「鳥は卵の中から抜け出ろうと戦うがよ。卵は世界ながやき。生まれようと欲するもんは、一つの世界を破壊せにゃあならんがぜよ。」(ヘルマン・ヘッセ)
20世紀前半のドイツ文学を代表する作家、ヘルマン・ヘッセさんの言の葉ながよ。
「生まれようと欲するもんは、一つの世界を破壊せにゃあならん」っちゅうことは、何の世界も破壊してない人は、まだこの世に真にゃあ生まれてないっちゅうことながやき。
人間やち鳥と一緒で、生まれる時にゃあ「母親の胎内」っちゅう一つの殼を破って誕生するがよ。
母親の胎内と外の世界じゃあ、そりゃあ気が遠うなるばあ全く違う世界ながやき。
その殼を赤ん坊は、見事に破壊して生まれてきちゅうがよ。
ハイハイの四つ足から、二本足で歩行する時やち、そりゃあ赤ん坊にとっちゃあこぢゃんと強固な殼を破るっちゅうことやと思わんかよ。
そうやって、いくつもの強固な殼を、一つの世界を破壊して、生まれ変わってきて大人になったはずやに、さて、大人になってから、おまさんは何かの殼を破ったこたぁあるかよ?
もしそれがないとしたら、おまさんは真の人間として、まだ生まれちゃあせんっちゅうことにならんかよ?
おまさんの回りにある目に見えん殼を破って、真に誕生してみたいたぁ思わんかよ?