「ほんで金には生き金と死に金があるゆうことを学んだがです。死に金は、ものと引き替えに払うだけの金です。けんど、生き金ゆうがは、使うた以上のもんが何倍にもなって返ってくる金です。」(坂本龍馬・「龍馬伝」より)
NHK大河ドラマ「龍馬伝」第20話における、龍馬さんの言の葉ながよ。
幕府の勘定方から通達があり、神戸村に海軍操練所をつくるための資金は出すけんど、勝麟太郎さんの私塾である勝塾にゃあ金は出せんっちゅうて言われた勝さん。
勝塾を救うため龍馬さんは、越前福井藩の松平春嶽さんに千両の資金援助を頼みに行くことになるがやき。
春嶽さんの前に平身低頭して頼み入る龍馬さん。
龍馬「千両が大金じゃということは重々わかっちょります。けんど、わしらは必ずそれを生き金にしてみせますき。」
春嶽「生き金?」
坂本家の本家は、才谷屋っちゅう質屋を営みゆうがよ。
龍馬さんは子供の頃、商いに興味を持ち、亡父に何回叱られたち才谷屋に入り浸ったがやき。
ほんで今回の「言の葉」につながるがよ。
龍馬「ほんで金には生き金と死に金があるゆうことを学んだがです。死に金は、ものと引き替えに払うだけの金です。けんど、生き金ゆうがは、使うた以上のもんが何倍にもなって返ってくる金です。」
春嶽「なぜ、そう言い切れる。」
龍馬「その金で日本の将来を担う人間をつくり、日本を守る海軍ができるきです。」
春嶽「なるほど。生き金と死に金か。」
こうして龍馬さんは、春嶽さんに千両の大金の融通を承諾してもらうがぜよ。
「龍馬伝Ⅱ」(作 福田靖 ノベライズ 青木邦子 NHK出版)より