「夫婦になって三年たった頃、武市さんのご友人から言われたそうじゃ。武市さんは立派な人やき、子ができんゆうがはまっこともったいない。お冨さんがしばらく家を空けてくれたら、誰か連れてきて武市さんの世話をさせるき、そのおなごに子を産んでもらいやゆうて。けんど、友人が連れてきた女性に武市さんは指一本触れんかったそうじゃ。友人は別の女性を送り込んだけんど、やっぱり武市さんは手をつけんかったと。ほんで、家に戻んたお冨さんは武市さんにこう言われたそうじゃ。つまらんことをすな、と。子はおらんでも、あの二人の絆は途方ものう強いがじゃき。」(岡上乙女・「龍馬伝」より)
NHK大河ドラマ「龍馬伝」第24話における、乙女姉やん(岡上家に嫁いだため苗字は岡上)の言の葉ながよ。
坂本家にて武市半平太さんの投獄の話から、半平太さんと冨さん夫婦の話題になったがやき。
ほんで、昔半平太さんに密かに恋心を抱いちょったっちゅう乙女姉やんが、この言の葉を語るがよ。
「夫婦になって三年たった頃、武市さんのご友人から言われたそうじゃ。武市さんは立派な人やき、子ができんゆうがはまっこともったいない。お冨さんがしばらく家を空けてくれたら、誰か連れてきて武市さんの世話をさせるき、そのおなごに子を産んでもらいやゆうて。けんど、友人が連れてきた女性に武市さんは指一本触れんかったそうじゃ。友人は別の女性を送り込んだけんど、やっぱり武市さんは手をつけんかったと。ほんで、家に戻んたお冨さんは武市さんにこう言われたそうじゃ。つまらんことをすな、と。子はおらんでも、あの二人の絆は途方ものう強いがじゃき。」
坂本家の一人ひとりが、半平太さん夫婦の深い愛情に強い感銘を受けたがやき。
その頃、半平太さんを密かに尊敬しちゅう牢番の和助さんが、冨さんからの預かりもんを牢の中の半平太さんにこっそり差し入れしたがよ。
その差し入れの手拭いを開きゃあ、三匹の蛍が光を放ちよって、手拭いから飛び立ち、夜陰に沈む牢に光線を描いてゆっくりと舞うたがやき。
「冨・・・！」
妻への愛おしさが、半平太さんの胸に込み上げてくるがよ。
その頃、冨もまた庭を舞う蛍を眺めよったがやき。
その冨の目に映る蛍の光は、涙にかすんで輝きよったがぜよ。
「龍馬伝�供�(作 福田靖 ノベライズ 青木邦子 NHK出版)より
・・・さて、今回で平成22年のラストのブログになるがよ。
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