ウチは9月末が決算やき、そこで第104期が終わって、10月から新しい第105期がスタートしちゅうがよ。
ちなみにウチの創業は1603年で、会社設立は1918年やき、今年は会社設立101年目ながやけんど、設立当初は半年が1期やった時期が何年かあったみたいで、ほんじゃき今期が第105期になるがやき。
ほんで、新たな期のスタートにあたって、経営方針らあの話をさいてもらうっちゅうことで、全社員と蔵人の皆さんらあに集まってもうて、蔵内にて始業式を開催したがよ。


まずは渡邊部長の司会にて開会し、山岡専務から前期についての数字的な示達があって、お次はワシからの社長示達ながやき。
ワシからは「国内経済・清酒業界の状況」「司牡丹 第104期の実績」「司牡丹・第105期の取組方針」らあについて、お話さいてもうたがよ。
次に「第105期のメインテーマ」として、「心が透けて見える時代!明るい未来が描ける、子孫に誇れる仕事を成そう!!」っちゅう言葉を掲げさいてもうたがやき。
まず「明るい未来が描ける、子孫に誇れる日本酒業界にするために」についてで、こちらは「司牡丹時報(ボタンタイムス)」Vol.65(令和元年10月発行)の「巻頭提言」の内容を、お話しさいてもうたがよ。
その内容は、おおよそ次の通りながやき。
現在の日本酒業界は、かつての日本酒度マイナスの甘口酒をはるかに超える、グルコース濃度が極めて高い甘い酒だらけになっちゅうがよ。
こりゃあ、甘い酒の方が、全国新酒鑑評会を筆頭とする様々な審査会で、賞を獲りやすいきながやき。
ブラインドでの利き酒審査じゃあ、グルコース濃度の高い甘い酒の後にグルコース濃度の低い辛口の酒が来たら、「みうすい」らあの悪い評価がつきやすい(高知県にて実験し確認済み)き、辛口は極めて不利になっちゅうがよ。
また、グルコース濃度の高さは、ちんまい欠点らあをマスキングする効果もあるきに、年々出品酒のグルコース濃度は高うなりゆうがやき。
平成22年と29年の比較を例に挙げりゃあ、まずグルコース濃度2%以上の酒の鑑評会出品酒における比率は、22年が36%やったがが29年にゃあ74%に跳ね上がっちょって、金賞受賞酒にいたっちゃあ50%から何と92%にまで跳ね上がっちゅうがよ。
しかもこの傾向は、全国新酒鑑評会のみならず、他の様々なあらゆる品評会や審査会らあに飛び火しちょって、今やどんな審査会やち賞を獲るにゃあグルコース濃度の高い甘い酒やないとイカンっちゅうて言われゆうがやき。
さらに、これが一番の問題ながやけんど、それが市販酒にまで飛び火して、市販酒がドンドン甘うなっていきゆうがよ。
しかも、そういうタイプの酒だっけが「良い酒」やっちゅう誤解まで生じはじめちゅうがやき。
つまり、日本酒最大の魅力である「地域の個性」が、失われつつあるがよ!
かつて辛口ブームのときに全国各地の日本酒が個性をかなぐり捨てて一斉に辛口に走ったがと同様に、今またグルコース甘口に一斉に走りゆうがやき!
けんど、どんな業界やち常識やけんど、全体の同質化は全体の地盤沈下につながるがよ!
確かに、元々1杯しか飲めんような若者にゃあ、「一口飲んで旨い!」っちゅうグルコース濃度の高い甘い酒がえいろうけんど、このタイプは「もう1杯!」たぁなり難うて、和食や、特に刺身らあにゃあ合わんき、料理も進まんなるがやき。
「一口じゃあ物足りんけんど、料理が美味しゅうなり、ついつい箸も杯も進む」っちゅう辛口酒の良さが、伝わらんなってしもうちゅうがよ。
これが、日本酒が人気やと言われもって、いつまで経ったち業界全体が低迷し続けて底打ちせん、大きな原因になっちゅうがやないかよ!
このままじゃあ、日本酒業界はさらに深い深い闇の底に沈んでいってしまうぜよ!
賞を獲るためだっけの日本酒、地域の歴史や伝統、地域の食文化と切り離された日本酒にゃあ、地盤も根っこものうて、その先の未来らあないがやき。
真に明るい未来が描ける、子孫に誇れる日本酒業界たぁ、日本全国の蔵元が、それぞれの地域の歴史や伝統、地域の食文化と今一度しっかりと結びつきを深め、それぞれの地域の風土を具現化したような個性あふれる日本酒を、地域の食の美味しさを引き立てるような日本酒を醸し、百花繚乱、綺羅星のごとく、群雄割拠全国各地に並び立っちゅうっちゅう、そんな姿をした日本酒業界やないがかよ!
続いては、「心が透けて見える時代」についてながよ。
「モノの豊かさ」より「心の豊かさ」を求める人間が圧倒的に増加したことにより、また、あらゆるモノがインターネットで繋がることにより、人の心も影響を受けやすう、繋がりやすうなったっちゅうことながやき。
また、世の中のあらゆるコトやサービスが、必要以上に便利になり過ぎたことの弊害もあるがよ。
例えば、コンビニのレジにチョビッと行列が並んだだっけで、怒りの心が剥き出しになったりするがやき。
あちこちでこんな剥き出しの怒りの心が影響し、負の連鎖を生み出したりもするがよ。
つまり、人の心が影響を受けやすう、繋がりやすうなったことにより、えいことも悪いことも、直ぐに連鎖さ、広がりやすうなっちゅうがやき。
そんな時代にゃあ、顧客都合を無視した企業の自社都合らあ、なんぼ隠したところで、なんでか顧客に透けて見えてしまう時代やっちゅうことながよ。
悪いことが透けて見えるだっけやのうて、えいことも透けて見えるき、真摯に真面目に正直に、たとえ不器用やち本気でお客様のためを想うての行動は、その心が必ず伝わる時代やっちゅうことながやき。
ほんじゃき、電話1本、商談1件、瓶詰め1本、造り1本・・・ワシらあの全ての仕事は、食の美味しさを引き立てる日本酒、「一口じゃあ物足りんかもしれんけんど、食が美味しゅうなり、ついつい杯が進む酒」である辛口酒の素晴らしさをしっかりと伝え、土佐の辛口酒の人気を復権さすることに繋がっちゅうがよ。
必ずや辛口酒復活の時代は来るがやき!
つまり、ワシらあがいま行いゆう全ての仕事は、明るい未来が描ける、子孫に誇れる会社になることに、ひいては明るい未来が描ける、子孫に誇れる日本酒業界になることに、しっかりと繋がっちゅうがぜよ!
だいたいこんな内容でワシの示達は終了し、その後は、滝澤関東統括部長の自己紹介があり、「長期勤続表彰」や「無事故無違反表彰」らあがあり、17時ばあにゃあ、第105期始業式は無事閉会となったがよ。

その後は、引き続きそのまんま、第2部の懇親会を開催したがやき。
まずは再びワシから、懇親会開会のご挨拶をさいてもうて、相談役(前会長)の乾杯の発声ながよ。
「金凰司牡丹」(本醸造酒)の燗酒を注ぎ合うて、みんなあで声高らかに乾杯し、宴席がスタートしたがやき。



さあそっからは、土佐の高知の大宴会、「おきゃく」の始まり始まりながよ。
まずはお弁当とお刺身をいただきもって、周囲のもんらあと酌み交わし合うて盛り上がったがやき。


その後は、アチコチで席を立ちだいて移動が始まり、杯が飛び交う、献杯、返杯合戦が始まったがよ。
ワシも気持ち良うみんなあと杯をやり取りしまくり、アッちゅう間に立派な酔っぱらいになっちょったがやき。
こうして18時半ばあにゃあ、浅野杜氏の三本締めにて、大団円の中締めとなったがよ。

皆さん、まっことお疲れ様でした!今期も何とぞ、宜しゅうお願い申し上げますぜよ!
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司牡丹酒造株式会社