2009年04月16日

小阪先生の最新刊「人間力の科学」は目からウロコぜよ!

 今回ご紹介するオススメ書籍は、ワシもこぢゃんとお世話になりゆう小阪裕司先生(http://www.kosakayuji.com/)の最新刊、「人間力の科学」〈仕事と人生に活かす「学問の知恵」〉(小阪裕司 著 PHP研究所 2009年3月30日発行 1200円+税)ながよ。とにかく内容は目からウロコの連続で、こぢゃんと仕事や人生に役に立つ内容が満載やき、今最も必読の本といえるがぜよ。「人間力の科学」

 ちなみにこの書籍は、月刊文庫「文蔵」で2年にわたって連載(2006年10月〜2008年9月)されよった「バルバロッサな人」に加筆・再編集したもんながやき。「バルバロッサ」たぁ、イタリア語で、直訳すりゃあ「赤ひげ」ながよ。今みたいな時代に必要なタイプ、センスと教養を感じさいて、プロ意識が高うて、理知的に冒険する、そういう人のことながやと。小阪先生はそういう人を「人間力」に満ち溢れた存在っちゅう意味で、「バルバロッサな人」やと表現されちゅうがぜよ。

 ほんで、そんな人にゃあどうすりゃあなれるがか、近づけるがかっちゅうんが本書のテーマで、そのためのアプローチ方法は、ハウツーの類らあやのうて、「学術研究」の分野ながやき。そういうたら難しい本かと思われるかもしれんけんど、そこは読みやすうてグイグイ惹き付ける「小阪節」で、まったく難しいこたぁないがよ。ただしよう読みゃあ、内容はかなり高度な話を書かれちゅうがやけんど。とにかく、小阪先生も理事を務められゆう感性工学(日本感性工学会理事)や脳科学っちゅう、様々な分野の研究者の研究知見を、小阪先生の独特の視点で掘り下げ、仕事と人生に活かすヒントを与えてくれる本ながぜよ。

 ザッと目次の項目を以下に挙げてもうか。

 はじめに・・・「人間力」の時代に

●第一章 「世の中のしくみ」に気づく

〈1〉事前制御システムの呪縛〜学級の歴史の研究から

〈2〉プラスマイナスゼロ感覚〜食生活と思考の研究から

〈3〉物事が広まるメカニズム〜イノベーション普及の研究から

〈4〉新しい時代の富の獲得〜知識経済社会の研究から

〈5〉感動体験とマスタービジネス〜ブランドの魅力度調査から

〈6〉個人レベルの無形資産〜ラグジュアリーブランドの研究から

●第二章 「脳のチカラ」に気づく

〈7〉やる気のメカニズム〜報酬を期待する脳の研究から

〈8〉「かわいい」の判断基準〜ヘアサロンのデザイン研究から

〈9〉オリジナリティを生む秘密〜芸術と脳との関係の研究から

〈10〉脳の疲れを解消する方法〜脳疲労とダイエットの研究から

〈11〉豊かさに溺れないチカラ〜ひきこもり心理の研究から

●第三章 「能力の活かし方」に気づく

〈12〉名前が秘めた力〜語感の研究から

〈13〉情報を伝える力〜情報デザインの研究から

〈14〉人をインスパイアする力〜ユビキタス・サービスの研究開発から

〈15〉メロディが宿す力〜楽曲の特徴認識の研究から

〈16〉新人を導く力〜小児医療の現場での研究から

〈17〉自分を見せる力〜自己開示とその適切さの研究から

●第四章 「時代が求めているもの」に気づく

〈18〉匠の知られざる本書〜ものづくりの歴史の研究から

〈19〉新しい学習のあり方〜ピア・ラーニングの研究から

〈20〉意味充実の社会へ〜文明の曲がり角の研究から

〈21〉支援し合う関係〜経済の新たなあり方の研究から

 おわりに・・・そしてわれわれの社会は融合する


 だいたいこんな感じの内容ながやき。目次のタイトルを見るばあやち、こぢゃんと面白そうで、読んでみとうなるろうがよ。しかも間違いのう、実際に読みゃあ、思うちゅうよりか面白うて、こぢゃんと学びになるがやき。書籍の詳しい内容についちゃあ、是非購入して読まれることをオススメしますぜよ。ほいたらここじゃあ、ワシがこぢゃんとでっかいウロコを目から落といた内容を、ひっとつだっけご紹介しちょきます。

 そりゃあ11番目の「豊かさに溺れないチカラ」ながよ。ここで小阪先生は、元香川大学教授・小柳晴生先生の「ひきこもる小さな哲学者たちへ」(日本放送出版協会・生活人新書)を取り上げるがやき。小柳先生は学生カウンセラーとして30年近い経験を持ち、学生や子供の声に耳を傾けてきたっちゅうがよ。豊富な臨床データを背景とする論にゃあ、こぢゃんと説得力があるがやき。ほんでその小柳先生は、最近の子供らあに対する大人からの批判や、今の若者は分かりにくいっちゅう言説について、こう言うっちゅうがぜよ。

 「これまで疑いようのないばあ常識やった『欠乏を生きる知恵』と、最近急速に必要性を増し広がりつつある『豊かさを生きる知恵』との間に生じちゅう軋轢であり、適応の仕方の違いが生み出しちゅうがぜよ。」

 ほんでこの概念を土台に、主に子供らあに向けてメッセージが送られちゅうがやと。君らあがつらいがは自分のせいやない。大人らあが欠乏を生きる知恵をもとに物事を教えたり、ルールを決めたりしゆうけんど、君らあは豊かさを生きる知恵を得なけりゃならん。そのつらさながやと。

 ほんで小阪先生は言うがやき。欠乏を生きる苦しさと、豊かさを生きる難しさを対比さいたこの概念は、ワシらあにきわめて重要な視座を与えてくれると。自分の車を乗り回したいとか、たまにゃあ家族で外食したいとか、いつかはマイホームとか、そういう「欠乏」を満たすことのできる豊かな社会をめざそう、みんなあそう考えてがんばってきたがよ。ところが、いざ世の中から欠乏がのうなったら、そこにゃあ新たな悩みがあったと。欠乏の苦しさはないけんど、生きるががこぢゃんと難しい社会になってしもうたっちゅうがぜよ。

 小阪先生は、「豊かさを生きるがは難しい」っちゅうとらえ方が重要やっちゅうがやき。豊かさの中に放り出されちゅう子供らあは、情報の洪水の中で溺れかかっちゅうと考えにゃあイカンっちゅうことながよ。まっことこのあたりは、目からウロコが落ちまくりやったがやき。

 さらに、以下に挙げる小柳先生の比喩の凄さが、その難しさを強烈に表現しちゅうがぜよ。

「日々の食卓が、食べたち食べたち減らんバイキング料理。」

「あり余るばあの料理に囲まれもって食べた実感ものうて、食べたいもんがない。」

「それでいて飢餓感にさいなまれるっちゅう生き地獄。」

「巨大テレビショッピングの世界に放り込まれた。」

「あらゆる欲望がささやきかけてくる誘惑の地雷原を歩き続ける。」


 確かに言い得て妙で、現代はまさにこの比喩通りやと思うがやけんど、ほいたらいかにそんな状況の中で溺れんと生きるがが難しいかが、こぢゃんと実感できるがやき。また「欠乏を生きる知恵と豊かさを生きる知恵は違う」っちゅう指摘も鋭いがぜよ。

 小柳先生は、歴史上初めて迎えつつある豊かさにどう溺れんと生きていくか、豊かさを生きるにゃあどんな知恵や力が要るがか、そりゃあどうすりゃあ身につくがかを、問題提起するがやと。ほんで、「今みたいな時代にゃあ、自分の内なる声がナビゲーターになる」っちゅう道筋を提案されちゅうっちゅうがよ。ほんで、時代を生き抜くがに必要な四つの力を挙げちゅうがやと。そりゃあ以下の四つながよ。

〈第一の力〉あいまいな状況を探索的に生きる力

〈第二の力〉自分とつきあう力

〈第三の力〉自分と折り合う力

〈第四の力〉内的な倫理観や価値観、センスに裏付けられた節制力


 これらあの力を持たんと、自分の声が聞こえんなって、立ちすくみ、遭難しかねんっちゅうがよ。ほんで、「ひきこもり」っちゅう現象は、こうして遭難した結果やっちゅうがぜよ。

 まっこと、21ある項目のたった1項目の中の一部を取り上げただっけで、これほどの内容ながやき。いかに中身が詰まっちゅうか分かるちゅうもんながよ。「人間力の科学」・・・こりゃあ必読ぜよ!





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