2017年05月22日

「SAKE COMPETITION 2017」勉強会ぜよ!

 5月18日(木)は、13時から「東京都立産業貿易センター台東館」6階にて、「SAKE COMPETITION 2017 勉強会」が開催されたがやき。


 ちなみに「SAKE COMPETITION」(http://sakecompetition.com/)たぁ、東京の「はせがわ酒店」(http://www.hasegawasaketen.com/)さんらあを中心に毎年この時期に開催されよって、その出品数は毎年1000点を超えるっちゅう、世界最大唯一の市販日本酒の審査会ながよ。


 ほんで、今年の「SAKE COMPETITION 2017」は、この前日の5月17日(水)に予審会が行われ、この翌日の5月19日(金)に決審会が行われる予定で、その合間のこの日18日(木)に、勉強会が開催されたっちゅう訳ながやき。


 全国から名だたる日本酒蔵元や杜氏、醸造担当者の方々らあが、200人ばあ集まられちょったろうか?


 司牡丹からはワシと浅野杜氏の2人が、参加さいてもうたがよ。


 13時から開会で、まずは長谷川社長さんから開会のご挨拶があり、早速講師の先生方の講演ながやき。
(1)勉強会会場(2)勉強会会場2(3)勉強会会場3
















 トップバッターは、高知県工業技術センターの上東治彦先生で、「SAKE COMPETITION 2016 予選通過出品酒の分析レポート及び出品酒の数値的傾向」ながよ。
(4)上東先生講演

 「SAKE COMPETITION」は、「2013」は4部門に計657点、「2014」は4部門に計856点、「2015」は4部門に1028点が出品し、せっかくの全国規模の市販酒コンテストやき、データを残さんともったいないっちゅうことで、出品酒の分析を高知県工業技術センターにて行うことになったっちゅうがやき。


 このデータを見りゃあ、2014年から上位酒はグルコース濃度が高い酒が多うなり、これにより2015年の出品酒のグルコース濃度が一気に上昇したっちゅうがよ。








 2015年の分析の結果、グルコースの上昇たぁつまり、カプエチの高い酒の苦味を抑えるために甘味を強うする方法が広められてきたと言えるっちゅうがやき。


 飲み込まんと多数をいっぺんに審査する方法じゃあ、甘味の強い酒が有利やと言えるがよ。


 甘い酒の後に辛口が並びゃあ、「荒い」「身うすい」「味ノリ悪い」っちゅう評価になりがちやっちゅうがやき。


 けんど、元々甘口やなかった地域もコンテストのために甘口化していくっちゅうような傾向は、地域の食文化・気候・風土に根差して培われてきたそれぞれの地域の酒の味が、地域性が失われていくがやないかっちゅう、大きな危機感を感じたっちゅうがよ。


 ほんじゃき、山形県と高知県からグルコース別審査を提案さいてもうて、2016年からはグルコース2.0%を境に2区分で審査することとなったっちゅうがやき。


 ほんで、昨年の「SAKE COMPETITION 2016」は、全国から5部門に計1462点(409酒造場)が出品され、「吟醸部門」と「スーパープレミアム部門」以外の「純米酒部門」「純米吟醸酒部門」「純米大吟醸酒部門」は、予審・決審ともグルコース低区分、高区分に分けて審査されたっちゅうがよ。


 これにより2016年は、純米吟醸、純米大吟醸じゃあグルコース2%未満の出品比率が大幅に増加。


 純米、純米大吟醸の決審酒の平均で、グルコースは減少に転じることができ、また2015年はグルコース2%以上の方が評点が良かったがが、2016年は逆転し、2%未満の方が評点が高かったっちゅうがやき。


 ゴールド、シルバーの受賞点数を2015年と2016年と比較すりゃあ、純米、純米吟醸、純米大吟醸の3部門にて、グルコース2%未満の受賞数が上昇っちゅう結果やったっちゅうがよ。


 グルコース2%未満のゴールド(10位以内)受賞数を見りゃあ、純米部門じゃあ2015年は6位から9位までの4点のみやったがが2016年は2位と4位も含む5点に、純米吟醸部門じゃあ2015年は0点やったがが2016年は2位と4位と8位の3点に、純米大吟醸部門じゃあ2015年は9位の1点のみやったがが2016年は2位と8位9位の3点に増えるっちゅう結果やったっちゅうがやき。


 ちなみに純米大吟醸部門のグルコース2%未満のゴールド受賞の2位は、「司牡丹・槽掛け雫酒」で、つまりこの酒が辛口じゃあ1番うまい酒やっちゅうことながぜよ!


 その後も、「2016 各成分と官能評点との相関性」や「2016 各部門 上位酒分析結果」らあが示され、「グルコース別審査についてのアンケート結果」は、「非常に審査しやすかった」が9名、「審査しやすかった」が8名、「普通」が1名で、「審査しにくかった」っちゅう方は0名やったっちゅうがよ。


 つまり、グルコース別審査は、多様な酒質を選択できる有用な審査方法やと言えるっちゅうことながやき。


 このことから、「全米日本酒歓評会」も、2017年よりグルコース別審査の導入を決定したっちゅうがよ。


 さらに全国新酒鑑評会も、グルコースの高い酒の金賞受賞率が年々高まり、金賞は甘口だらけとなりゆうき、高知県酒造組合から正式にグルコース別審査の導入を働きかけさいてもうたがやけんど、残念ながら、まだ実現できてないがやき。


 ちなみにその本年度の「全国新酒鑑評会」の結果が、この日の朝に発表になったがやけんど、司牡丹は今年も最高位金賞を受賞することができて、ホッとしちゅうがよ。


 さてその後は、進行役に長谷川社長さんと、山形県産酒スーパーアドバイザーの小関敏彦先生をお迎えし、スピーカーとして宮城県産業技術センターの橋本建哉先生、福島県ハイテクプラザ会津若松技術支援センターの鈴木賢二先生、茨城県工業技術センターの武田文宣先生、そして高知県工業技術センターの上東先生も加わり、「SAKE COMPETITION トレンド日本酒の傾向を学ぶ」っちゅうテーマにて、パネルディスカッションながやき。
(5)長谷川社長さん(6)小関先生(7)橋本先生

















(8)鈴木先生(9)武田先生(10)上東先生
















 まずは長谷川社長さんから、この前日に行われた「SAKE COMPETITION 2017」予審会の出品酒について、先生方からのご意見をっちゅうことやったがよ。


 小関先生からは、今年は例年に比べて生での期間を引っ張り過ぎて生ヒネ感のある酒がちくと多かったようなけんど、全体のレベルは上がっちゅうがやないかっちゅうお話やったがやき。


 また、グルコース別審査についちゃあ、甘い酒がダメっちゅうわけやのうて、バラエティがなけりゃあイカンっちゅう話やっちゅうがよ。


 競争っちゅうんはどういたち同じ方向に収斂しがちやき、なお一層バラエティが広がるような方法を考えていかにゃあイカンっちゅうがやき。


 橋本先生は、平均値は確かに上がっちゅうけんど、バリエーションについちゃあハテナで、もっとバリエーションがあってもえいがやないかっちゅうがよ。


 たとえば、炭の使い方ひとつやち、どういう最終形に持っていきたいきに、炭をこう使うとか、メッセージのハッキリした商品設計をして、バリエーション豊富な酒を造ってほしいっちゅうがやき。


 まったく新しいタイプやち、えいもんはどんなに紛れちょったち必ず拾うっちゅう覚悟を持って審査さいていただきゆうっちゅうがよ。


 鈴木先生は、今年も全国新酒鑑評会において福島県は22場の金賞を受賞し、受賞数日本一の5連覇を達成したっちゅうがやき。


 今年の山田錦は硬うて溶けにくいっちゅうことやったき、汲み水を減らし、麹をしっかりつくる等々、福島県内の蔵を指導したことが功を奏したっちゅうがよ。


 コンペの予審についちゃあ、火入れのタイミングの遅い生ヒネ感があるもん、過度な熟成したもん、炭を過度に使い過ぎちゅうもん、アミノ酸が多うて雑味があるもん、カビ臭のあるもん・・・らあが散見されたけんど、これらあは迷わんと4か5をつけたっちゅうがやき。


 武田先生は、今年の米は溶けにくいっちゅうことで、出来た酒もその影響を受けちゅうもんが多かったっちゅうがよ。


 つまり、麹つくりらあの技術の差が出るっちゅうことやっちゅうがやき。


 上東先生は、カプエチが高過ぎて甘味が浮くもんがあったが、これはハネたっちゅうがよ。


 また、去年は生ヒネが減って良かったと思うたけんど、今年はゾロゾロ出てきたっちゅうがやき。


 こりゃあやっぱし米が溶けにくかったことが原因やろうっちゅうがよ。


 長谷川社長さんは、とにかくこのコンペじゃあ、炭を使う必要はないっちゅうがやき。


 また、過熟も結構あったけんど、あまり熟成さいて味乗せする必要もないっちゅうがよ。


 ほんで、キチンと出す前に利き酒して、自信を持った酒質で勝負してほしいっちゅうがやき。


 また、今年からスパークリング部門を新設したけんど、結論から言やあ、結局炭酸ガスがあろうが、元の酒がダメやったらダメやっちゅうことやっちゅうがよ。


 さらにラベルデザイン部門は、プロのデザイナーが審査するがやけんど、なかなか面白かったき、是非来年はまっと出してほしいっちゅうがやき。


 続いて鈴木先生から、とにかくアミノ酸は嫌いやき、甘口にしてアミノ酸を減らすっちゅうことで、汲み水をのばし気味にすりゃあえいっちゅうがよ。


 けんどあんまり入れすぎるとツワるき注意せにゃあイカンっちゅうがやき。


 ほんで低アルコールで上槽すりゃあ、アミノ酸は出んっちゅうがよ。


 お次は小関先生は、9号7号酵母は秋以降に美味しゅうなるタイプになるき、この時期のコンペにゃあ向いてないっちゅうがやき。


 予審でも、「えい酒ながやけんど、今やないよね」っちゅう酒も結構あったっちゅうがよ。


 また、日本酒も今後はテロワールを考えにゃあイカン時代が間違いのう来るっちゅうがやき。


 何でもかんでも兵庫の山田錦やのうて、自分らあの地域で山田錦を栽培するとか、そういう時代が来るやろうっちゅうがよ。


 続いて長谷川社長さんは、このコンペはなかなか大変やけんど、少のうたち東京オリンピックくらいまでは続けたいっちゅうがやき。


 またテロワールについて、去年のゴールド受賞酒にゃあ、兵庫の山田錦以外もあり、地元の一般米を使うた酒やち入賞しちゅうっちゅうがよ。


 今後は、上位入賞酒の酒米生産者の表彰らあも考えたいっちゅうがやき。


 この後は質問タイムで、アミノ酸について、「米が溶けて出てきたアミノ酸もダメながでしょうか」っちゅう質問があったがよ。


 各先生方からの答えは、きもとや山廃らあの米から出てきたアミノ酸は、酵母が死んだアミノ酸たぁ違うっちゅうことやったがやき。


 前者はクドうないアミノ酸で美味しいけんど、後者は後味がクドいっちゅうがよ。


 またこっから、アルコール分13%後半ばあの低アル原酒についての話題になったがやき。


 各先生方も、健康志向や国際標準(ワインのアルコールもさらに下がる傾向)らあの関係で、今後はこれっぱあのアルコール分で美味しい日本酒が主流にならにゃあイカンがやないかっちゅう意見が多かったがよ。


 確かにアルコール12〜13度ばあのワインを1人で1本空ける人は結構おるがやき、日本酒もこれっぱあの度数やったら1人で1本空ける人が増えて、「日本酒の意味が変わる!」っちゅうことになるき、この分野はもしかしたら日本酒のイノベーションになるかもしれんがぜよ!


 長谷川社長さんも、5〜10年後ばあにゃあ、このアルコール分13%ばあで美味しい酒が、半分ばあの割合になるがやないろうかっちゅうがやき。


 さらに来年は、この部門も新設しょうかっちゅうがよ。


 この後も、「ピルビン酸の増えん上槽のタイミングについて」や、「テロワールについて、地元の好適米がない県はどうしたらえいか」や、「カプエチ主流のこの流れは今後も続くか」っちゅう質問らあがあり、各先生方から、いろんな答えが提示されたがやき。


 その後はちくと休憩をはさんで、五町田酒造さんを定年退職され、現在は京都電子工業株式会社顧問の勝木慶一郎先生から、「SDKアルコール分析システム開発の経緯」についてのお話があったがよ。
(11)勝木先生講演

 比重計から振動式密度計へ、さらにSDKに昇華したっちゅうアルコール分析システム開発のお話は、なかなか興味深かったがやき。
(12)SDKシステム

 会場にゃあ京都電子工業の方々も来られちょって、この機械の展示紹介コーナーも設けられちょったがよ。


 こうして16時にゃあ、「SAKE COMPETITION 2017 勉強会」は、お開きとなったがやき。


 長谷川社長さん、そして講師の先生方、こぢゃんと学びになるお話を、まっことありがとうございましたぜよ!




















土佐の高知の日本酒蔵元「司牡丹」の公式ホームページは、こちらをクリック!
司牡丹酒造株式会社

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