2月9日(土)は、久々に「こうち情報倶楽部」に出席したがやき。
まず15時過ぎばあに高知駅についたがやけんど、駅前の「三志士像」をチラッと見たら、ありゃ龍馬像がおらんやいか!
そういやあ、高知県野菜らあのPRで、龍馬像は2月10日まで横浜の赤レンガ倉庫に出張しちゅうっちゅうニュースを見た記憶があるがよ。
龍馬像のおるはずの場所、半平太像と慎太郎像の間にゃあ、代わりに「坂本龍馬 只今、脱藩中」っちゅう看板が立てられちょったがやき。
なかなかイキな看板に、思わずニヤリとしてしもうて、写真を撮ってしもうたがよ。
さて、会場の高知市役所鷹匠庁舎2FのNPO高知市民会議大会議室に到着。
参加者メンバーが20名ばあ集まり、今回の講師である岡山の森田酒造株式会社(http://www.moritasyuzou.co.jp/)森田社長さんもお越しになり、16時から講演スタートながやき。
演題は、「ワシが出会うた至高の食べ物〜自分の全人生を賭けたち悔いのないもんを作ろうと志す人らあがおる。ワシの旅はそんな人らあに出会う事を願う旅や。〜」。
森田社長さんは、倉敷で100年以上続く森田酒造の三代目で、平成元年に有限会社平翠軒(http://www.heisuiken.co.jp/)を設立し、2足のワラジ生活をされゆうっちゅうがよ。
まずは、森田酒造についてのお話。
規模としちゃあ600石やけんど、この規模としちゃあ多過ぎの6人もおるっちゅう、手造り蔵やっちゅうがやき。
ほんで、森田社長さんは、会社に入ってから20年近うは酒造り一筋に専念してきたらしいがやけんど、毎年毎年おんなじことをやり続ける酒造りに、変えちゃあイカン酒造りに、ちくと飽きてしもうた時期があって、42〜43歳ばあの頃に、現場から離れて全国をフラフラと歩き回ったっちゅうがよ。
全国のモノづくりの現場、職人の仕事、えいもんを作りゆう方々に出会う旅に出て、みんなあどんな気持ちでモノづくりを続けていきゆうがかを見て回ったっちゅうがやき。
そんな方々との出会いの中で、再びモノづくり、酒造りに対する情熱を取り戻すことができ、合わせて、そんな中で出会うたえいモノを世に出したいと思うようになったっちゅうがよ。
これが、全国のうまいもんを集めた「おいしいものブティック」平翠軒を設立した理由やっちゅうがやき。
また、倉敷っちゅう街は、江戸時代から天領やって、ちくと特殊な地域やったっちゅうがよ。
殿様がおらんき、旦那衆が街を運営しよったっちゅうがやき。
現代でもその流れは残っちょって、ちくと特殊な旦那衆文化があるっちゅう話は、なかなか面白かったがよ。
さて、平翠軒についてやけんど、ショップとしちゃあ、わずか31坪の狭い店やっちゅうがやき。
そんなチンマイ店やけんど、中身はメチャメチャ高密度やっちゅうがよ。
ダイヤモンドはメチャメチャ高密度の物質やきこそ、大きいダイヤモンドらあて存在せんろうっちゅう喩えは、ナルホドやったがやき。
また、そういう店やき、絶体に大手流通がマネのできん店づくりになっちゅうき、差別化もできるっちゅうがよ。
けんど、食品の店の宿命として賞味期限の問題らあがあって、オープンして3年ばあはメチャクチャ赤字を出してしもうたっちゅうがやき。
それからは嫌いな営業もしたり、試行錯誤を繰り返し、8年目ばあに黒字を出せるようになったっちゅうがよ。
森田社長さんは、ビジネスは一種の戦争やっちゅうがやき。
ほんじゃきまず大切ながは、大義が必要やっちゅうがよ。
つまり、何のために戦争するがかっちゅうことながやき。
先の大戦やったら、「八紘一宇」とか、「アジアの独立」やとかっちゅう具合に、みんなあが聞いて納得できるような大義がなけりゃあイカンっちゅうがよ。
平翠軒の大義は、以下の2つやっちゅうがやき。
【食は命である】
塩以外、食べ物たぁ全て命からできちゅうちゅうがよ。
あらためて考えてみりゃあ、確かにそうながやき。
ほんじゃき、食を扱うもんとして、命への尊厳を持ち、命を無駄にしちゃあイカンっちゅう大義を持つっちゅうことながよ。
【食は教育の原点】
ルソーの「エミール」の巻頭にゃあ、「教育の原点は食にある」っちゅうて書いちゃあるがやと。
3000gばあで生まれる人間が、60kgばあになるっちゅうこと、成長できるっちゅうこと、生きるっちゅうこと、全ては食べ物を体に取り入れることで成り立っちゅうっちゅうがやき。
次に、戦争に勝つためにゃあ、戦略が必要やっちゅうがよ。
こりゃあ、コンセプトをキチッと定めるっちゅうことやっちゅうがやき。
オープン当初のコンセプトは、「暮らしの中の食べ物」。
ほんじゃき、日常の暮らしの中でチョビッと上の、一段だっけ上質な(フォアグラらあは扱わん)生活が提案できるような食品を、400品目ばあ集めたっちゅうがよ。
ほんで、8年ばあ前に変更したコンセプトは、「暮らしの中の冒険」。
こんときにゃあ、全国のちくと珍しい食品、どっちかっちゅうたら一般的にゃあ見たことも聞いたこともないようなもんを中心に、1460品目ばあ集めたっちゅうがやき。
平翠軒の中心顧客は、約80%は女性で、家庭の主婦やっちゅうがよ。
彼女らあは、日々の生活の中で溜め込んだイライラやストレスらあを、買い物で発散するっちゅうがやき。
そんな時に彼女らあは、ふと珍しい食品に手を伸ばすっちゅうがよ。
ほんで、それが美味しかったら、リピーターになるっちゅうがやき。
平翠軒の商品の平均単価は大体500円〜600円らしいがやけんど、500円〜600円で暮らしの中で冒険が買えるやったら、彼女らあにとっちゃあ安いもんやっちゅうがよ。
3回目のコンセプト変更は3年ばあ前で、「暮らしの不思議」。
「暮らしの冒険」までやったら商品(食品)だけでもできたけんど、「暮らしの不思議」となると、商品(食品)だけじゃあ表現できんっちゅうがやき。
食品を取り巻く環境とからあまで、店全体の空気まで変えるようにして、不思議を演出しゆうっちゅうがよ。
続いて戦争に勝つために必要ながは、戦術やっちゅうがやき。
コンセプトを、具体的な形で店に落とし込んでいくっちゅうことながよ。
数知れず、毎日毎日、手を打っていくっちゅうがやき。
そんな中で、いろいろな気づきも得られるっちゅうがよ。
例えば、中心顧客は50歳〜70歳の主婦やけんど、そこの年代にターゲットを絞ったら失敗するっちゅうがやき。
いまはターゲットをアラフォー、45歳以下ばあまでに下げちゅうっちゅうがよ。
なぜなら、女性は50歳から後は、年をとらん(実際にはとるけんど、本人の気持ちとしては)きやっちゅうがやき。
こりゃまっこと、ナルホドやったがぜよ!
ほんじゃき、戦術として、その年代の(気持ちだけその年代の人も含め)彼女らあが好みそうな版画を飾ったり、BGMをかけたりして、彼女らあが「ここはワタシらあの店や!」と思うてもらえるようにしゆうっちゅうがよ。
さて、続いては商品の選別について。
選別基準はキチンと整えちょかにゃイカンっちゅうがやき。
平翠軒の選別基準は、まずは「two by two」やっちゅうがよ。
つまり、「2人の人間が2回食べてなくなる量」やっちゅうがやき。
森田社長さんは、単価はそんなに重要やない、主婦のモノサシとしちゃあここ(量)を間違うと絶体に売れんっちゅうがよ!
次の選別基準は、「ゼロかイチかっちゅうデジタルな選択は絶体にイカン」っちゅうがやき。
こりゃあ添加物らあについてのことながよ。
平翠軒は健康食品の店やないがやき、添加物らあについてを、ゼロかイチかっちゅうてシビアに選択しよったら、あまりに狭いもんになってしまうっちゅうがやき。
ほんじゃき、添加物は絶体にイカンたぁ言わんけんど、この食品やったらここまではえいけんど、これは入れ過ぎやとか、ある程度の基準を作っちゅうっちゅうがよ。
次に、選別基準たぁちくと違うかもしれんけんど、「スロー&ファスト」がこぢゃんと大切やっちゅうがやき。
食品はスローやないとイカンっちゅうがよ。
こりゃあ例えば、最近の生ハムはだいたい砂糖を入れて熟成を速めちゅうらしいがやけんど、やっぱし本物の生ハムはできるだけスローに、時間をかけて熟成さいちょって、香りが全然違うっちゅうがやき。
ほんで、そんなスローな食品は、入荷したらできるだけ速いこと(つまりファスト)売るっちゅうことながよ。
ちなみに平翠軒じゃあ、店頭販売が40%ばあ、ネット販売が40%ばあ、デパートらあのFCが20%ばあらしいがやけんど、特にネットの「ファスト」が大事やっちゅうがやき。
何が何じゃち、とにかく1時間じゃちえいき速うにお届けすることが大事やっちゅうがよ。
平翠軒のネットじゃあ、午後3時までに入った注文は、ヤマト運輸に無理ゆうたち頼んで、その日のうちに出荷するっちゅうがやき。
このスピードが大切で、これが次の注文、つまりリピートの増加に必ずつながるっちゅうがぜよ。
こっからは、パワーポイントを使うて、平翠軒の画像を見せもって、お話をされたがよ。
店内はできるだけ通路を狭うに、歩きにくうしちゅうっちゅうがやき。
これによって滞留時間が長うなり、その滞留したお客さんが、次のお客さんを呼び、そのお客さんが滞留してまた次のお客さんを呼ぶっちゅうがよ。
また、店内の一番奧を明るうしちょかんと、お客さんは奧まで入ってくれんっちゅうがやき。
ほんで、明るさは大事やっちゅうて、蛍光灯の光は、食品を冷とう見せるきイカンっちゅうがよ。
LEDもいまひとつで、白熱球が一番えいっちゅうがやき。
日本人は本能的にあたたかみがないとイカンようで、冷たいもんやちあたたかみがないと売れんっちゅうがよ。
また、商品につけるPOPは、可動式にしちゅうっちゅうがやき。
こりゃあ何のこたぁない、貼り付けんと、POPを商品の上に置いただっけっちゅうことながやけんど、これにゃあ意味があるっちゅうがよ。
平翠軒の中心顧客層の主婦は、たいてい膝と腰に弱点を抱えちゅうっちゅうがやき。
ほんじゃきPOPらあを屈んで見るがは嫌がるっちゅうがよ。
けんど、この可動式POPやったら、手に取って読めるき、屈む必要がないっちゅうがやき。
あまりにみんなあが手に取って読むき、筆文字手書きのPOPは、毎月1回は書き直さにゃあイカンばあながやと。
また、可動式POPは、なかなかお客さんが元のところに戻してくれいで、あちこちに散らばってしまうがやけんど、それをスタッフを巡回さいて、しょっちゅう直さしゆうがよ。
そん時に賞味期限切れチェックとか品出しらあをしてもらいゆうき、常に売り場は充実しちゅうっちゅうがやき。
続いては、平翠軒で取り扱いしゆう珍しい食品らあの画像を紹介し、それらあ一品一品を森田社長さんが熱い言葉で紹介されたがよ。
たとえば、イタリアのエクストラバージンオリーブオイル「カニーノ 一番搾り」。
これを森田社長さんは、オリーブの原種のシングルモルトやと表現するがやき。
また、こりゃあもはやオイルやのうてジュースやっちゅうがよ。
またこのオリーブオイルは、オレイン酸が多うて、酸化率が極端に低いっちゅう点がウリやっちゅうがやき。
酸化された油は毒と一緒やき、気をつけにゃあイカンっちゅうがよ。
こんな調子で、次々と様々な食品について、一品一品大切に紹介されていく森田社長さんの顔は、もはや蔵元っちゅうよりか、ベテラン食品バイヤーの顔やったがやき。
こうして時間いっぱいの18時過ぎまで熱う語られ、質疑応答タイムがのうなってしもうたき、続きは懇親会場でっちゅうことになったがよ。
みんなあで、今回の懇親会場「くもん屋」(高知市はりまや町1-4-15 TEL:088-882-3819)さをに向こうたがやき。
18時半から10数人ばあで、森田社長さんを囲んでの懇親会がスタートながよ。
メンバーの旭食品さんの竹内副会長さんが「酔鯨」の大吟醸を持って来られちょって、ワシも「司牡丹」の純米吟醸しぼりたて生原酒を持ち込みさいてもうて、それらあを酌み交わしもってみんなあでワイワイと語り合うたがやき。
けんど、森田社長さんは蔵元やに、お酒が飲めんっちゅうんは意外やったがよ。
てっきり土佐人にツブされんように予防線をはったがやろうと思いよったら、利き酒はできるけんど、ホンマに飲めんっちゅうがやき。
また、講演じゃあ質疑応答タイムがなかったき、みんなあから森田社長さんにいろいろ質問も殺到したがよ。
デパートのFCは、どうゆうきっかけで始まったがかについちゃあ、向こうから話があったっちゅうがやき。
そのデパートが、一時食品をやめてしもうて、アパレルらあばっかしに力を入れた時期があったっちゅうがやけんど、確かにそういやあそんな記憶があるがよ。
けんど結局は何年後かにゃあ、やっぱし食品は必要やとなったがやけんど、その頃にゃあもはや社内に食品のことが分かるもんがおらんなってしもうちょったっちゅうがやき。
そんな頃に、平翠軒に出店してくれんかっちゅうお誘いが来たっちゅうがよ。
さすがに直営店のデパート出店は無理やと断って、FCで出店さいてもらうことにしたっちゅうがやき。
また、結局そのデパートの食品全般のアドバイザーみたいなこともされゆうっちゅうき、スゴイがよ。
森田社長さん、こぢゃんと学びになるお話を、まっことありがとうございましたぜよ!
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司牡丹酒造株式会社