今回は、グッドデザインカンパニー代表の水野学さんの著書、「アウトプットのスイッチ」(水野学 著 朝日新聞出版 1400円+税 2012年4月30日発行)をご紹介しますぜよ。
著者は、商品が売れるためにゃあ、コンセプト、デザイン、ネーミングらあのクオリティだけじゃあ足りんっちゅうがやき。
それにゃあアウトプット・・・“最終的に表現したもん”の質が最も必要やっちゅうがよ。
そんな俊英のアートディレクターが明かす、まったく新しいクリエイティブ思考と仕事術をまとめ、「売れる」の秘密を公開したがが本書ながやき。
そもそも人は、アウトプットしか見んと著者は言うがよ。
アウトプット、つまり“出力されたもん”を見て瞬間に評価し、「買う・買わん」ちゅう決定を下しゆうっちゅうがやき。
たとえば「アップルの商品が売れた理由は、かっこえいから」っちゅうて話しゃあ、なんちゅう短絡的な分析やと言う人がおるがよ。
「販売戦略が革命的やった」とか、「ジョブスのプレゼン能力がすごかった」とか、それっぽい売れた理由はナンボやち出てくるがやき。
けんど実は、それらあすべて、「かっこえいっちゅうアウトプット」に集約されちゅうっちゅうがよ。
アップルのかっこよさたぁ、シンプルで革命的な商品デザインによってのみ生まれたもんやないっちゅうことながやき。
ジョブスのプレゼン能力、開発に秘められた物語、iTunesの販売戦略、かゆいところに手が届くユーザーインターフェース、見るもんをハッとさせるCM、そして細部にまでこだわったパッケージ。
これらあすべてが集約されたもんが、アップルの商品一つ一つから表出されるアウトプットとなり、「アップルのかっこよさ」をつくり出しちゅうっちゅうがよ。
そもそも、このアウトプットにたどり着くまでのアイデア、思い、哲学、情熱がなかったら、開封後すんぐに捨ててしまうパッケージまでを洗練されたデザインにすることらあて、できんろうっちゅうがやき。
それらあが商品の向こうに見え隠れするきに、人はアップルの商品に惹かれるっちゅうがよ。
もし、アップルとまったくおんなじデザインの別製品があったとしたち、プレゼン能力も販売戦略も秘められた物語もそこに集約されちゃあせんかったら、人は、ここまで「かっこえい」たぁ感じんかもしれんっちゅうがやき。
ほんじゃき著者は、「人はアウトプットしか見んし、アウトプットの裏側にあるもんを見抜く」っちゅうがよ。
ほんで、以下の二つが組み合わされたもんが、本書の中で指すアウトプットやっちゅうがやき。
〈A〉「品質」「価格」「デザイン」「パッケージ」「広告」といった意識的なアウトプット。
〈B〉発信する人や会社が内包しちゅう、無意識のアウトプット。
さらに、AとBの隔たりはごく薄い一枚の膜のようなもんやっちゅうがよ。
Bは簡単に皮膜を透過し、取り繕うたAに影響するっちゅうがぜよ。
ほんで著者は、「売れる」をつくる決定打になるがは、「どこまで緻密にアウトプットの質を高めちゅうか」やっちゅうがやき。
ほいたら、アウトプットの質は、どうやって高めていきゃあえいがか?
たいていの場合、その商品やサービスの中に、答えもしくは答えを見つけるヒントがあるっちゅうがよ。
一番大切ながは、本質をいかに突くかっちゅうこと。
ほんで第二段階は、どちらの方向に魅力を伸ばしてあげりゃあえいかを見極めること、どの部分を大切にしてアウトプットすりゃあえいかっちゅう、大枠をつくり出すことやっちゅうがやき。
第三段階は、「意識的なアウトプット」のクオリティを高める作業やっちゅうがよ。
つまり、「品質」「パッケージ」「広告」そのほかのクオリティをどれっぱあ高めていくかを、考え抜いて選択し、表現するっちゅうことながやき。
さらに、第一段階の前にゃあ、“ゼロ段階”、つまり、「無意識のアウトプット=思い」があるっちゅうて、著者は付け加えるがぜよ。
ほんで著者は、アウトプットの本質を突くための方法、つまり「売れる」ための秘策を導き出す方法として、「〜っぽい分類」っちゅう独自の手法を紹介するがよ。
こりゃあ実は、著者がこれまで頭の中でやってきたことやっちゅうがやき。
対象となる商品やサービスの持つ魅力をさまざまな角度から「〜っぽい」ちゅう表現を使うて「分類」することで、本質に近づいていくっちゅう方法ながよ。
これを著者は、実際に自身が手がけた製品を具体例として解説してくださるがやき。
奈良の中川政七商店さんによる靴下の新ブランド、「2&9(にときゅう)」の開発事例は、まっこと具体的で、こぢゃんと分かりやすかったがよ。
また他にも、熊本県のキャラクター「くまモン」や、「東京ミッドタウン」のイベント広告、ブリジストンのオシャレなママチャリ自転車「HYDEE.B」、台湾セブンイレブンのPB「セブンセレクト」らあの開発事例も詳しゅう語られちょって、まっことこぢゃんと学びになったがやき。
さらに後半にゃあ、生物学者の福岡伸一さんと著者との対談も完全収録されちょって、こぢゃんと充実した完成度の高い書籍となっちゅうがよ。
「アウトプットのスイッチ」・・・こりゃあ、モノを売るすべての人に必読の書やといえるがぜよ。