「絶対にゆるまないネジ」〜小さな会社が「世界一」になる方法〜(若林克彦 著 中経出版 2011年3月3日発行 1300円＋税)をご紹介しますぜよ。
この本の著者は、東大阪に本社を置くハードロック工業株式会社っちゅうネジ(ナット)をつくる会社の社長さんながよ。
この会社は、従業員50名弱の中小企業で、しかもネジ(ナット)っちゅう完全に成熟しきった業界で、100％国内生産にもかかわらず、世界的にもこぢゃんと高い競争力を誇っちゅう、驚くべき会社ながやき。
なんぼ考えたちネジ(ナット)らあて、「ハイテク」たぁほど遠い、こぢゃんと「ローテク」で、どうやったち工夫の余地らあなさそうな商品やけんど、著者の若林社長はそうは考えざったっちゅうがよ。
一見、ローテクな技術やち、コツコツと突き詰めていきゃあ、他社との差別化も可能になるし、普通の会社やち、その分野で世界一になることができると若林社長は断言するがやき。
その理由を、若林社長はこう表現するがよ。
『なぜなら、世の中のモノは常に“不完全”やからながよ。当然、そこにゃあ必ず改良の余地があるがやき。ほんじゃき「どんなビジネスにやちチャンスがある」とワシは思うがぜよ。』
いったいネジ(ナット)のどこに改良の余地があるがかと思うろうけんど、なんと同社は「絶対にゆるまない」っちゅう独自技術を開発し、完全な差別化を成功さいちゅうがやき。
同社のゆるみ止めナット「ハードロックナット」は、「絶対にゆるまない」っちゅう安全を提供することで、世界のハイテク技術に貢献しゆうがよ。
その「ゆるみ止め」の技術は、2005年にコロラド州デンバーで開催された、アメリカ機械学会での研究論文で、「ハードロックナットはその構造上、絶対にゆるまない」っちゅうことが科学的に証明されたっちゅうきスゴイがやき。
若林社長は、そんな会社の社長として、「これからの日本の製造業はどうしていきゃあえいがか」「中小企業はどうやって生き残りを図りゃあえいがか」っちゅう質問をよう受けるらしいがやけんど、決まってこう答えるっちゅうがよ。
『アイデアからオンリーワン商品をつくることぜよ。』
アイデアは、誰にじゃち平等にある財産やっちゅうがやき。
アイデアっちゅうたち、特別に難しい技術である必要はないっちゅうがよ。
ちょっとした身の回りのこと、困ったこと、「こんなもんがありゃあえいに」と感じたこと、それがアイデアやっちゅうがやき。
ハードロックナットも、特別に難しい技術じゃないっちゅうがよ。
ただ、ネジがゆるんだら困る、それやったら、ゆるまないネジをつくるにゃあどうすりゃあえいか、それだけを考えて、アイデアを出してきたっちゅうがやき。
半世紀もの間、「ゆるまないネジ」っちゅうテーマに挑み続け、アイデアを出し続けてきたっちゅうき、スゴイがぜよ。
企業経営を行う上でいちばん大切やと思うことは「オンリーワン商品」を生み出すための「アイデア」やっちゅう若林社長やけんど、次に大切なことは何かっちゅうたら、意外にも「営業」やっちゅうがよ。
同社みたいに技術で勝負しゆう会社が「営業」を重視するたぁ、ちくと意外やけんど、若林社長の「えい商品やから売れるたぁ限らん」「せっかくの発明も、売り込まにゃあ日の目を見るこたぁない」「どれっぱあえい商品やち、売れるまでに最低2〜3年はかかる」っちゅう言葉を聴きゃあ、ナルホドながやき。
また、絶対にゆるまないネジは「クレームから生まれた」として、「お客様からのクレームは、新しいアイデアを生み出すチャンス」やっちゅうがよ。
ほんじゃき「決してクレームから逃げちゃあイカン」っちゅうがやき。
いまや同社のネジ(ナット)は、東京スカイツリー、瀬戸大橋、英国・台湾高速鉄道と、世界中で大活躍しゆうがやけんど、若林社長はナント、それでもまだまだ完全な姿やないっちゅうがよ！
現時点の弱点は、�―杜稔�締め付けの手間�２然� の3つやっちゅうがやき。
ほんでいまも、この3つの弱点克服に向けて、現状に満足することのう、永続的に改善活動を続けていき、究極の「ゆるみ止めナット」の開発を目指していくっちゅうがぜよ。
まっこと、ネジ(ナット)でここまでできるがやったら、他のどんな分野の会社やちできんこたぁ絶対ないと思わんかよ。
ネジにできるやったら、日本酒やちまだまだ開発の余地、弱点克服の余地はナンボやちあるっちゅうことながやき。
とにかく本書を読みゃあ、こぢゃんと勇気を与えられるし、またその開発手法らあは再現性も高いらしいきに、誰やち「世界一」っちゅう目標が、グッと身近に感じられるようになるがよ。
そういう意味じゃあ同社は、あらゆる日本の中小企業のモデルケースと言え、この書籍は中小企業のバイブルやと言えるがぜよ。
絶対にゆるまないネジ―小さな会社が「世界一」になる方法
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