「人に媚びず、富貴を望まず。」(黒田官兵衛)
今回も、再来年のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の主役に決まった、黒田官兵衛(黒田孝高・黒田如水)さんの言の葉ながよ。
この言の葉は、まさに官兵衛さんならではのもんやと思うがやき。
官兵衛さんは、本能寺の変の際に泣き崩れる秀吉さんに向こうて、天下をとる好機じゃと冷静に忠言し、中国大返しの離れ業を成し遂げさせる段取りをつけて、以後逆に秀吉さんに生涯警戒されてしまうことになるがよ。
結果、秀吉さんは官兵衛さんに、その並外れた働きに見合うばあの恩賞は与えんかったがやき。
九州豊前、わずか十二万石しか与えられんかったっちゅうがよ。
秀吉さんはその後、「官兵衛がその気になりゃあ、ワシが生きちゅう間に天下をとるやろう」っちゅうて、語ったっちゅうがやき。
それ以上の広い領地を与えたら、天下をとられてしまうと、脅威に感じちょったようながよ。
それを伝え聞いた官兵衛さんは、そんな秀吉さんへの忠誠心を表すため、さっさと家督を息子の長政さんに譲り、隠居してしまうがやき。
その後、秀吉さんが亡くなり、関ヶ原の戦いの際にゃあ、石田三成さんとの確執らあもあって、官兵衛さんは徳川方につくことになるがよ。
関ヶ原で勲功をあげた黒田家は、長政さんは筑前国名島37万石への加増となり、官兵衛さんはこれたぁ別に上方での加増が提示されたがやけんどこれを辞退して、その後は一切中央の政治に関与することのう、隠居生活を送って生涯を終えるがやき。
歴史小説らあじゃあ、官兵衛さんは天下を狙いもって天下をとれざった不遇の天才武将として描かれることが多いけんど、実際にゃあ主君を裏切ったりしたこたぁ一度たりともない、忠義の人やったがよ。
「人に媚びず、富貴を望まず。」・・・官兵衛さんの生き方は、まさに戦国最強のナンバーツーとして君臨しもって家督を存続させるあり方を、見事に体現しちゅうと言えるがぜよ。