2011年01月30日

幸せの言の葉〈447〉

「おりょうちゃんに言うたことがあるの。龍馬さんはひとつの所に落ち着くようなお人やあらしまへん。あの人は世の中すべての人を幸せにしたいんや。そんなお人に惚れたら、おなごはつらい思いをするだけやて・・・。そやかて、あの子は覚悟が出来てるわ。」(寺田屋お登勢・「龍馬伝」より)


昨年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」第36話(小説版では第35話)における、寺田屋お登勢さんの言の葉ながよ。


薩長同盟を成し遂げて、寺田屋に戻んてきた龍馬さん。


お尋ね者になっちゅうき、もう京には戻れんっちゅうて語る龍馬さんの言葉に、おりょうさんは切なさに胸が押しつぶされそうになるがよ。


りょう「もう・・・お別れなんどすか。」


龍馬「そうじゃ。長崎にはポッペンゆう面白いもんがあっての。ガラスでできちょって、息を吹いたり吸ったりしたらポッペンポッペン面白い音が鳴るがじゃき。それを送っちゃるき、楽しみに・・・」


りょう「そんなもん、いりまへん。」


すっと身を返して、厨房の方に行ってしまうおりょうさん。


龍馬「おりょう殿・・・!」


途方に暮れる龍馬さんに、どうするつもりかと、お登勢さんの目が問いかけるがやき。


龍馬「わしやち・・・わしやち、おりょう殿と別れるがはつらいがじゃき。どういてかわからんけんど、京に来たら、おりょう殿の顔を見んとは帰れん。おりょう殿が、ここで頑張りゆう姿を見ると、どういてか、ホッとするがぜよ。けんど・・・けんど・・・!」


続いてお登勢さんが語るがが、今回の言の葉ながよ。


登勢「おりょうちゃんに言うたことがあるの。龍馬さんはひとつの所に落ち着くようなお人やあらしまへん。あの人は世の中すべての人を幸せにしたいんや。そんなお人に惚れたら、おなごはつらい思いをするだけやて・・・。」


お登勢さんはひとつ息をついて続けるがやき。


登勢「そやかて、あの子は覚悟が出来てるわ。」


そしてその晩、伏見奉行所の捕り方が遂に寺田屋を包囲するがよ。


これが有名な寺田屋騒動ながやき。


風呂に入りゆう時に捕り方に気づいたおりょうさんは、湯船から飛び出し着物一枚羽織っただけで、龍馬さんのもとに知らせに駆けつけるがよ。


そして、その格好に龍馬さんの羽織を着せられた姿で、今度は助けを呼ぶため薩摩藩邸まで走るおりょうさん。


そん時の転びもっての全力疾走は、見事におりょうさんの覚悟が現れちょったがぜよ。


「龍馬伝Ⅲ」(作 福田靖 ノベライズ 青木邦子 NHK出版)より



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