「もうおまんは土佐には戻れん。けんど、きっとどこかに生きる場所があるき。自分の罪を忘れたらいかんがぜよ。けんど卑屈になってもいかん。堂々と生きや。」(坂本龍馬・「龍馬伝」より)
NHK大河ドラマ「龍馬伝」第9話における、龍馬さんの言の葉ながよ。
江戸の桃井道場の塾頭は武市半平太さんが務めよって、そこに通う土佐藩の山本琢磨さんは、ある夜酔っぱろうて歩きよって拾うた舶来品の時計を、ほんの出来心で古道具屋に持ち込んで金をせしめようとしてしもうたがやき。
ところがそれがバレてしもうて、琢磨さんは半平太さんに切腹をうながされるがよ。
しでかしたことの重大さに、泣き崩れる琢磨さん。
ついに夜が明けたら切腹やっちゅう月夜、龍馬さんは夜陰にまぎれて琢磨さんを逃がしちゃるがやき。
「山本琢磨ゆう人間が、せっかくこの世に生まれてきたのに、簡単に命を捨てるがはもったいないぜよ。」
ほんで龍馬さんは、琢磨さんの肩をがっしりつかんで、この言の葉を語るがぜよ。
「もうおまんは土佐には戻れん。けんど、きっとどこかに生きる場所があるき。自分の罪を忘れたらいかんがぜよ。けんど卑屈になってもいかん。堂々と生きや。」
「自分の罪を忘れず、けんど卑屈にならんと、堂々と生きる。」・・・そりゃあまるですべての罪深き人間に対する、大きな「ゆるし」の言葉のようながよ。
ちなみにその後の琢磨さんは、北海道に渡ってクリスチャンとなり、さらに日本人最初の司祭となり、東京復活大聖堂(通称ニコライ堂)の建設にも尽力するなど、まさに堂々と生きたがぜよ。
「龍馬伝I」(作 福田靖 ノベライズ 青木邦子 NHK出版)より