2012年04月12日

BRUTUS」特集「大友克洋、再起動。」ぜよ!

 今回は、ちくと珍しゅう雑誌のご紹介ながよ。


 マガジンハウスさんの月2回発行(毎月1日・15日発行)の雑誌「BRUTUS」(2012年4月15日号)が、「大友克洋、再起動。」っちゅう特集やったもんやき、思わず買うてしもうたがやき。BRUTUS「大友克洋、再起動。」BRUTUS「大友克洋、再起動。」内容BRUTUS「大友克洋、再起動。」内容2












 大友克洋さんといやあ、「AKIRA」っちゅう漫画やアニメで大ブレイクしたき、ご存じの方も多いろう。


 ちなみに「AKIRA」は、日本の漫画やアニメが海外でブレイクするキッカケをつくったともいえる、漫画史に残る名作ながよ。


 もちろん「AKIRA」もえいけんど、実はワシにとっちゃあ、大友克洋さんと言やあ、もっと以前の漫画作品にこぢゃんと思い入れがあるがやき。


 ワシがまだ高校生の頃、大友克洋さんの一連の短編漫画(単行本「ショート・ピース」集録の漫画)に初めて出会うて、そのあまりにリアルな抜群の画力に、度肝を抜かれたがが最初ながよ。


 また、大友さんにゃあ「ファイアーボール」っちゅうスゴイSF大作(当時は当然まだ単行本未収録)があるらしいっちゅう情報を、おんなじように大友作品にハマった仲間が教えてくれて、後日その作品を手に入れて初めて読んだ時にゃあ、もう衝撃っちゅうか戦慄っちゅうか、大カルチャーショックをうけたがやき。


 その圧倒的な絵のうまさ、これまでの漫画にゃあなかった映画的な構図やコマの流れやストーリー展開らあに、すっかり魅了されてしもうたがよ。


 その後、さらに「童夢」で日本SF大賞を受賞するなどして、日本の漫画史は「大友以前/大友以後」でハッキリ分かれると言われるばあ、大友さんはスゴイ存在になっていき、「AKIRA」でその頂点を極めた感があるがやき。


 ところがこの「AKIRA」(1982〜89年頃)以降、ほとんど漫画作品らしい漫画作品は発表されんなって、「スチームボーイ」(2004年)らあのアニメの原案、脚本、監督を担当されてからは、あんまり名前を聞くこともなかったもんやき、ワシゃあもはや漫画の世界から引退されたがやないかと思うちょったがよ。


 ほいたらナント!この「BRUTUS」の特集にて、ついに大友さんが再起動するっちゅう発表があり、約3000枚の原画を見せる展覧会の開催や、映画祭出品を視野に入れたオリジナル新作アニメの制作、さらに「AKIRA」以来となる新連載漫画を執筆中やっちゅうがやき、こりゃげにしょうまっことタマランがぜよ!


 まず展覧会は、「大友克洋GENGA展」っちゅうタイトルで、4月9日〜5月30日、秋葉原の〈3331 Arts Chiyoda〉にて開催中ながやき。


 大友さんは宮城県出身やき、来場者収益の一部を東日本大震災復興の支援活動にされるようながよ。


 日時指定の完全予約制で、予約はローソンチケットにてっちゅうことやき、こりゃ大友ファンはへんしも予約せにゃあ!


 次にオリジナル新作アニメは、「スチームボーイ」スタッフと制作に1年かけた、13分の短編作品ながやと。


 タイトルは「火要鎮(ひのようじん)」。


 江戸の大火を舞台に、商家の娘・お若と幼馴染みの松吉との淡い恋を炎に重ねて描いた作品やっちゅうがやき。


 「SHORT PEACE」と名づけられたオムニバスプロジェクトの一編として劇場公開される予定やっちゅうき、こりゃまた楽しみながよ!


 ほんで、「AKIRA」以来22年ぶりの長編連載やっちゅう、待ってましたの新連載漫画は、意外にも「週刊少年サンデー」で、時代設定は明治時代、準備のために京都を取材に訪れ、資料としちゃあ「幕末明治百物語」に目を通したっちゅう作品らしいがやき。


 構想4年で、既に連載のための取材をしもって、下書きを進めゆうっちゅうきに、まっこと連載スタートが待ち遠しゅうて待ち遠しゅうて、タマランがぜよ!


 ほいたら最後に、今回の「BRUTUS」の特集の中で、ワシがこぢゃんと感動した部分があるきに、その部分を以下にご紹介しちょきましょうか。


 こりゃあある意味、全ての「モノづくり」に通じる、こぢゃんと学びになる内容やと思うがよ。


〈「AKIRA」担当編集者・由利耕一氏談〉(※土佐弁訳竹村)
「ある時、大友さんがいっつもよりか早うに原稿を描き始めたことがあったがよ。復活したアキラがネオ東京に爆発を起こすシーンで、こっちは嬉しゅうて“どういたがですか”らあて言いよったがやけんど、大友さんはひたすら徹夜で何かを描き込みゆうがやき。後で見たら、そりゃあ爆発しちゅう部分を黒うするためにずっと掛け網をやりよったがよ。それからしばらくして飲みに行った時に、“大友さん、あのシーンばっかし随分やりよったけんど、あそこは先に全部黒う塗って、後から白い点を置いてしまやあ楽ながやないがかえ”っちゅうたら、大友さんが怒ったがやき。“コマにゃあ描かれてないけんど、あの街にゃあ何百万人もの人が住みよって、この爆発によってその人らあが亡くなるがよ。そういう時に掛け網ばあちゃんとやっちょかざったら、その世界に入っていけんがやき”っちゅうたがぜよ。」


〈大友克洋インタビュー〉(※土佐弁訳竹村)


「見る方はそこまでビル描かいじゃちえいがやないが、そこまで老人のシワを描かいじゃちえいがやないが、と感じると思うがやけんど、人を振り向かせるためにゃあ、これっぱあのもんがないとダメやと思うて描きゆうがやき。呪術のような、力を込めたい。雲の線一本、建物の線一本引くにも、『雲になれ』『ビルになれ』っちゅうて念じもって引きゆうわけながよ。そういう『呪い』があれっぱあ溜まっちょりゃあ、お客さんも気持ち悪うなるがやないろうかと(笑)。みんなあそうながよ、ホンマは。そういう感覚は単行本1冊分の原画じゃわからん。やっぱし2000枚ばあ固まっちゃあせんと。」

〈第3巻の爆発シーン、黒い光球をベタで塗るがやのうて、掛け網で描かれたっちゅうエピソードがあります。そうやって描きゆううちに作品にのめり込んでいくがやと。〉掛け網の光球


「そんなこともあったような気がする。そうやって呪いを込めゆうがやき。確かに原画展を見てもらやあ、ベタやないっちゅうがはわかるのう。」

〈着彩がアナログながもおんなじ理由ながですか?〉

「コンピューターやと呪いがかけれん、っちゅうか、呪いが薄いがです(笑)。」


 このあたりの大友さんのエピソードや発言は、まっことワシらあにとったち、こぢゃんと学ぶべきくがあるがよ。


 酒造りやち、瓶詰め作業やち、さらにゃあ営業活動やち、電話一本やち、それっぱあの「念い(おもい)」を込めて仕事しゆうろうかっちゅうことながやき。


 「念い」らあて、込めたち込めざったち結果は変わらん、っちゅうて思いゆう人は、大友さん流に言わいてもらやあ、「呪いをかけれん人」ながよ。


 どんな分野やち、超一流の天才と言われるような人らあは、皆さん共通する部分があるがやけんど、今回の大友さんのエピソードや発言からは、天才に共通するキモの部分を、チラリと垣間見せてもうたような気がするがぜよ。








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