2011年03月05日

本格経営書の名著!「ストーリーとしての競争戦略」〈後編〉ぜよ!

 今回は、昨日のブログの続きで、本格経営書で異例のベストセラーで名著、「ストーリーとしての競争戦略」〜優れた戦略の条件〜 (楠木建 著 東洋経済新報社 2800円+税 2010年5月6日発行)のご紹介の後編をおとどけしますぜよ。2011.3.5ストーリーとしての競争戦略


 昨日のブログじゃあ、「戦略ストーリーの5C」の1つ、「競争優位」(Competitive Advantage)をご紹介したけんど、こりゃあストーリーの起承転結の「結」の部分、利益が創出される最終的な論理で、サッカーでいやあシュートのことやったがやき。


 ほんで、シュートの軸足が定まったら、いよいよシュートに向けたパスを繰り出すことになるがよ。


 1つひとつのパスは競合他社との「違い」で、これが戦略ストーリーの5Cの1つ「構成要素」(Components)で、起承転結の「承」ながやき。


 この「構成要素」にゃあ、SP(戦略的ポジショニング)とOC(組織能力)があるがよ。


 SP(Strategic Positioning)は、「種類の違い」を重視するっちゅうことで、OC(Organizational Capability)は、「程度の違い」に重点を置いちゅうがやき。


 著者はここでレストランのたとえを出して説明するがよ。


 料理がこぢゃんとおいしいっちゅう評判で流行っちゅうレストランがあるとするがやき。


 なんで評判がえいがか。


 その料理を考えたシェフのレシピが優れちゅうがかもしれん。


 使いゆう素材や料理人らあの腕やチームワークがえいがかもしれん。


 この、シェフのレシピに注目するががSPで、厨房の中に注目するががOCやっちゅうがよ。


 SP、ポジショニングたぁ「位置取り」のことながやき。


 企業を取り巻く競争環境の中で、「他社と違うところに自社を位置づけること」ながよ。


 事例として著者は、松井証券を挙げるがやき。


 多くの証券会社が「顧客に対するきめ細かいコンサルティング」を差別化の路線として打ち出しゆう中、松井証券はそうした活動を「やらん」と決めたがよ。


 法人向けのファイナンス業務はやめて、個人向けのネット取引に特化して、そこにすべての資源を投入したきにこそ、優位を手に入れられたがやき。


 SPが「他社と違うたことをする」がに対して、OC(組織能力)は「他社と違うたもんを持つ」っちゅう考え方ながよ。


 そりゃあ他社がそう簡単にマネできん経営資源、組織に定着しちゅう「ルーティン」やっちゅうがやき。


 つまり、さまざまな日常の背景にある、その会社固有の「やり方」がOCの正体やっちゅうことが多いと、著者は言うがよ。


 事例としちゃあ、セブン-イレブンのOCを挙げるがやき。


 セブン-イレブンのOCのうち最も重要なもんが、「仮説検証型発注」ながよ。


 そりゃあ、セブン-イレブンが長い時間をかけて開拓していった「やり方」ながやき。


 さて続いては、戦略ストーリーの5Cの「一貫性」(Consistency)ながよ。


 こりゃあストーリーの評価基準であり、構成要素をつなぐ因果論理ながやき。


 サッカーでいやあ、「パスをつなげる」っちゅうことながよ。


 個々のパスは「静止画」にすぎんがやき。


 パスが縦横につながり、シュートまで持っていけたとき、戦略は静止画から動画のストーリーになるがよ。


 ストーリーが優れちゅうっちゅうことは、パスが縦横にきちんとした因果論理でつながっちゅうっちゅうことを意味しちゅうがやき。


 ストーリーの一貫性の次元としちゃあ、次の3つが考えられるがやき。


 「ストーリーの強さ」「ストーリーの太さ」「ストーリーの長さ」ながよ。


 まず、ストーリーが強いっちゅうことは、XがYをもたらす可能性の高さ、つまり因果関係の蓋然性が高いっちゅうことながやき。


 「量産すりゃあコストが下がる」っちゅう因果関係は、「テレビCMをやりゃあWTPが上がる」っちゅう因果関係よりか、「強い」ストーリーやっちゅうことながよ。


 ストーリーが太いっちゅうことは、構成要素間のつながりの数が多いっちゅうことながやき。


 一石で何鳥にもなるパスがありゃあ、その分ストーリーは太うなるがよ。


 ストーリーの長さたぁ、時間軸でストーリーの拡張性なり発展性が高いっちゅうことを意味しちゅうがやき。


 反対に、パスの間に強いつながりがあったち、将来に向けた拡張性がなけりゃあ、そりゃあ「短い話」で終わってしまうがよ。


 つまり、強うて太うて長い話が、筋がえいストーリーやっちゅうことながぜよ。


 お次は、戦略ストーリーの5Cの「コンセプト」(Concept)、こりゃあ本質的な顧客価値の定義で、起承転結の「起」ながやき。


 本質的な顧客価値を定義するっちゅうんは、「本当のところ、誰に何を売りゆうがか」っちゅう問いに答えることながよ。


 筋のえい戦略ストーリーを構築するためにゃあ、その起点として本質的な顧客価値を独自の視点でえぐり出すようなコンセプトが不可欠やっちゅうがやき。


 ほんで著者は、競争優位のシュートの決定に比べて、コンセプトの定義ははるかに難しい問題やっちゅうがよ。


 なんでかいうたら、そりゃあ「見たまんま」やないきながやき。


 誰に何を売りゆうがか、見たまんまやったら簡単な話ながよ。


 「本当のところ」っちゅうんがポイントながやき。


 さらに著者は、コンセプトは顧客に対する提供価値の本質を一言で凝縮的に表現した言葉であり、それを耳にすりゃあ、われわれは本当のところ誰に何を売りゆうがか、どんな顧客がなんでどんなふうに喜ぶがか、要するにわれわれは何のために事業をしゆうがか、こうしたイメージが鮮明に浮かび上がってくる言葉やないとイカンっちゅうがよ。


 たとえば「ブックオフ」は、見たまんまやったら中古本を売りゆうがやけんど、いまや「捨てない人」に「リユース生活のインフラ」を提供しよって、それがコンセプトながやき。


 ベネッセの進研ゼミは「子供を含めた家族のコミュニティ」に「学習を促進するコミュニケーション」を提供しゆうがよ。


 「ホットペッパー」は、「狭域情報誌」っちゅうコンセプトで、「生活圏内の事業者と消費者」に限定して、「生活情報の提供による消費のマッチング」を提供しゆうがやき。


 ほんで著者は、こんな優れたコンセプトを構想するためにゃあ、常に「誰に」と「何を」の組合せを考えることが大切やっちゅうがよ。


 「誰に」と「何を」を表裏一体で考えることによって「なぜ」が初めて姿を現すからやっちゅうがやき。


 なぜその顧客がその商品に食いつくがか、なぜお金をはらうがか、なぜ喜ぶがか・・・コンセプトにゃあ一連の「なぜ」に対する答えを含んじょらにゃあイカンっちゅうがよ。


 「なぜ」が希薄なコンセプトじゃあ、リアリティのあるストーリーは切り拓けんっちゅうがやき。


 けんど、優れたコンセプトが筋のえいストーリーを駆動しよったら、数字は後からついてくるっちゅうがぜよ。


 ほんで著者は、コンセプトづくりにとって大切なことを3つに集約して指摘するがよ。


 まず第1は、すべてはコンセプトから始まるっちゅうことながやき。


 コンセプトがしっかりしてないストーリーはしょせん砂上の楼閣やけんど、裏を返しゃあ、「これや!」っちゅうコンセプトが固まりゃあ、ストーリーづくりの半分は終わったも同然やっちゅうことながよ。


 第2は、「誰に嫌われるか」をはっきりさせるっちゅうことながやき。


 スターバックスは、職場でも家庭でもない「第三の場所」がコンセプトやけんど、このコンセプト実現のためにゃあ、プレミアムコーヒーの香りの中でゆっくりリラックスするっちゅうことが重要で、当初から完全禁煙やったき、喫煙者からは嫌われるコンセプトながよ。


 3つ目は、コンセプトは人間の本性を捉えるもんやないとイカンっちゅうことながやき。


 人間の本性たぁ、要するに、人はなんで喜び、楽しみ、面白がり、嫌がり、悲しみ、怒るがか、何を欲し、何を避け、何を必要とし、何を必要とせんがか、ちゅうことながよ。


 人間の本性を捉えた骨太のコンセプトをつくるためにゃあ、その製品やサービスを本当に必要とするがは誰か、どんなふうに利用し、なぜ喜び、なぜ満足を感じるがか、こうした顧客価値の細部についてのリアリティを突き詰めることが何より大切やと、著者は言うがやき。


 さらに、およそあらゆる人にとって、一番リアリティのある「なぜ」は自分自身の生活や仕事の中にあるはずやき、自分自身ほどリアリティを持って理解できる「顧客」は他にゃあないと、著者は言うがぜよ。


 さていよいよ戦略ストーリーの5Cのラストは、「クリティカル・コア」(Critical Core)ながよ。


 クリティカル・コアの定義は、一貫性の基盤となり、持続的な競争優位の源泉となる中核的な構成要素ながやき。


 起承転結でいやあ、「転」にあたるがよ。


 サッカーにたとえりゃあ、ゴール(長期利益)へのシュート(競争優位)に向けてさまざまなパス(構成要素)を繰り出すわけやけんど、そん中でも「キラーパス」となるががクリティカル・コアながやき。


 その第1の条件は、他のさまざまな構成要素と同時に多くのつながりを持っちゅうっちゅうことながよ。


 第2の条件は、「一見して非合理に見える」っちゅうことながやき。


 「それだけを見りゃあ一見して非合理ながやけんど、ストーリー全体の文脈じゃあ強力な合理性を持つ」っちゅうんが、クリティカル・コアがキラーパスとよばれるゆえんながよ。


 スターバックスの例でいやあ、「直営方式」っちゅうんがキラーパス、クリティカル・コアながやき。


 スターバックスは短期間での大量出店を明確に意図しちょったに、直営方式を採用したっちゅう点は、一見して非合理ながよ。


 ところがストーリーの全体像からすりゃあ、フランチャイズ方式にしてしまやあ、周囲のパスをどんなに繰り出したち、意図するコンセプトの実現はままならんがやき。


 「第三の場所」っちゅうコンセプトを維持するためにスターバックスは、スキルを持ったバリスタが、注文を受けてから豆を挽き、ゆっくりと上質なコーヒーをいれるがよ。


 こりゃあ、忙しい人らあにあえて嫌われようとしゆうことながやき。


 別の視点から見りゃあ、わざわざ人件費をかけてお客さんを待たせ、回転率を悪うするっちゅう非効率な話ながよ。


 この「わざと待たせる」っちゅうパスは、「第三の場所」の維持にとっちゃあ大切な意味を持っちゅうがやけんど、仮にフランチャイズ店のオーナーにこんなことを期待したち、そりゃあ無理っちゅうもんながやき。


 こんな点らあで、スターバックスのストーリーが直営方式を必要とするっちゅう因果論理が読み取れるがよ。


 ・・・ふーっ。まだまだご紹介したいこたぁ山のようにあるがやけんど、2回にわたってかなり長々と書いてしもうたき、このへんでご紹介を終了さいていただきますぜよ。


 とにかく、あらゆるビジネスパーソンにとって、こぢゃんと参考になる実践的な内容がテンコ盛りやき、2800円(+税)は惜しゅうないどころか、ワシゃあ内容からすりゃあ格安やと思うがやき。


 ワシにとったち、しばらく座右の書、ちゅうかしばらく鞄に入れて持ち歩く(ちくと重いけんど)携帯の書になっちゅうがよ。


 ちなみに、どういたちこんな分厚い本格経営書をいきなり買うにゃあ抵抗があるっちゅう方や、高うて手が出しにくいっちゅう方にゃあ、「週刊東洋経済」(http://www.toyokeizai.net/)の「2011年1月8日」号(690円)が、「ストーリーで戦略を作ろう」っちゅう特集で、この書籍の内容を分かりやすう短うにまとめてくれちゅうき、バックナンバーを購入され、是非ご一読されますことをお薦めしちょきますぜよ。週刊東洋経済「ストーリーで戦略を作ろう」号















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