2011年01月15日

幸せの言の葉〈443〉

「申し訳ないことをしたときは、ごめんちや言うて土産の一つも置いていくがが当り前ですろう。そうしたら、長州の人らあも機嫌を直してくれるかもしれんぜよ。そうじゃのぉ。例えば、軍艦十隻とミニエー銃一万挺。高杉さんが長崎で探し回っちょったもんじゃ。軍艦十隻は無理にしても、一隻ばあなら薩摩で調達できるろう。ああ、金のことは心配せんでえい。実は長州は金持ちじゃと高杉さんは言うちょられましたき。」(坂本龍馬・「龍馬伝」より)


昨年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」第32話(小説版では第31話)における、龍馬さんの言の葉ながよ。


長州の桂小五郎さんに合う約束を反古にしたことを、龍馬さんと中岡慎太郎さんに深々と詫びる、薩摩の西郷吉之助さん。


西郷さんは、幕府の隠密が船におって、もしや幕府に知られてしもうたかと思うたがが約束を反古にした理由で、けんど、ここ数日の幕府の動きを見よったらそりゃあないっちゅうことが分かったっちゅうがよ。


ほいたらもういっぺん長州へ行こうと勇み立つ中岡さん。


けんど西郷さんは、「桂さあは激怒されちょいやっこつごわんそ。おいは信用をなくしてしもた。長州が薩摩と手を組むこつなんど、もうあり得もはん。」っちゅうがやき。


「薩摩が生き残る道は、やっぱり長州と手を組むしかないがじゃき、西郷さん!」っちゅうて、口角泡を飛ばして詰め寄る中岡さん。


「じゃっどん、もうそいは無理じゃっち・・・」っちゅうて苦しい立場を吐露する西郷さん。


そこに龍馬さんが、「そうじゃ。手土産を持っていかんかえ。」っちゅうて言いだいて、この言の葉を語るがぜよ。


龍馬「申し訳ないことをしたときは、ごめんちや言うて土産の一つも置いていくがが当り前ですろう。そうしたら、長州の人らあも機嫌を直してくれるかもしれんぜよ。そうじゃのぉ。例えば、軍艦十隻とミニエー銃一万挺。高杉さんが長崎で探し回っちょったもんじゃ。軍艦十隻は無理にしても、一隻ばあなら薩摩で調達できるろう。ああ、金のことは心配せんでえい。実は長州は金持ちじゃと高杉さんは言うちょられましたき。」


中岡「なんぼ薩摩やち、銃一万挺の買い物は幕府が許さんぜよ。」


龍馬「それはたやすいこと。長州攻めに欠かせん武器じゃと言うたらえいぜよ。それをこっそり長州に運ぶがは、わしら亀山社中が請け負いますき。」


龍馬「もう言葉だけやったら、長州は信用せんがじゃき、西郷さん。手を組みたいゆう意志をはっきりと形で示すがです。薩摩の覚悟を見せんといかんぜよ。」


「わはははは!」っちゅうて、大声で笑い出す西郷さん。


西郷「・・・わかりもした。軍艦と銃を用意しもんそ。」


いっぺんは完全に消えてしもうちょった「薩長同盟」への希望が、こっから再び甦ってくるがぜよ!


「龍馬伝Ⅲ」 作 福田靖 ノベライズ 青木邦子 NHK出版)より



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この記事へのコメント
こんばんは!

やっぱり、人には直接会ってまじわることから次なる行動へとつながるわけですね。現代のような情報化社会でも、最終的には直に触れてから、自身で判断しなければならないのでしょう。
Posted by セラピストm at 2011年01月15日 19:19
セラピストmさん、コメントありがとうぜよ!
まっこと、おっしゃるとおり!むしろ逆説的やけんど、情報化社会やからこそ、実際に人と人とが直接会うっちゅうことが大事になってくるがやないろかのう!
Posted by 竹村昭彦 at 2011年01月16日 08:01