3月19日(木)は、日本のマーケティング界の巨星・故水口健次先生が代表を務められよった(株)戦略デザイン研究所(http://www.sdinst.co.jp/)主催の「キーパーソン戦略会議〈2008〉」第10回目の最終回が開催され、今回はキリンビール(株)の取締役営業本部営業部長の鈴木徹さんが講演されたがぜよ。
ちなみにこれまでの「キーパーソン戦略会議」についちゃあ、「2月21日」「1月16日」のブログ、昨年の「11月22日」(ワシの講演ぜよ!)「7月28日」「4月21日」のブログらあをご参照いただきたいがやけんど、このプロジェクトは水口先生がこぢゃんと思い入れられちょった最後のお仕事ながよ。いま話を聴いちょくべき10人の講師と、日本の経済界を背負って立つ有力企業のキーパーソンらあを50人ばあ水口先生が自ら選ばれ、昨年4月からスタートしたがぜよ。
さて今回も会場は千代田区平河町の「日本都市センター」会議室。15時前にゃあ、有力企業各社のキーパーソンの皆さんがズラリと集まられたがよ。今回のご出席者は約30名。まずは幹事役のカルビー(株)の長沼専務さんがご挨拶され、司会進行を担当。この日の講師、鈴木営業部長さんの略歴をご紹介されたがやき。ビール一筋30年、「ミスターキリンビール」の異名を持つがが鈴木さんながやと。さあ、いよいよキリンビール(株)の鈴木営業部長さんの講演ながよ。タイトルは、「キリンビールの戦略 〜市場創造型商品戦略と価値提案型営業戦略〜」で、約90分の講演内容は、だいたい以下の通りやったがぜよ。
まずはキリングループ全体の概要。酒類、清涼飲料をコアに、医薬、アグリバイオ、健康・機能性食品らあで、連結売上は2兆3千億、社員数2万7千人やっちゅうき、ワシらあにゃあ想像もつかんばあデカイがぜよ。ほんで、酒類が51%、飲料・食品が31%、医薬が8%、その他が10%っちゅう感じながやと。
続いては、キリングループ全体の成長戦略、「長期経営構想KV2015」について。こりゃあ、2005年に10年後どうなるべきかの憲法を作ったっちゅうことながよ。そりゃあ以下の3つながやと。
●いっつもお客様の近くで、様々な「絆」を育み、「食と健康」の喜びを提供する。
●「発酵・バイオ」「モノづくり」「リサーチ・マーケティング」の技術を統合し、独自の価値と最上の品質を追求する。
●酒類、飲料、医薬を主力事業として、アジア・オセアニアのリーディング・カンパニーを目指す。
お次は、キリンビールの概要。売上8600億で従業員数3400人。売上の68%が量販業態(SM・GMS:31.5%、CVS:13.2%1、酒DS:18.5%)で、業務店が19.6%、街の酒屋さんは8.7%やっちゅうがやき。ほんで、1870年に坂本龍馬さんと因縁深い岩崎弥太郎さんやグラバーさんらあが絡んで設立した、ジャパンブリュワリーが前身ながやと。ほんで1888年にキリンビールっちゅうブランドが誕生し、1907年に今のキリンビールの会社が誕生したがやと。
さて次は、「低迷からの復活のシナリオ」。2001年、48年間に渡るビール売上首位の座を、アサヒビールに逆転されてからの話ながやき。そん時に、まず負けを認めること、失敗を認めること、もう無理やり押し込むような売り方をせんことらあを決めたっちゅうがよ。しかし、これからは負けてばっかりはおらんと。負けたがは競合やない、お客様を見失うちょったがや!お客様の変化にキリンがついていけんと、新しい価値を提案できんかったがやと!
ほんで、お客様に期待され、期待に応えられる会社になろうと!お客様との距離を縮めることが一番大事やと!繰り返し繰り返し行動し、コミュニケーションをとろうと決めたっちゅうがやき。ほんで、2001年11月に「新キリン宣言」を発表するがぜよ。
お客様に近づこう!お客様と対話しょう!お客様の考えに耳を傾けよう!「お客様本位」と「品質本位」、「価格から価値へ」ながよ。価格軸競争からお客様視点の商品開発と提案へ、ながやき。ほんで、「酒類事業の誓い」を制定するがよ。「誰よりもお客様の近くに。そして、もっと豊かなひとときを。酒類の新しい価値を創造し、お客様が初めて出会う喜びを実現したい。・・・」っちゅうような内容ながよ。分かりやすう言うたら、「笑う日も泣く日も側にいる。それは私たちの誇りです。」っちゅうことながやき。さらに「行動の原点」の制定。「当たり前を疑ってみないか。役割を越えてみないか。プロ意識は宿っているか。・・・等々。」
さらに、社長を筆頭にトップ連中で浸透策を展開するがよ。ポスター、行動の原点ビデオ、携帯カード、様々なフォーラムの開催、トップの全国行脚・・・。元々長い首位ブランド時代に殿様商売になっちょって、さらに首位陥落でプライドをなくしてしもうちょった全従業員に対して、「自分のその行動が、お客様の何につながるかを考えよう!」っちゅうて訴え続けたがやと。「すべての活動の起点をお客様へ。これでいいと思った瞬間からお客様との距離が生まれる。まだまだだ。もっとやれることがある。・・・」
ほんで、キリンラガービール発売120年記念に募集した3つのエピソードをビデオにして、全社員に見せて回ったちゅうがよ。
「考えたことがあるだろうか。私たちの仕事のその先にある物語を・・・。」
妻と初めて出会うた日の焼酎は、結婚式にも使うた特別な焼酎やっちゅう物語・・・。大学時代のラクロス部での青春とともにあったビール・・・。無口な父が娘の就職活動に対して語りかけた言葉と共にあったビール・・・。文字と映像と音楽だっけで、思わずジーンと心に沁みる内容やったがぜよ。
そんな地道な活動を繰り返し繰り返し、ちびっとずつ社員に浸透さいていったっちゅうがやき。ほんでいま、キリンビールは一丸となりつつあり、風土改革は成功しつつあり、売上も復活しつつあるっちゅうがよ。
また取引制度改革にも取り組んだっちゅうがよ。カンビール1ケースに1000円札を付けて売るようなやり方をやめ、取引環境の正常化に取り組んだがやと。自主ガイドライン遵守の鬼に、いまはなっちゅうっちゅうがやき。
お次は市場創造型商品戦略。70年代は日本酒、80年代はウイスキー、90年代はビール、2000年代は乙類焼酎、2010年代は缶チューハイらあのRTD(予想)っちゅう具合に、10年ごっとに酒類の主役は変わってきたっちゅうがやき。そんな中で、総合酒類・飲料メーカーを目指すキリンは、時代の流れをつかんで二極化(嗜好と価格の二極化)への対応、嗜好のライト化・ソフト化への対応、飲酒文化の提案・啓発活動をしていくっちゅうがよ。ほんで、「エビデンス・マーケティング」を展開するがやき。
定番商品の強化、健康志向への対応強化、総需要拡大を目指し、お客様にとっての価値が明確やない商品は、もうつくらんっちゅうがよ。分かりやすい根拠、裏付けのある価値。エピデンスを持つ商品しかつくらんっちゅうがぜよ。
「淡麗W」は、世界初の特許技術プリン体99%カットで、さらにワインポリフェノールでうまさON!「キリンフリー」は、世界初のアルコール0.00%!・・・等々。
ほんで、価値提案型営業戦略。キリンビールの量販との取り組みが始まるがは、何とわずか10年前の1998年からやっちゅうがやき!こりゃあまっこと意外やったがよ。それまでは量販についちゃあ担当者まかせで、何ら組織的な対策ものうて、量販のバイヤーに会うたり、商談することすら恐がって逃げる上司までおったっちゅうがぜよ!
そんな中で、水口先生と二人三脚で始めた営業戦略は、最初は10社ばあの量販との取り組みから始まり、今じゃあ140社との取り組みに育っちゅうっちゅうがぜよ。取引から取り組みへ、さらに協働へ、課題解決型協働取組ながよ。キリンマーチャンダイジング(KMD)っちゅう別会社もつくって、2500名の契約社員らあが量販の個店個店1万数千軒を回り、個店商談をして、「買い場」のMDを実現するっちゅうがやき!その強力な「買い場実現力」は、キリンにとっちゃあ最も貴重な戦力になっちゅうっちゅうがよ!
こんな講演の後は、チームディスカッション。30人の参加者が4チームに分かれて、3つのテーマで議論し合うたがよ。これもまた、こぢゃんと有意義な時間やったがやき。
こうして「キーパーソン戦略会議」最終回も無事終了。締め括りに幹事役の長沼専務さんが、「リーダーへの助言」として、水口先生のお言葉をいくつか示されたがやき。もし、水口先生がいらっしゃったら、締め括りにどんな言葉を話されるかっちゅう意味で語られたがぜよ。
●解決策は外にある。顧客と市場が持っている。
●解決力は内につくる。仕掛けてつくる。
●キーパーソンに会う。キーパーソンになる。
●やりようはいっぱいある。アレもコレも参考になる。
●朝は夜より賢い。疲れたら飲んで寝る。
水口先生、そして澤田さんをはじめとする戦略デザイン研究所の皆さん、こぢゃんと素晴らしい機会を与えていただき、まっことありがとうございました。心から深う御礼と感謝を申し上げますぜよ!
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