上智大学名誉教授で、専門の英語学以外にも、幅広い評論活動や著述活動をされゆう渡部昇一先生は、ワシがこぢゃんと尊敬しちゅう方ながよ。
ワシが本好きになったがも元はといやぁ、渡部先生の「知的生活の方法」を読んだががきっかけながやき。
その渡部先生の新刊、「語源力」(〜英語の語源でわかる人間の思想の歴史〜)〈渡部昇一 著 海竜社 平成21年3月24日発行 1500円+税〉を、今回はちくとご紹介しますぜよ。
渡部先生は、語源学たぁ、古代人がイメージしちょったことを、数千年もさかのぼって知ろうとする学問で、「イメージの考古学」やっちゅうがやき。
古代人が、霊魂とか運命とかっちゅうもんを、最初にどうイメージしてその言葉を作ったがか。それを理解することによって、古代人の人生観や世界観をある程度推測しうるし、その言葉を使うてその後に発展してきた思想や哲学を、理解するヒントになるがやないかと、渡部先生はおっしゃるがぜよ。
ほんで、実は今回のこの書籍は、20年ばあ前の連続講演会で渡部先生が話された内容ながやと。
「運命」
「男と女」
「奇跡」
「税」
「霊魂」
「王と皇帝」
これらあ6つの英語の語源をベースに、日本語、ドイツ語、ラテン語らあの、あらゆる国の言葉の語源や歴史や思想や哲学まで交えもって、縦横無尽に語るその内容は、まっこと渡部先生は、日本で10本の指に入る本物の賢者やと思うがぜよ。
ほいたら、ひっとつだっけ内容をちくとご紹介しちょこうか。
「霊魂」とか「精神」は英語で「spirit」(スピリット)ながよ。こりゃあラテン語の「spiritus」(スピルトス)が語源で、「微風、呼吸、生命、魂、精神」っちゅう意味で、さらにさかのぼりゃあ、「息を吐く、呼吸する」っちゅう「spirrare」(スピラーレ)、さらにさかのぼりゃあ、「吹く」っちゅう意味の印欧祖語「speis」(スペイス)になるがやと。
つまり霊魂や精神の語源は、人間の呼吸からきちゅうっちゅうことながよ。そんな興味深い語源の話から始まり、話題は哲学や思想の話へ。
カントは、霊魂や霊界の存在らあを否定するこたぁできんけんど、理性の立ち入ることのできん世界やき、学問の対象にゃあならんとしたがやき。
ほんで、カントが学問の世界において理論的に、神秘主義、オカルトと手を切ったことが、近代ヨーロッパの成立の原動力になったっちゅうがぜよ。
ところが、霊魂を学問の対象にゃあせんっちゅうんは、カントの純粋理性の認識においてながよ。
カントは、実践理性の立場からは、霊魂の存在と不滅性はなけりゃあイカンとするがぜよ。
霊魂も神も存在せんで、魂の不滅性もないとすりゃあ、道徳律そのもんの成立基盤がのうなってしまうっちゅうがよ。
けんど、道徳律の存在は、誰っちゃあ否定できん事実ながよ。ほんじゃき、人間世界の道徳や倫理が成立するためにゃあ、実践理性は霊魂の不滅や神の存在を、どういたち要請せざるを得んっちゅうんが、カントの考え方やっちゅうがぜよ。
まっこと、こぢゃんと奥行きの深い話やと思わんかよ。他にも、知的好奇心を満足さいてくれる興味深い話や、人生やビジネスにも役に立つような話らあが、この書籍にゃあ満載ながよ。
興味を持たれた方は、是非ご一読されることをオススメしますぜよ。
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