2010年12月07日

「モノ・コトづくりのデザイン」ぜよ!

 今回は、「モノ・コトづくりのデザイン」(川島蓉子 著 日本経済新聞出版社 1600円+税 2010年11月22日発行)っちゅう書籍をご紹介しますぜよ。モノ・コトづくりのデザイン



 著者の川島蓉子さんは、伊藤忠ファッションシステムマーケティングマネジャーで、まち・みせ・ひとから市場を読む達人ながよ。


 その川島さんが、不況が長引く中、どんなモノやコトを提案すりゃあえいがか分からいで困っちゅう企業の方々のために、この書籍を書かれたがやき。


 川島さんは、「全体に元気がないがは確かやけんど、そん中にあっても、人を集め、話題を呼びゆうブランドは浮かび上がってくる。」っちゅうがよ。


 さらにそれらあのブランドをよう見りゃあ、共通した要素があることに気がついたっちゅうがやき。


 そりゃあ一言で言やあ、「消費者から見た時に明快な世界観を持っちゅう」っちゅうことながぜよ。


 そりゃあ、ロゴやキャラクターやったり、商品そのものやったり、ショップの有り様やったり、広告や販促物やったり・・・つまりブランドにまつわる多様なデザインが、確固たるイメージを築いちゅうっちゅうことながよ。


 それらあが、時代の動きを的確にとらえちゅうき、人々が惹きつけられるっちゅうがやき。


 ちなみに川島さんいわく、ここで言うデザインたぁ、単に色やかたちっちゅうような「狭義のデザイン」やのうて「広義のデザイン」やっちゅうがよ。


 そのブランドがもともと持っちゅう、あるいは描こうとしちゅうイメージを「視覚化=ビジュアライズ」したすべての要素・・・つまり、人々がブランドに接した時に五感で何を受け取るがか、どんな気分やシーンを抱くがかまでを包括したもの・・・それが「広義のデザイン」やっちゅうがやき。


 ほんで川島さんは、その意味で、元気のあるブランドは、強い「デザイン力」を持っちょって、さらに経営トップが「広義のデザイン」の価値を理解し、強いデザイン力を持ったモノやコトを、クリエイターと深うかかわりもって生み出しゆうっちゅうがよ。


 そんなブランドを取り上げ、企業とクリエイターの双方に取材してまとめたがが本書ながやき。


 本書で川島さんが取り上げた企業は、以下の6社ながよ。


 まずは「au by KDDI」の「LISMO(リスモ)」。リスモ

 「ケータイで音楽」っちゅう価値観を、「リスモ」の存在自体が体現しちょって、さらにそこに留まらんと、ミュージシャンとのコラボらあの新しさを生み出し続けゆうがやき。


 KDDIマーケティング本部長の村山氏の、「業界内で閉じちゅうきにデフレになって行き詰まる」っちゅう言葉は、まっことズシンと響いたがぜよ。


 2番目は、「エステー」の「自動でシュパッと消臭プラグ」他。自動でシュパッと消臭プラグ



 「できりゃあ部屋に置きとうない」日用消耗品のデザインを、「デザイン革命」によって、日常生活の中で使われるがに最適なもんに生まれ変わらせ、さらにコストダウンも実現さいたっちゅう事実は、まっこと感動的やったがやき。



 お次は、ニューリサイクルショップの「パス ザ バトン」。パス ザ バトン

 「日本人ならではの個性文化」「日本人の精神性」っちゅうキーワードからスタートし、最終的にリサイクルに行き着き、今の消費者が個人として持っちゅう「歴史とカルチャーとセンス」、日本人が備えちゅう「ものを慈しんで丁寧に使うっちゅう精神性」の2つを掛け合わいたところに新しいリサイクルのやり方があるがやないかと思うたっちゅう遠山社長さんの言葉にゃあ、まっことうならされたがやき。

 「個人の文化を尊重しあい、交換しあう」・・・モノっちゅうより、モノを媒介とした「コト」をリサイクルさせる場が、「パス ザ バトン=バトンを渡す」ながぜよ。


 続いては、ニューヨーク発のマーケットストア「DEAN&DELUCA」。D&D



 言わずと知れた「D&D」は、食品や食材っちゅうよりは、食を取り巻く豊かなシーンをデザインしちゅう・・・そんなイメージが強うに胸に刻まれるショップで、なおかつファッション感覚にも優れちゅうがよ。


 そのフィロソフィーは、「LIVING WITH FOOD=食べることとは人生を味わうこと」であり、「食を通して豊かで喜び溢れるくらしを提案すること」を目的としちゅうきにこそ、こんな素敵なショップが誕生したがぜよ。


 そん次は、オフィス用品をさりげなく心地えいデザインにした「アスクル」。アスクルの乾電池



 ありそうでなかったもんとして、多くの潜在需要を掘り起こした、つまり「オフィスで使うもんも、自分が心地えいと感じ、楽しい気分になるもんにしたい」っちゅう盲点をついたビジネスで、着実な成功を収めてきたがやき。


 「センスがよく、本当に欲しいもんを、納得できる価格で提供する」っちゅうんは、サスガながぜよ。


 ラストは、百貨店を「編集セレクト」して復活さいた「西武池袋本店」。西武池袋本店



 「人々の生活が充実した中にあって、従来の延長線上じゃあない、新しゅう芽生えちゅう価値観に百貨店として応えにゃあならん」っちゅう松本常務さんの言葉にゃあ、思わず膝を打ったがよ。


 これに対してグラフィックデザイナーの鷹村さんは、「デパートメントストアっちゅう場に、人が足を運ぶ意味が問われちゅう。場と人のかかわり合いをデザインすることが重要」やと感じたようながやき。


 ほんで、「暮らしの充実」っちゅうコトを提案するっちゅう答えを出いて、売り場や商品らの区分の枠を越え、「編集セレクト」したっちゅうがよ。


 こりゃへんしも、いっぺん見学に行かにゃあイカンがぜよ。


 ほんで川島さんは終章にて、「デザインが経営資源の1つであり、これからの市場において大きな価値になり得るがやっちゅうことを、理解して戦略に生かして欲しい。」っちゅうがよ。


 さらに、「使うシーンや気分まで取り入れた広義のデザインが、実は本来的な消費者目線であるこたぁ、改めて言うまでもない。そこに基づいたマーケティングこそが、これから求められていくと思う。」っちゅうがやき。


 ほんで「デザインっちゅう価値をどうとらえて、戦略に生かしていくがか・・・その先にこそ、新しい市場は拓けていく。」っちゅうて締め括っちゅうがよ。


 まっこと、著者ご本人が「あとがき」に、本書はそもそも「元気がない時代に元気になるストーリーを」っちゅう思いから着手したっちゅうて書いちゃある通り、どんな業界やち、どんな企業やち、まだまだ打つ手はある、まだまだやりようはあるっちゅうて確信できて元気が湧いてくるような、そんな書籍ながやき。


 こぢゃんと学びにもなるき、まっことオススメしますぜよ!





モノ・コトづくりのデザイン
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