「負けっぷりは立派にしょうっちゅうんが、ワシの総司令部に対する一貫した考え方やったがぜよ。」(吉田茂)
先週9月8日(土)の21時から、NHK総合の土曜ドラマスペシャルにて、渡辺謙さん主演「負けて、勝つ〜戦後を創った男・吉田茂〜」(毎週土曜日・全5回)の放送がスタートしちゅう(今夜が第2回)き、それを記念して今回も、高知県出身の総理大臣であり、司牡丹の愛飲者でもあられた吉田茂首相の言の葉を取り上げさいていただくがよ。
さて、今回の言の葉は、第1回のドラマを見てもよう分かるけんど、占領下の日本における最高権力者マッカーサー元帥と初めて対峙した時、吉田茂外務大臣(当時)はまったく卑屈になることのう、堂々と渡り合うがやき。
マッカーサー元帥が自分の葉巻を吉田外務大臣に勧めた時、「そりゃあフィリピン産でしょう。ワシゃあキューバ産しか吸わんがやき。」っちゅうシーンがドラマにもあったけんど、こりゃあ史実らしいがよ。
戦勝国の元帥がフィリピン産の安物の葉巻を吸いゆうに、敗戦国の外務大臣が最高級のキューバ産の葉巻を吸いゆうっちゅうんは、まっこと痛快な話ながやき。
さらに実は、こりゃあ葉巻だっけの話やないがよ。
どういたち人間は、敗者になりゃあ、卑屈になってしまいがちながやき。
ほいたら、何ちゃあ関係ないことまで、何でもかんでも勝者の言いなりにならにゃあイカンと思うてしまうがよ。
けんどそりゃあ結局は、勝者からバカにされることになり、いつまで経ったち対等に会話すらしてもらえん立場に、自らを追い込む行為になるがやき。
もちろん敗者やき、ましてや占領下の敗戦国ながやき、その立場はしっかりわきまえにゃあイカンがやけんど、卑屈になってしもうたらイカンっちゅうことながよ。
その微妙なニュアンスを吉田首相は、「負けっぷりは立派にしょう」っちゅう見事な表現で表しちゅうがやき。
これがこぢゃんと難しいこたぁ分かっちゅうけんど、ワシらあも負けた時にゃあ吉田首相を見習うて、負けっぷりは立派にしたいもんながぜよ。