、『「新しい日本人」が創る2015年以後』(日下公人 著 祥伝社 平成26年11月10日発行 1500円＋税)をご紹介しますぜよ。
著者の日下公人さんは、ソフト化・サービス化の時代をいち早う先見し、日本経済の名ナビゲーターとして活躍中の評論家ながよ。
その正確な未来予測にゃあ定評があるがやき。
そんな日下さんが、このタイトルで「2015年以後」を語られるっちゅうがやき、こりゃ読んじょかにゃあっちゅうことながよ。
まず、日下さんの言われる「新しい日本人」の人物像は、次のような人やっちゅうがやき。
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�⇒グ明鏤弭佑鮖�っちゅう。
��今までにない感性を持っちゅう。
�い發里瓦箸鬟好函璽蝓爾派集修任�る。
「優位戦」たぁ、こちらが主導権を握って「戦場」を選び、時も目的も手段も決められる戦いのことで、この思考に長けちゅうがが欧米の政治家や外交官、経済人やっちゅうがよ。
新しいルールを中核メンバーだけで、自分らあが有利になるように決め、あとから日本らあに参加を呼びかける。
「入らんと孤立するぜよ」ちゅうて脅かされた日本は、慌てて飛んできて、彼らに合わせた国内ルールを作って必死に追いつこうとする。
日本はこれまで、そういう典型的な「劣位戦」を強いられてきたっちゅうがやき。
けんど、「今、風向きが変わってきゆう」と、日下さんは強調されるがよ。
ビジネスの世界にゃあ、優位戦思考によって、劣位戦に追い込まれることのう、自分らあに有利な状況を作って利益を確保しちゅう人がたくさんおるっちゅうがやき。
優位戦思考ができる日本人は、明らかに増えゆうっちゅうがよ。
また、「今、求められゆうがはストーリー」やっちゅうがやき。
たとえば、なんで日本の化粧品が人気があるがか、なんで世界から高う評価されるがか、その奥にあるもんを考えてみりゃあえいっちゅうがよ。
日本人が清潔好きやっちゅう点がまず挙げられるっちゅうがやき。
さらに美たぁ何か、何が美しいがかを追求しょうとする芸術的な心を、日本人は全員が持っちょって、そのレベルが格段に高いっちゅうがよ。
文化水準や経験の蓄積に裏打ちされた、日本人の素養があるきに、化粧品のように高評価の製品はこれからもどんどん出てくるっちゅうがやき。
けんど、こうしたことを言う人が、マスコミや学者にゃあおらんっちゅうがよ。
「江戸時代から、女性は庶民までお化粧をしちょった」っちゅう人はおるけんど、歴史も含めた事実の奥にあるもんを、ストーリーとして示すことが求められちゅうっちゅうがやき。
百科事典の項目のような説明やのうて、官僚が書いた意味不明のレジュメでもない、ストーリーが書けにゃあイカンっちゅうがよ。
ちなみに、ストーリー(物語)の語源は、ラテン語の「ヒストリア」で、「時間軸によって並べられた出来事」を意味しちゅうがやと。
英語のヒストリー(歴史)にも共通しちゅうがやき。
今、もっとも求められゆうがは、時間軸も含めて全体的に見通したストーリーなんやっちゅうがよ。
化粧品の奥にゃあ清潔がある。
そのまた奥にゃあ健康がある。
身体の健康の奥にゃあ精神の健康がある。
ここまで言やあ、そこではじめて日本の資生堂やマンダムが売れて、中国製が売れんわけが分かるろうっちゅうがやき。
また、日下さんは、日本をストーリーで理解すりゃあ、話は江戸時代にさかのぼり、さらには神道の“みそぎ”にまでいくっちゅうがよ。
時代を下りゃあ「ドラえもん」のマンガに出てくるしずかちゃんに対する少年らあのマナーや、ドラえもんのポケットから出てくる奇想天外なひみつ道具にも続くっちゅうがやき。
これらを一貫しちゅう「日本の心」は何かっちゅうたら、マンガを読みゆう子供らあにゃあ自明のことで、今頃言葉でわからいてくれっちゅう大人のほうが遅れちゅうっちゅうがよ。
まずマンガにゃあ、
�．團�チャーがある。一目でわかることがたくさんある。
�▲�ャラクターがある。そりゃあ服装、態度、言葉遣いに表れちゅう。
��そこに時間が入って登場人物が活躍したりからみおうたりすりゃあ、ストーリーが生まれる。
�い気蕕縫魯廛縫鵐阿�入りゃあストーリーに生命が入る。
�ダ弧燭�入ったマンガは人生も宇宙も宗教も歴史も文化も何じゃち結合して扱うことができる。
�ΑΑΑΔ函△海海泙琶�かりゃあいまだに文章の世界にこだわっちゅう人は前世紀の遺物やと分かる。
�Д泪鵐�で育った子供は両刀遣い。文章でロジカルシンキングを鍛え、マンガで直感力を養い、ほんでダンスパフォーマンスやインターネットのSNSでプレゼン力を身につけるきに、三刀遣いやとも言える。
ちゅうことで日下さんは、新しい日本人は三刀遣いやっちゅうがやき。
さらに、それが世界に増えてきたとし、マンガチックな感性を持つ子供は日本の宝やと思うっちゅうがよ。
また本書の第一章じゃあ、そんな「新しい日本人」を何人か紹介もされちゅうがやき。
パソコンひとつで巨大メディアに勝つ本物のジャーナリスト、門田隆将さんや、宮崎正弘さん。
老人病や生活習慣病について、昔っから言われてきた常識は嘘だらけやっちゅう主張で時代を先取りした、精神科医の和田秀樹さん。
“自分を取り戻そう”を自分の芸の中に創造し、金メダルを超える演技をした、フィギュアスケートの浅田真央選手。
また日下さんは、日本は多様化が完成しちゅう国やき、自然に21世紀は日本の時代になるっちゅうがよ。
アカデミズムからプラグマティズムへの転向の最先進国は、日本やと思うっちゅうがやき。
ちなみにアカデミズムたぁ、学問・芸術の理論を重んじる立場で、プラグマティズムは、知識や思索は道具であり、行為や実践が重要やっちゅう立場ながよ。
平とう言やあ、いったい何の役に立つがか、いつ役に立つがか分からんががアカデミズムで、何かの役に立つ目的が見えちゅうががプラグマティズムやっちゅうがやき。
けんど、これを分けて考える日本人は本当に少のうて、そりゃあそもそも日本人はプラグマティズムの結晶やからやっちゅうがよ。
ほんで、合理主義、進歩主義の信奉者にゃあ、こうしたことがまったく見えんっちゅうがやき。
合理的でありゃあ世界中どこやち通用すると思うちゅうっちゅうがよ。
グローバリズムを推し進めりゃあ、なんじゃちフラットで単一になってしまうけんど、それで喜ぶがは、国籍や市場と無関係に拡大する企業だっけで、そのことに気づいた人らあが世界中に現れゆうっちゅうがやき。
・・・が、まものう終わるっちゅうがよ。
次の時代は、エスニシティの時代とかローカリズムの時代と呼ばれると思うっちゅうがやき。
ここまでが第一章の抜粋・要約ながよ。
この後も、第二章じゃあ、日本は二重構造、三重構造の「複線」でできあがっちゅう国やっちゅうがやき。
日本は仕組みも考えかたも複雑で、単純明快やないき、「わかりにくい」とか「合理的やない」と言われやすいっちゅうがよ。
けんど、複雑で多様化しちょってDNAのように二重構造や三重構造になっちょって、単線やのうて複線、複々線の仕組みがいろいろある国は強いっちゅうがやき。
ほんで、江戸時代に石田梅岩が説いた石門心学の「商人道」について、「いろは歌」の仏教思想について、「ひらめき」や「セレンディピティ」(偶然貴重なもんを発見する能力)や「マドルスルー」(未知の世界へ手探りで進むこと)らあについてが、詳しゅう紹介されちゅうがよ。
第三章は、これからは「ストーリー」が必要になるっちゅうタイトルながやき。
アカデミズムが幅を利かせるようになりゃあ、「東大教授やから偉い」とか「東大を出ちょらん学者は格が低い」らあになってきたり、あるいは「細こう分解して、事実を積み上げていかにゃあ認めん」っちゅう合理の罠にはまってしまうっちゅうがよ。
けんどホンマに教養があるがは、ストーリーを組み立てられる人やっちゅうがやき。
世界史の年号と出来事を並べるだけやったら、知恵はいらんっちゅうがよ。
データや統計らあでも、そこにどんなストーリーをつけられるかがカギになるっちゅうがやき。
ほんで、マンガやアニメで鍛えたストーリー力は、日本人の強みやっちゅうがよ。
時間の中にものごとを位置づけていく能力は、たとえ自覚はのうたち世界中でいちばん秀でちゅうっちゅうがやき。
さらに日下さんは、ワシらあが今、こぢゃんと勉強して教養がついたっちゅう話は、単に垢がついたようなもんかもしれんっちゅうがよ。
「ものを知っちゅう」っちゅうんが、インターネットで検索すりゃあ出てくる程度のことかどうか、いっぺん知識をすべて洗い流してみりゃあえいっちゅうがやき。
そうすりゃあ日本の「情」と日本の「意」が浮かび上がってくるっちゅうがよ。
ほんで、その基盤の上に新しい「知」が集積して、「知情意」の三拍子がそろうた新しい日本人が生まれるっちゅうがやき。
さらに第四章じゃあ、日本人も気づかんような「世界から見た日本の美点」についてが、いろいろ紹介されちゅうがよ。
ほんで、市井の人々や、地べたに転がっちゅう美点を見つけ出いて取り戻していくことが、22世紀に向こうて進んでいく「新しい日本」をより強うする、つまり昔からの「当たり前」が22世紀につながるっちゅうがやき。
ラストの第五章は、「22世紀型の日本人になるために」。
日下さんは、現代は、世界の仕組みが大きゅう変わろうとしゆうっちゅう点で、第一次世界大戦後にきわめて近いっちゅうがよ。
今、大きな変化に直面して、世界は自信を喪失しちゅうっちゅうがやき。
様子にゃあ見せんけんど、アイデンティティー・クライシスに陥っちゅうっちゅうがよ。
そんな中で、ありあまるばあのローカリズムがあって、グローバリズムによる一元化に張り合えるのが日本やっちゅうがやき。
ほんじゃきアイデンティティーを模索する世界中が、日本と日本人の動向に注目するがじゃっちゅうがよ。
最後に日下さんは、単線型の官僚主導も、マスコミのご高説も、歴史的使命を終えたっちゅうがやき。
これからは一人ひとりが、風流や和の心を持った日本人として暮らしていく、それが22世紀の日本人やっちゅうがよ。
ただ、これじゃあ今の中高年にゃあ理解しにくいかもしれんとして、息子や娘らあのほうが進んじゅうっちゅうことを、ヒントとして挙げるがやき。
学校の勉強は真面目にせん、難しい本は読まん、友達と楽しゅう遊んだり、お金を使わんお洒落にばっかし興味を持ち、就職をちゃんと考えちゅうかどうか分からん・・・そんな息子や娘らあに文句ばっきし言わんと、ちったぁ見直しなさいっちゅうがよ。
それじゃあ心配やっちゅう人もおるろうけんど、普通の日本人の、何かを考えたり判断したりする力は、驚くばあレベルが高いがやき、心配いらんっちゅうがやき。
ほんで締め括りにゃあ、これから再び金融革命が訪れ、小規模な、ホンマの人間信用の時代になるっちゅうがよ。
ほいたら、世界の手本となれる国は、道徳の高い日本をおいてないっちゅうがやき。
日下公人さんの『「新しい日本人」が創る2015年以降』・・・まさに日本人としての誇りと自信を、こぢゃんと取り戻さいてくれる良書ながぜよ。
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