11月6日(火)は、佐川町役場の和田さんに誘われ、なかなか珍しい日本に自生する唯一の野生のミカン、ニッポンタチバナが町内にあるっちゅうことで、ちくと見に行ったがやき。
和田さんは、ワシが理事長を務めさいてもらいゆう土佐学協会(http://tosagaku.cocolog-nifty.com/report/)の会員でもあり、先日通勤途中で会うて、次年度の土佐学協会のメイン研究のテーマが「土佐の食における酢ミカン文化の検証」に決まったっちゅう話を、ちくとさいてもうたがよ。
酢ミカンたぁ、正式にゃあ香酸柑橘類っちゅうがやけんど、要するにそのまんま食べるがやのうて搾りかけるタイプのミカンで、柚子やブシュカンや直七と高知県じゃあいろいろあって、それらあを季節や食材によってかけ分けるっちゅう、こぢゃんと豊かな食文化が根付いちゅうがやき。
ほいたら和田さんから、「そういやあ佐川町内に、日本に自生する唯一の野生のミカン、ニッポンタチバナの珍しい木がありますよ」っちゅう話が出て、それを見に行くことになったっちゅう訳ながよ。
和田さんに連れられて着いた場所は、斗賀野小学校。
ここの校庭の片隅に、ニッポンタチバナの木が植わっちゅうがやき。
なかなか珍しい木やっちゅうに、あまりに普通に植わっちゅうがに逆に驚いてしもうたがよ。
おっ!確かにミカンみたいなちんまい実がなっちゅう、なっちゅう!
今頃の時期が、ちょうど実がなる時期らしいがやき。
ちくと実を採ってもうと葉っぱの中に手をのばしたら、あちこちになかなか鋭いトゲがあって、チクチク痛いこと痛いこと!
実を手に採って香りをかいでみたら、確かに上品なミカンの香りながよ。
皮をむいてみりゃあ、これまたチンマイながらまったくのミカン!
食べれんこたぁないっちゅうことやったき、ちくと口の中に放り込みゃあ、実に比べて大きめの種がジャマやけんど、思うたよりかイケるがやき。
甘みはあんまりないけんど、爽やかな酸味があって、食べるミカンにゃあむかんろうけんど、酢ミカンとしちゃあ使えんこたぁないがやないろうかのう。
ちなみに、なんでニッポンタチバナの木がここにあるかっちゅう由来が、なかなか面白いがよ。
ニッポンタチバナは、佐川町出身の世界的な植物学者、牧野富太郎博士が命名したもんながやき。
牧野博士は、佐川町川の内の石灰岩地に、珍しいニッポンタチバナの木が1本だっけ自生しちゅうがを、明治25年11月に発見したがよ。
ちなみにその木は、町指定の天然記念物として保護されちゅうらしいがやき。
ほんで記念として、その木の子どもに当たる苗を、川の内の近所にある斗賀野小学校の校庭に植えたっちゅう訳ながよ。
ほいたらせっかくやき、その川の内の立て札がある場所まで行ってもうっちゅうことになったがやき。
国道494号線をちくと走りゃあ、山ん中のカーブんところに、ポツンと立て札が。
こりゃあなかなか気づかんろう!
立て札にゃあ、「ニッポンタチバナ(対岸)」「牧野富太郎博士発見命名」「佐川町指定文化財」っちゅう表示があったがよ。
ん・・・?対岸??
そうながよ。その記念すべきニッポンタチバナを見るためにゃあ、この立て札のある場所からケモノ道みたいな山道を谷へ下り、対岸に渡らにゃあイカンがやき。
サスガにそりゃあ断念さいてもうたけんど、和田さんは「見とうなったらいつじゃちご案内しますよ」と涼しい顔。
いやいや、ここを下るにゃあ、山登りする装備で来にゃあイカンですき!
ともあれ、和田さん!なかなか面白いもんを見せていただき、まっことありがとうございましたぜよ。
最後に、タチバナのウンチクをチビッと。
タチバナは、漢字じゃあ「橘」ながよ。
その葉は、松らあと同様に常緑で、それが「永遠」を喩えるっちゅうことで尊ばれ、名前や家紋らあにも、よう用いられるがやき。
「古事記」「日本書紀」にも不老不死の力を持った霊薬として登場するがが、今のタチバナやと言われちゅうがよ。
古今和歌集にゃあ、「五月待つ 花橘の香をかげば 昔の人の袖の香ぞする」(よみ人しらず)っちゅう有名な和歌があり、以来「橘」は、懐旧の情、特に昔の恋人への心情と結びつけて詠まれることになったっちゅうがやき。
さらに1937年に制定された文化勲章は、橘をデザインしたもんながよ。
当初の意匠案は桜をデザインしたもんやったがを、昭和天皇が「桜は花も葉も散ることから潔う散る武人の象徴となってきたがに対し、常緑樹の橘はいつ見たち変わらんことから永遠を表すもんであり、永遠であるべき文化の勲章としちゃあ橘の方が望ましいがやないか」っちゅう趣旨の意見を出されたきに、橘に変更されたっちゅう逸話もあるがやき。
いずれにしたち「橘」、ニッポンタチバナは、日本固有の、日本を代表する植物であり、永遠を表すっちゅう意味で、こぢゃんと縁起もえいっちゅうことながぜよ。
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