「人々のやりたかったけんど、やらんかったこと。やってしもうたがゆえに、ダメにしてしもうたこと。心の中に仕舞いこんで、誰っちゃあに言わんかったこと。それらあすべてのために、ワシが夜、海辺を歩くときの、あの切ない気持ちがつくられたがぜよ。」(フェルナンド・ペソア)
20世紀を代表するポルトガルの詩人、フェルナンド・ペソア(1888〜1935)さんの言の葉ながやき。
この世界にゃあ、うまいこといった成功事例は星の数ほどあるろうけんど、うまいことイカンかった事例はっちゅうたら、それこそその何百倍、何千倍とあるはずながよ。
やりたかったけんど、やらんかったこと、やってしもうたがゆえに、ダメにしてしもうたこと、心の中に仕舞いこんで、誰っちゃあに言わんかったこと・・・等々。
自分自身を振り返ってみたち、うまいこといったことよりか、そんなふうにうまいことイカンかったことの方が、圧倒的に多いっちゅうことに気づくがやき。
さらに、日本の人口が約1億人、世界の人口が約70億人もおって、さらにさらに人類の歴史の何千年か分を積算すりゃあ、いったいどれっぱあ数多くのうまいことイカンかったことがあったことやろうか!
それらあについて思いを馳せるとき、まるで夜の海辺をたった1人でポツンと歩きゆうような、そんな切ない気持ちと共に、人々のやりたかったけんど、やらんかったこと、やってしもうたがゆえに、ダメにしてしもうたこと、心の中に仕舞いこんで、誰っちゃあに言わんかったこと・・・それらあすべてがとてつものう、いとおしゅう感じられてこんかよ?
そんな感性さえ失わんかったら、今後の人生において、たとえ成功したち傲ることのう、たとえ失敗したち自暴自棄になることのう、地に足をつけて堂々と生きていけるがやないろかのう。