「この世に生まれたからには、己の命を使い切らんといかん。使い切って・・・生涯を終えるがじゃ。」(坂本八平・「龍馬伝」より)
NHK大河ドラマ「龍馬伝」第7話における、龍馬さんの父・八平さんの言の葉ながよ。
江戸での剣術修行を終えた龍馬さんは、15ヵ月ぶりに土佐に帰ってきたがやき。
ほんで、河田小龍さんに合うてアメリカの話や世界情勢らあを聴いた龍馬さんは、黒船を造りたいと考えるようになるがよ。
そんな頃、心臓を患い、部屋で臥せるようになってしもうちょった龍馬さんの父・八平さんは、龍馬さんにこの言の葉を語るがやき。
「龍馬、わしに構うな。おまんは剣を振り、本を読み。侍が、己を磨き、高めよういう気持ちを忘れては、生きておる値打ちはないぜよ。この世に生まれたからには、己の命を使い切らんといかん。使い切って・・・生涯を終えるがじゃ。人にはみな寿命がある。それは受け入れんといかん。」
龍馬「父上ッ!私は、まだ何も成し遂げちょりません。父上に何もお見せできちょりません。父上には、もっともっと、生きておってもらわんと困ります。」
八平「おまんは一回りも二回りも大きゅうなって、江戸から帰ってきてくれた。それだけで十分ぜよ。育てた花が芽を伸ばし、葉を広げていくのを見るがはうれしいことじゃきにのぉ。我が子の成長が、親にとっての一番の幸せながじゃ。」
ある日、八平さんを大八車に乗せ、一家総出で桂浜に出かけた龍馬さんは、雄大な太平洋を前に、黒船を造って家族全員を乗せ、世界を旅したいっちゅう壮大な夢を語るがよ。
八平「おまんはそんなことを考えちょったか。楽しそうな旅じゃ・・・うん・・・みんなあで行くがぜよ。」
泣き笑いをする家族・・・。
八平「こんなうれしい日は初めてじゃ。」
安政2年(1855年)の暮れ、八平さんは静かに息を引き取ったがぜよ。
「龍馬伝I」(作 福田靖 ノベライズ 青木邦子 NHK出版)より