2012年10月08日

幸せの言の葉〈623〉

『「司牡丹」っちゅう名の酒で、以来その酒を愛用しゆうがよ。』(吉田茂)


先月9月8日(土)の21時から、NHK総合の土曜ドラマスペシャルにて、渡辺謙さん主演「負けて、勝つ〜戦後を創った男・吉田茂〜」(毎週土曜日・全5回)の放送がスタートし、一昨日がその最終回第5回の放送やったき、それを記念して今回も、高知県出身の総理大臣・吉田茂首相の言の葉を取り上げさいていただくがよ。


さて今回の言の葉は、政界引退後の昭和38年(1963年)に出版された「世界と日本」(吉田茂 著 番町書房)の中に、「味のお国自慢」として掲載されちゅうもんながやき。


詳しゅうは、以下の通りながよ。


「子供のころ、土佐の高知で地酒のドブロクを飲まされ、酔うて苦しい思いをした記憶があるがやき。そのせいか、高知の酒はまずいっちゅう印象が強う残っちょったがよ。先年、はじめて選挙に出ることになって高知へ渡った際『土佐の酒はまずいきに、えい酒を東京から持って行こう』ちゅうて語ったことがあるがやき。これを伝え聞いた選挙区の有志らあから『土佐にゃあ自慢の酒がある』っちゅうて叱られたがよ。なるほど、土佐に着いて飲まされた酒は上等やったがやき。『司牡丹』っちゅう名の酒で、以来その酒を愛用しゆうがよ。(中略)とにかく『司牡丹』は自慢に値するがやき。」


この吉田首相の愛飲された酒が、現在の「豊麗司牡丹」(純米酒)で、これをきっかけに吉田首相と当時の司牡丹社長・竹村源十郎(ワシの曾祖父)との交流が始まったらしいがよ。


ちなみに一昨日のNHKドラマ「負けて、勝つ」の最終回じゃあ、サンフランシスコ講和会議に旅立つ前のお祝いの席に届けられた一升瓶がチラッと映っちょったけんど、実はあれは美術スタッフさんが撮影用に作られた、本物そっくりの「豊麗司牡丹」やったがやき。


また、講和条約を無事締結し、サンフランシスコから帰国した吉田首相が後妻の小りん(本名:坂本喜代)さんと2人っきりでお祝いの杯を酌み交わすシーンがあり、お銚子と杯しか映らんかったけんど、あのお酒は間違いのう「豊麗司牡丹」やっちゅう設定のはずながよ。


事実、吉田首相の本物志向のこだわりは半端やなかったらしゅうて、葉巻はキューバ産の「コロナ・コロナ」、マッチは軸が長うて折れにくい英国ブライアント&メイ社製、シガーカッターはドイツのヘンケル社製、ウイスキーは「オールド・パー」、寿司は銀座の「久兵衛」、ほんで日本酒は「豊麗司牡丹」と決まっちょったらしいがやき。


不屈の精神で戦後日本を復興に導いたリーダーの苦労を、他のこだわりの逸品らあと共に「豊麗司牡丹」がチビッとやち癒すことができたがやとすりゃあ、これ以上誇らしゅうて光栄なこたぁないがぜよ!




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