「減速して生きる 〜ダウンシフターズ〜」(高坂勝 著 幻冬舎 1300円＋税 2010年10月10日発行)っちゅう書籍ながやき。
まず、なんでこの書籍に出会うたかっちゅうたら、6月29日(水)の高知新聞夕刊に、著者の高坂勝さんの高知市でのご講演の記事が掲載されちょったきながよ。
「収入減っても幸せに」っちゅう見出しのその記事にゃあ、高坂さんの講演の内容の抜粋が書かれちょって、著書に「減速して生きる 〜ダウンシフターズ〜」があるっちゅうことも掲載されちょったがやき。
その記事の内容と著書のタイトルに惹き付けられてしもうて、思わず書店に走って著書を購入したっちゅう訳ながよ。
ワシとしちゃあチクと珍しい、マイナス思考的な書籍ながやき。
けんど、時代はまさにそういう時代になっちゅうし、また実際の内容的にゃあ決して単純なマイナス思考の本じゃあないがぜよ。
内容を簡単にご紹介すりゃあ、大学卒業後、大手デパートに就職し、地方店の責任者を任され、希望に燃えてバリバリ働きよった著者が、「何のために利益を追い求めるがか」っちゅうて、大量に物を売るがが良しとされる資本主義のシステムに疑問を持つようになるがよ。
ほんで悩んだ末、30歳で会社を辞めて、放浪の旅に出るがやき。
そんな旅の、ある東北地方の丘で、月がゆっくりと海に沈む光景を見て感動し、しばらく時間が止まったような感覚で海の彼方の一点を見続けることになるがよ。
ほんで、何をするにもお金がいると思うちょったけんど、お金がのうたち感動できるっちゅうことに気づくがやき。
旅が人生観を変え、高坂さんは7年前に池袋にバーを開店するがよ。
「たまにはTSUKIでも眺めましょ」(http://ameblo.jp/smile-moonset/)っちゅう変わった名前のそのオーガニックバーは、内装も自ら手がけたっちゅうわずか6.6坪14席の店。
ナント！「繁盛しない」が目標で、週に2日は休むっちゅうがやき。
年収は600万円から350万円になったけんど、ホンマに必要なもんを見直しゃあ出費は減り、自分と家族に費やす時間は増えて、人生は豊かになったっちゅうがよ。
お店をオープンして丸4年が過ぎた2009年、お客様へのメルマガで週休2日をお知らせした文章にゃあ、そんな高坂さんの想いやポリシーがギュッと詰まっちゅうように感じるき、ちくと以下にご紹介しますぜよ。(※土佐弁訳:ワシ)
『「たまにはTSUKIでも眺めましょ」は
今年より週休二日のお休みを頂きます。
当店は肥大化しすぎた経済へのアンチテーゼとして、
「ちんもうてえい」「ゆっくりでえい」「無駄でえい」
「がんばらいじゃちえい」「好きに生きてえい」
「大儲かりせいでえい」・・・なる営みで、
持続可能に5年を経るに至ったがやき。
お取引先、そしてお客様との、顔の見える関係性のお陰ながよ。
本当にありがとうございます。
現在の世界経済危機に至って想うことやけんど、
セル(売上げ)シェアリング
ワークシェアリング
ワーク＆ライフバランス
が今こそ大事やねや。
作りすぎたり、買いすぎたり、捨てすぎる経済から、
適正な経済による幸せへ「ダウンシフト」したいもんながよ。
増えた休日は、
「執筆」「音楽」「小旅」「田んぼのある住まい探し」
「家族との時間」らあに充てるつもりながやき。
どうかみなさまにとっての新年が、
好きなことを素直にできる時代への契機になることを
お祈り申し上げますぜよ。』
このメルマガの文章やち、ナルホドこういう考え方もあるがかと目からウロコやったがやけんど、その他にも「スモールメリット」「ミニマム主義」「『円(カネ)』を儲けるのでなく、『縁(ツナガリ)』を設ける」「半農半Ｘ」「システムから降りる」「小ささで世界を変える」・・・らあの考え方は、まっことさらに目からウロコが落ちまくりやったがやき。
特にワシが目から一番でっかいウロコを落といたがは、「巨大市場から降りる」っちゅう考え方やったがよ。
高坂さんは、なるべく巨大資本のお店で買い物も外食もせんようにしゆうっちゅうがやき。
自動販売機、コンビニ、チェーンの飲食店、大型スーパー、百貨店などなど。
理由は以下の三つやっちゅうがよ。
�．錺靴�払うたお金が、どう流れていくか見えんから。
�▲錺靴�買うたち買わいじゃち、大企業にゃあ大きな影響はないから。
��マニュアルで「アリガトウゴザイマス」っちゅう店員さんに、感じるもんがないから。
さらに高坂さんは、こう続けるがやき。(※土佐弁訳:ワシ)
「信頼しちゅうチンマイ個人経営のビジネスに払うたワシのお金は、アマゾンの森を伐採することに使われんやろう。
軍需産業に投資されたりせんやろう。児童労働に帰さんやろう。仕入先に対して無理な条件を押し付けて暴利を貪ることに寄与せんやろう。近所の同業者を買収するための資金になったりもせんやろう。
ワシが望まん方向にお金が流れんようにするためです。
おそらく、ワシが信頼して払うたお金は、店主の子どもの教育費や、ちょっと贅沢な食事や買い物に、もしくは、もっと信頼できる商いへの投資になるかもしれんがよ。
悪いほうへ使われたとしたち、せいぜい店主が街のパチンコ屋ですってしまうばあのことやろう。
どうせお金を使うやったら、そういう顔の見える関係に払うほうが楽しいし気持ちえい。
ワシが払うたわずかなお金は、ちんまいビジネスにとっちゃあ大きな意味を持つがやき。
そうやとすりゃあ、経営主はお客様にマニュアル的な棒読みで目を合わせんと、〈アリガトウゴザイマス〉たぁ言わんやろう。」
自分が望まん方向にお金が流れんようにするっちゅう発想は、恥ずかしながらワシゃあ日常の生活の中で考えたこともなかったき、まっこと衝撃的やったがよ。
「減速して生きる 〜ダウンシフターズ〜」・・・皆さんも目からウロコを何枚も落とすこと請け合いやと思う、お薦めの書籍ながぜよ！
減速して生きる―ダウンシフターズ
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