「人のたのしむを以て、自分もたのしむ。酒の真味は、これ以外にないぜよ。」(吉川英治)
「宮本武蔵」「新・平家物語」らあの大作で幅広い読者層を獲得し、「国民文学作家」と呼ばれた小説家、吉川英治(1892〜1962)さんの言の葉ながやき。
そんな吉川英治さんが、酒の真味、つまり酒の本当の美味しさたぁ何かについて、語られちゅう言の葉ながよ。
そりゃあ、酒自体の造り方や香りや味わいやとか、温度やグラスの違いや料理との相性やとか、そんな話やあのうて、「人のたのしむを以て、自分もたのしむ」っちゅうこと以外にゃあないっちゅうて断言しちゅうがやき。
つまり、酒の席じゃあ、自分だっけがたのしんじゃあイカン、けんど自分がたのしゅうないがもイカンっちゅうことながよ。
他人がたのしみゆう姿を見ることで、心から嬉しゅうなって、そのお陰で自分自身も目一杯たのしむことができ、宴席全体がこぢゃんとえい雰囲気に包まれる・・・そういう素晴らしい状況を生み出すことができるがは酒しかないがやき、これこそが酒の真味、酒の本当の美味しさであり、酒の一番の価値やと、かの「国民文学作家」吉川英治さんは喝破しちゅうがぜよ。