書じゃあ緑健農法として紹介)や、坂本龍馬さんの薩長同盟らあも取り上げられちょって、ワシにとっちゃあ益々親しみを覚え、嬉しい一冊ながぜよ。
あとは是非本書を読んでくださいやと言いたいところやけんど、ひっとつだっけ、ちくと詳しゅうご紹介しちょきましょうか。〈考え方16〉の「タイムリミットは30秒」を取り上げてみますぜよ。
まず「エレベーターピッチ」っちゅうんを紹介しちゅうがよ。これは、大企業の一般社員がたまたまエレベーターで社長と二人きりで乗り合わせ、その僅か30秒の短いチャンスを生かして、自分のあたためちょった企画をプレゼンするっちゅう話ながやき。こんなこぢゃんと短い時間のチャンスを生かして認めてもらうっちゅうプレゼン術は、ビジネスマンの立身出世物語で、よう耳にする話やっちゅうがよ。ほんで、著者は断言するがぜよ。「30秒で説明できんような企画らあて、そもそもアイデアやない」と。
ほんで、最近企画書をA4用紙1枚にまとめるがが流行っちゅうけんど、ホンマにすぐれたアイデアやったら、1枚もいらん、1行の文章でえいっちゅうがやき。20世紀FOXの経営者ザナック親子は、「一行で表現できん映画はヒットせん」っちゅう鉄則を持っちょったがやと。実際、父親のダリル氏は1962年、「史上最大の作戦」に「空前の金をかけた、空前のオールスター映画」っちゅうコピーをつけて、当時の歴代1位の興行成績を残したっちゅうがやき。さらに息子のリチャード氏も'75年、「ジョーズ」を「美女がサメに襲われる映画」っちゅうて宣伝して、当時の歴代1位の興行記録を塗り替えちゅうがぜよ。確かに「ジョーズ」のポスターは、泳ぐ美女の下にサメの顎のアップがあって、今やち鮮明に記憶に焼き付いちゅうがやき。キャッチコピー、宣伝、ポスター・・・全てをシンプルなひっとつに徹底して集中させることの大切さが、よう分かる事例ながぜよ。
さらにいろんな事例を挙げて、すぐれたアイデアはシンプルやっちゅう話が展開されちゅうがやけんど、もうひっとつご紹介したいがは「トリビアの泉」の事例ながよ。あのテレビ番組のヒットの要因は、世界に類を見ん、「へぇ」っちゅうシンプルな番組フォーマットのお陰やっちゅうがよ。
実はトリビアで扱うネタはさして斬新やないっちゅうがやき。それらの多くは「雑学ネタ」として、それまでもクイズ番組らあで頻繁に用いられてきたもんやっちゅうがよ。けんど、知識を問うクイズ番組はどういたちマニアックになりがちで、幅広い視聴者を獲得するにゃあ向いてなかったがやと。そうかっちゅうて問題を簡単にすりゃあ、今度はクイズ自体の面白みが低下する。そのジレンマは半世紀以上もテレビ関係者らあを悩ませてきたっちゅうがやき。そこに「へぇ」ながよ。
「思わず人に話しとうなる雑学ネタをストレートに紹介し、そのインパクトを「へぇ」の数値で競わせる。ネタ自体の面白みを生かしもって、子供からお年寄りまで誰やち理解できるフォーマット。シンプル・イズ・ベスト。」っちゅうて、著者は絶賛するがやき。
ちなみにこの事例は、ワシらあ日本酒業界にも、こぢゃんと参考になるがやないろうか。マニアックになりがちな日本酒を、その良さを生かしもって、誰やち理解できるシンプルな、かつ「へぇ」みたいに楽しゅうて話題にしとうなるようなフォーマットに仕立て直すことができりゃあ、日本酒の復興は一気に速まるがやないろうかのう。さぁ、ちくとみんなあで考えてもうぜや!
「考え方」の考え方 すぐれた企画は30秒で伝わる
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