今回は、「NHKスペシャル MEGAQUAKE 巨大地震」(NHKスペシャル取材班、主婦と生活社ライフ・プラス編集部[編] 主婦と生活社 1200円+税 2010年3月8日発行)っちゅう書籍をご紹介しますぜよ。
その前にまずもって、この度の東北関東大震災により、被害を受けられました皆様に心からお見舞い申し上げ、犠牲になられた方々とご遺族の皆様に、深くお悔やみ申し上げます。
さてこの書籍は、2010年1月〜3月放送のNHKスペシャル「メガクエイク」(全4回シリーズ)の内容をもとに、新たに構成したもんながよ。
テレビ番組としても書籍としても1年前につくられたもんやに、まっこと今回の東北関東大震災を予言しちゅうような部分もあって、あらためて戦慄するがやき。
たとえば、仙台市の郊外で海岸から4キロ近う離れた水田の地下に、あるはずのない海の砂があって、分析してみりゃあ、そりゃあ約1000年前に起きた大津波の痕跡で、そりゃあナント1000年ごとに繰り返し起きゆうっちゅうことが分かったっちゅうがよ!
さらに日本だけやないがやき。
過去200年以上巨大地震が発生してのうて地震の空白域と言われゆうアメリカ・シアトルやち、河口から3キロ離れた場所の地層から、あるはずがない海の砂の堆積層が発見され、調査によって約300年前の巨大津波によるもんやと分かったっちゅうがよ!
しかもそりゃあ、約300年周期で繰り返されゆうことまで分かったっちゅうがやき。
つまりシアトルは既に次の巨大地震の発生時期を迎えちゅうっちゅうがよ!
そのシアトルの大地震と大津波のシミュレーションのCG画像は、まっことリアルで、ここ何日かテレビで流れゆう東北関東大震災の映像と重なって、震撼するほどながやき。
ヨーロッパやち、安心しちょれんがよ。
ポルトガルが覇権国家やった頃(1755年)の首都リスボンに、マグニチュード8.5の大地震が起こったことがあるっちゅうがやき。
有史以来地震の少ないヨーロッパで起きた最大の地震で、街は5日間燃え続け、約6万人が犠牲になり、以後ポルトガルは世界の覇権争いから脱落してしもうたっちゅうがよ。
リスボンは復興の過程で、この惨劇を繰り返さんようにと、地震に強い街づくりを目指して耐震性に優れた建物が建てられよったらしいがやけんど、長い年月が経つにつれ次第に忘れ去られていき、地震から250年余り経った現代、リスボンの建物は高層化が進み、人口はかつての10倍、耐震性の低い建物は街全体の4割にも上るっちゅうがやき!
現代の地震学を作ったと言われる「地震学の神様」、カリフォルニア工科大学の金森博雄名誉教授は、こう語るがよ。
「過去の地震を調べることも大切やけんど、地震は常に想定外に起きるもんやと考えて備えるしかない。」
「過去の地震だっけを想定しちょったら、必ず被害は甚大になる。高層ビルや原発、新幹線らあも、作らいで済むがやったらそのほうがえいに決まっちゅう。けんど、経済活動のために必要やというがやったら、どこまでコストをかけるかは、社会の判断になる。地震に備える技術はすでに発達しちゅうがやから。」
まさに今回の東北関東大震災の被害の甚大さは、この言葉通りながやき。
津波に備える堤防の高さ、さらに原発の安全性などなど・・・。
結局地震学ゆうたち、たかだか100年足らずのデータしかない若い学問やき、1000年単位で考えりゃあ、予想をはるかに上回る震度の巨大地震や巨大津波もあり得るし、起きんと考えられちょったところでやち起きるかもしれんっちゅうことながよ。
さらにこの書籍じゃあ、もともと水の都やったメガシティ東京の隠された素顔(つまり人工的に生み出された陸地が多いっちゅうこと)をあばき、その東京を巨大地震が襲うたらどうなるかっちゅうシミュレーションも見せてくれるがやき。
また、阪神・淡路大震災でどんなことが起こりよったがかの完全再現も見せてくれるがよ。
番組のあるディレクターは、こう語るがやき。
「地震の発生は止められん。けんど、それによる被害は、リスクを予見し備える知恵で、大幅に回避できる。未来を救えるがは、私たち自身ながぜよ。」
また、ワシらあ土佐人にとっちゃあ最大の恐怖、南海大地震についても、1946年の昭和南海地震の記録と合わせ、恐ろしいシミュレーションを展開するがぜよ。
昭和南海地震で浸水した高知市街の写真と、同じ位置から写した現在の姿を並べて見せてくれちゅうがやけんど、こりゃ高知市はほとんど水没すると実感できて、まっこと衝撃的やったがよ!
もう1人の番組ディレクターは、こう語るがやき。
「津波の研究者は世界でも100名ばあしかおらんと言われちょります。ほんじゃきこそ、彼らの責任感は強い。彼らは被害が起こりゃあ、必ず現地に駆けつけるがぜよ。」
「浸水が指摘されちゅう場所に行ってみりゃあ、海を意識することがまったくないロケーション。(中略)研究者は努力を重ねて想定を広げ、警報システムや避難マップらあを整備し、警鐘を鳴らしよります。けんど、海が近くにあるっちゅう意識がない住民は、津波警報が迅速に発令されたち、逃げるっちゅう発想に行き着けるがか。」
ほんで、明治三陸津波から37年後に起きた昭和三陸津波を受けて「天災は忘れたころにやってくる」っちゅう警句を発したとされる、日本を代表する物理学者のひとり、高知県出身の寺田寅彦さんの名随筆「天災と国防」を、「今もなお色褪せることはない」として、10数ページにわたって掲載しちゅうがよ。
そん中から、まさに現代のワシらあがしっかり噛みしめちょきたい言葉を、以下に2つだっけ挙げちょきますぜよ。
「文明が進みゃあ進むばあ、天然の暴威による災害がその劇烈の度を増す。」
「いやが上にも災害を大きゅうするように努力しゆうもんは、たれあろう文明人そのものなのである。」
ほんで書籍の最後に、また別のディレクターが、正解に対して「成解」っちゅう言葉を挙げて、こう締め括るがやき。
「防災対策は、各人がいつ、どこで、どんな形で災害に遭遇するかによって違うてくるがよ。ひとつのマニュアルやノウハウにこだわりゃあ、それがあだになることすらあるがやき。『成解』は皆で知恵を集めて考え、いくつもの答えを形作っていくっちゅうことながよ。」
「MEGAQUAKE 巨大地震」・・・ワシがこの書籍を読んでの感想を、最後に書かせていただきますぜよ。
巨大地震が起こるがを止めるこたぁできん。
南海大地震も来るろう。関東大震災もあるろう。
けんど、地震による被害の方は、備える知恵で大幅に回避できるっちゅうことながやき。
ほいたら、今ワシらあの成すべきことは、まずはもちろん、今回の地震による被災地の復興を1日でも早う成し遂げ、その後はあらゆる知恵を動員して、そりゃあ国も、地方も、地域社会も、家庭も、個人でも、次の地震に備えることながよ。
さらに、地震っちゅうんは1000年単位で考えにゃあイカンっちゅうことを理解し、1000年後の子孫を守るためにも、しっかりと地域社会に伝えて続けて行かにゃあイカンがやき。
そういうことが、言い伝えや民話や伝説らあになって、地域に残っていくもんながかもしれんのう。
それが、1000年後の子孫を救うかもしれん、ワシらあにできる唯一の方法やとしたら、地域の言い伝えや伝説がいかに大事なもんながか、その真の重みをズッシリと感じることができるがぜよ。
NHKスペシャル MEGAQUAKE巨大地震―あなたの大切な人を守り抜くために!
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