「いいか。昔は海が日本と世界を隔てていたが、今は違う。海が日本と世界を繋いでいるんだ。お前たちはどこへだって行ける。何だってできる。お前たちの腕で日本を変えてみろ。この日本を、世界と五分に渡り合える国にしてみろ!・・・お前たちは、俺の希望だよ。」(勝麟太郎・「龍馬伝」より)
昨年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」第26話における、勝麟太郎さんの言の葉ながよ。
幕府の見識の低さで、閉鎖に決まってしもうた海軍操練所。
その最後の日、皆それぞれに悔しさや悲しさを抱えてそれをこらえちゅう龍馬さんらあ訓練生を前に、勝さんが語るがよ。
勝「短い間だったが、お前らはよく頑張ってくれた。ありがとうよ。」
勝さんが咸臨丸でアメリカと日本を往復したがはこん時から数年前で、偉業を成しえたことに日本人として誇りを持ったけんど、体力の限界を感じたがもそん時やったがやき。
勝「それからは、俺は人を育てることに心血を注いだ。早くしなきゃ日本が危ねえ、早くしなきゃ俺の寿命がなくなるってな。でも、お前たちにはたっぷり時がある。もう俺の出番はお終いだ。これからは、お前たちの舞台が幕を開けるのさ。」
さらに勝さんは、訓練生らあに慈愛を込めた激励の言葉として、この言の葉を送るがぜよ。
「いいか。昔は海が日本と世界を隔てていたが、今は違う。海が日本と世界を繋いでいるんだ。お前たちはどこへだって行ける。何だってできる。お前たちの腕で日本を変えてみろ。この日本を、世界と五分に渡り合える国にしてみろ!・・・お前たちは、俺の希望だよ。」
期待と信頼に満ちた勝さんの力強い眼差しに、龍馬さんが応えるがよ。
龍馬「先生の仰るとおりぜよ。わしらは、何やちできるぜよ!」
訓練生らあは現実を受け入れ、それぞれ励まし合いゆううちに心に熱いもんがたぎってきて、「そうじゃ。何やちできる!」と口々に希望を語り出すがやき。
「お前たちはどこへだって行ける。何だってできる。お前たちの腕で日本を変えてみろ。この日本を、世界と五分に渡り合える国にしてみろ!」
勝さんのこの言の葉は、まさに今の時代のワシらあに向こうて語られたっちゅうてもえい、勇気の言の葉やと思わんかよ?
「龍馬伝Ⅱ」 作 福田靖 ノベライズ 青木邦子 NHK出版)より