2013年12月28日

大ベストセラーの著者3年ぶり新刊「経営センスの論理」ぜよ!

 今回は、あの総ページ数500ページにおよぶ本格経営書の大著にして、異例の大ベストセラーとなった「ストーリーとしての競争戦略」(「2011年3月4日」と「2011年3月5日」のブログ参照)の著者・楠木建さんが3年ぶりに出した新刊、「経営センスの論理」(楠木建 著 新潮新書 2013年4月20日発行 740円+税)をご紹介しますぜよ。「経営センスの論理」「経営センスの論理」裏


 今回は、230ページばあのしかも新書本やき、わりとスッと読めるがやき。


 けんど内容は、読みやすう書かれちゃああるけんど、かなり骨太な「経営の骨法」を語り尽くしちゅう書籍で、こりゃ世の経営者はみんなあ読んじょくべきやっちゅうばあ、学びやヒントが満載ながよ。


【第1章「経営者」の論理】

 まず著者は、スキルだけじゃあどうにもならん、経営に必要ながはそれよりか「センス」やっちゅうがやき。


 すぐれた戦略をつくるために一義的に必要ながは、そりゃあ「センス」としか言いようがないっちゅうがよ。


 ほんで、まずはスキルとセンスを区別して考える必要があるとし、そりゃあアナリシス(分析)とシンセシス (綜合)の区別と言うたちえいっちゅうがやき。


 「センスがえい」たぁどういうことか、そりゃあ誰っちゃあ一言じゃあ言語化できんっちゅうがよ。


 センスは千差万別であり、一つひとつの「センスがえい」(と同時に「センスが悪い」)戦略の事例に当たり、その文脈で「センスの良さ」を読み解き、掴み取っていく・・・そうした帰納的方法しかあり得ん、ちゅうんが著者の確信やっちゅうがやき。


 また著者は、センスがえい経営者にゃあ、「良し悪し」よりか「好き嫌い」を大切にしちゅう人が多いっちゅうがよ。


 ほんで、どうすりゃあセンスが磨かれるかは、即効性のある答えはないけんど、物事に対する好き嫌いを明確にし、好き嫌いについての自意識をもつことが、センスの基盤を形成するっちゅうこたぁ間違いないっちゅうがやき。


 鋭敏な直感やセンスの根っこをたどりゃあ、そこにゃあその人に固有の好き嫌いがあり、その好き嫌いを自分で意識し、好き嫌いにこだわることによって、経営者として重要なセンスが磨かれるがじゃないかっちゅうんが、著者の仮説やっちゅうがよ。


 また、著者は、優れたリーダーは「ハンズオン」(奥座敷に引っこんじょらんと自ら現場に出る。自分の手でやる。)やっちゅうがやき。


 GEのジャック・ウェルチさんの、「何枚もセーターを着て家の中におりゃあ、外の寒さが分からん。寒さを肌で感じんと経営はできん」っちゅう言葉も、このことを現しちゅうっちゅうがよ。


 優れた経営者はなんでハンズオンながかの理由は単純明快で、自分の事業に対してオーナーシップがあるからやっちゅうがやき。


 UNIQLOの柳井正さんも、「経営は意志。意志は言葉でしか伝わらん。人が書いた原稿を読み上げるだけの経営者がおるけんど、何を考えて経営しゆうがか、不思議としか言いようがないぜよ。」っちゅうて言いゆうがやと。


 けんど実はハンズオンと同時に、ハンズオフも大事やっちゅうがよ。


 そりゃあつまり、ハンズオンを実現するためにこそ、ほいたら「何をやらんか」をハッキリさせちょかなイカンっちゅうことながやき。


 つまり、優れた経営者のハンズオンの背後にゃあ、それよりかずっと多いハンズオフの領域があると考えてえいっちゅうことながよ。


 その経営者が「何をせん」ことにしちゅうがか、これが経営っちゅう仕事を深う理解し、その経営者の資質や能力、スタイル、さらにゃあ経営哲学を深う読み解くカギやと考えちゅうと、著者は語るがやき。


 また著者は、ビジネスの根本原則である「自由意志」っちゅうんを、再確認する必要がある経営者が少のうないと嘆くがよ。


 例えば「グローバル化せざるを得ん」とか、「中国に出ていかざるを得ん」とか、「ざるを得ん」っちゅう言葉を使う経営者がおるけんど、そもそも誰っちゃあ頼んでないっちゅうがやき。


 経営者自ら「・・・せざるを得ん」っちゅうてしもうたら、もはや経営の自己否定以外のなにもんでもない、言うた瞬間、商売の根幹が失われるっちゅうがよ。


 ほんで、著者の次の言葉が、こぢゃんとグッと迫ってくるがやき!


 『当然の話やけんど、戦略は「こうなるやろう」っちゅう先読み仕事やあない。「こうしょう」っちゅう未来に向こうた意志の表明ながよ。(中略)「どうなるか」を考えたち、所詮はやってみにゃあわからん。経営にゃあ「こうしょう」しかないはずながやき。経営者から聞きたいがは、「こうしょう」っちゅう商売の意志表明ながぜよ。』


【第2章「戦略」の論理】

 当たり前の話やけんど、経営はどこまでいったちケースバイケース、すべて特殊解じゃっちゅうがよ。


 ZARAが独創的やったがは、みんなあがパドックでわいのわいのと「予想の勝負」をしよったときに、「第3コーナーで馬券を買う」っちゅう戦略を構想したことにあるっちゅうがやき。


 つまり、流行を予測するがやのうて、すでに流行しはじめたもんをいち早う取り入れてつくって売りゃあ当たる確率は高いっちゅう戦略ながよ。


 ある会社の成功なり失敗の要因を探るやったら、その事業の背後にある戦略ストーリーをじっくりと見る必要があるっちゅうがやき。


 ただし、そこで読み取れるがはあくまでもその会社の文脈にどっぷりつかった特殊解やきに、そのまんまじゃあ自分の商売に取り込むことができん、そっから本質を抽出する作業が必要になるっちゅうがよ。


 優れた経営者っちゅうんは抽象化してストーリーを理解し、その本質を見破る能力に長けちゅうっちゅうがやき。


 商売を丸ごと見て、流れ・動きを把握して、それを論理化することで本質にたどり着くことができるっちゅうがよ。


 もともとは具体的な個別の事例が、自分のアタマの引き出しにしまうときにゃあ論理化された本質に変換されちゅうっちゅうがやき。


 結局んところ本当に役に立つがは、個別の具体的な知識や情報よりか、本質部分で商売を支える論理やっちゅうがよ。


 戦略構築のセンスがある人は、論理の引き出しが多うて、深いもんやっちゅうがやき。


 他社の優れた戦略を足るばあ見て、抽象化するっちゅう思考を繰り返す・・・これが引き出しを豊かにするっちゅうがよ。


 ほんでこれこそが、独自の戦略ストーリーを構築するための王道やっちゅうがやき。


 次に著者は、イノベーションを進歩とはき違えちゃあイカンっちゅうがよ。


 イノベーションの本質は、まずは「非連続性」にあり、いまの延長上に何かを進歩させるだけやったら、「連続的に」価値が向上したっちゅう話で、「非連続性」っちゅうイノベーションの条件を満たしてないっちゅうがやき。


 さらに、イノベーションたぁ供給よりか需要に関わる問題やき、多くの人々に受け入れられて、その結果、社会にインパクトをもたらすもんでなけりゃあ、イノベーションたぁ言えんっちゅうがよ。


 これがイノベーションの第2の条件やっちゅうがやき。


 また著者は、技術進歩は「できるかできんか」の問題やけんど、イノベーションは「思いつくかつかんか」の問題であることが多いっちゅうがよ。


 ほんで、かのドラッカーさんの言葉を紹介するがやき。


 『「なんでこれが今までなかったがやろう」。これがイノベーションに対する最大の賛辞ぜよ。』


 だとすりゃあ、「なんでそうした優れた戦略を誰っちゃあ思いつかんかったがか」、これが戦略イノベーションについてのもっとも本質的な問いになるっちゅうがよ。


 ほんで著者は、戦略ストーリーの古典的な傑作、サウスウェスト航空の事例を通じて、戦略イノベーションの本質を考えていくがやき。


 サウスウェスト航空の「低コストのキャリア」っちゅう戦略は、これまでの常識やった「ハブ&スポーク方式」を使わんと、よりちんまい二次空港をつなぐっちゅう戦略ながよ。


 このとりたてて難しい構成要素に依存しちゅうわけやない戦略を、なんでそれまで競合他社が思いつかんかったかっちゅうたら、それがあきらかに「非合理」なもんとして考えられちょったからやっちゅうがやき。


 サウスウェストの戦略イノベーションから既に40年が経過し、LCCが世の中に定着した今、航空業界は、そろそろ次の戦略イノベーションが求められる段階にあるっちゅうがよ。


 次に来るもんは何か、そりゃあわからんけんど、ひっとつだっけ確かなことがあるっちゅうがやき。


 そりゃあ、今の航空業界が「合理的」やと考えちゅうことの延長上にゃあ、進歩はあったちイノベーションはないっちゅうことやっちゅうがよ。


 その業界に根づいちゅう「認知された非合理」を乗り越えるっちゅうくに、イノベーションと進歩の分かれ目があるっちゅうがやき。


 さらに著者は、アマゾンやアップルの事例を挙げて、非連続的な価値を創造するためにゃあ、使用する顧客の側での連続性を取り込むことがカギになるっちゅうがよ。


 このイノベーションの逆説的な本質を考えてみりゃあ、イノベーションが狙うべきは「いまそこにある」ニーズでなけりゃあならんっちゅうがやき。


 人間や社会のニーズっちゅうんは、その本質部分じゃあ相当に連続的なもんながよ。


 ほいたら、「まったく新しいニーズ」とか「いまはないけんど将来は出てくるニーズ」らあっちゅうようなもんは元々存在せん。いまそこにないニーズは、将来にわたってもないまんまで終わるっちゅうがやき。


 未来を予測したり予知する能力らあ必要ない。いまそこにあるニーズと正面から向き合い、その本質を深う考える。大きな成功を収めたイノベーションは、その点で共通しちゅうっちゅうがぜよ。


 また著者は、「攻撃は最大の防御」っちゅうんを、こぢゃんと極私的な事例、つまり著者のハゲ問題とデブ問題について、まっこと面白うに語っちゅうがよ。


 詳しゅうは省くけんど、ようするに著者は、追求する競争優位の次元が(多分に意図せざる成り行きで)転換する、その結果、従来の文脈じゃあ弱みやったことが弱みやのうなり、あまつさえ新しい強みの源泉になったりする、ここに「攻撃は最大の防御」っちゅう論理の本質があるっちゅうがやき。


 優れた戦略ストーリーが出てくる成り行きも、意外とこうしたところにあるがやないかっちゅう著者は、自分の弱みやと思うちゅうことがホンマに弱みながか、制約がホンマに制約ながか、それぞれに「攻撃は最大の防御」のストーリーを描いてみることをお勧めするっちゅうがよ。


 さてこの後も、『第3章 「グローバル化」の論理』、『第4章 「日本」の論理』、『第5章 「よい会社」の論理』、『第6章 「思考」の論理』とまだまだ続くがやけんど、これらあについてのご紹介は省かいていただきますきに、是非実際に本書をお読みくださいや。


 「経営センスの論理」・・・経営のさまざまな断面について、あの「ストーリーとしての競争戦略」の著者が、「頭の中でスカッとさわやかな気分になった論理」を集めたっちゅうばあある、まっことお薦めの新書ながぜよ。















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