「薩摩がどっちにつくかで勝負の行方は変わるがじゃき!薩摩と長州が犬猿の仲じゃゆうことはよう知っちょります。けんど、今はそういうことを言いゆう場合ではないろう。どんなに仲が悪うても、小曾根さんらあは麻雀をしゆうがじゃき。儲けのためには誰とでも手を組むしたたかさを商人は持っちゅう。侍もつまらん意地らあ捨てて、商人を見習わんといかんがじゃないがですろうか。」(坂本龍馬・「龍馬伝」より)
昨年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」第30話(小説版では第29話)における、龍馬さんの言の葉ながよ。
ついに龍馬さんが、薩摩の西郷さんに秘策を持ちかけるがやき。
龍馬「西郷さん、このまま幕府の下におったら薩摩の将来はないがです。」
西郷「まだそいを・・・。」
龍馬「聞いてつかあさい!」
西郷「幕府に逆らうこつなんどできるわけがなか。戦になったら薩摩に勝ち目はなかとじゃ。」
龍馬「あります!幕府に勝てる手立てがあるがじゃき。」
西郷さんは、まさかと出て行こうとする動きを止めるがよ。
龍馬「長州と手を組むがぜよ。」
西郷「・・・何じゃっち。」
龍馬「長州は底力のある国じゃ。どこよりもよう学び、どこよりも戦う気力に満ちちゅう。」
西郷「何を言い出すっとか。」
龍馬「けんど、幕府は諸藩の支えでいばっちゅうだけぜよ。薩摩を味方につけんと長州を討つことはできんろう。」
西郷「坂本!」
西郷さんは黙らせろうと一喝するけんど、龍馬さんはたじろがんと、この言の葉を語るがやき。
龍馬「薩摩がどっちにつくかで勝負の行方は変わるがじゃき!薩摩と長州が犬猿の仲じゃゆうことはよう知っちょります。けんど、今はそういうことを言いゆう場合ではないろう。どんなに仲が悪うても、小曾根さんらあは麻雀をしゆうがじゃき。儲けのためには誰とでも手を組むしたたかさを商人は持っちゅう。侍もつまらん意地らあ捨てて、商人を見習わんといかんがじゃないがですろうか。」
西郷「長州と・・・手を、組む。」
龍馬「薩摩が助かる道はそれしかないがじゃ。」
ここから、あの幕末の奇跡と言われた「薩長同盟」へと進んでいくがぜよ。
「龍馬伝Ⅲ」 作 福田靖 ノベライズ 青木邦子 NHK出版)より