講師の山本洋子さんは、この前日に司牡丹の酒蔵見学にお越しいただき、晩は「かもん亭」さんにて、こぢゃんと痛飲(昨日のブログ参照)さいてもうたがよ。
40人ばあの参加者の皆さんが集まり、まずはみんなあで昼食タイムながやき。
コロナ禍でのソーシャルディスタンスっちゅうことで、一人一人が離れた席に座ってのランチに、もうちくと慣れてきたたぁいえ、やっぱし何とのう味気ない感じがしてしまうがよ。
食事終了後は、12時25分ばあから、代表世話人のご挨拶や、新会員の紹介らあがあり、いよいよ山本洋子さんの講演、「今だからこそ！地元の純米酒を愛して〜自然、環境、伝統産業がまるごとつながる米の酒〜」のスタートながやき。
まずはご自身のプロフィールのご紹介からで、「ゲゲゲの妖怪の町」鳥取県境港市生まれで、婦人生活社刊「私の部屋」編集部を経て、(株)オレンジページに入社され、「オレンジページ」の編集の後は「心地いい暮らしがしたい」シリーズの編集長も務められ、独立後は感動と勇気を与える地方の宝探しがライフワークやっちゅうがよ。
ほんである時、「玄米」の美味しさに目覚めたっちゅうがやき。
玄米っちゅうたら、あんまり美味しゅうないイメージがあるけんど、実は米自体が美味しけりゃあ美味しい玄米になるっちゅうがよ。
ほんで、マクロビオティックやビーガンの本らあも作ったけんど、米の価値を伝えるにゃあ日本酒やと気づいたっちゅうがやき。
実は洋子さんは、かつては日本酒が飲めんかったけんど、玄米食のお陰で日本酒が飲めるようになったっちゅうがよ。
そっから日本酒の本を、たくさん作るようになったっちゅうがやき。
米の酒を中心に「日本の上質」を紹介するっちゅうことで、「純米酒BOOK」(グラフ社)「厳選日本酒手帖 日本酒を識る」「厳選紅茶手帖 紅茶を識る」(世界文化社)らあの書籍を出版し、現在は「週刊ダイヤモンド」にて「新日本酒紀行 地域を醸すもの」を連載中やっちゅうがよ。
米の価値を最大化するがは日本酒やっちゅう思いで書いた本のメッセージは、至ってシンプルやっちゅうがやき。
「1日1合純米酒！」を、伝えたいっちゅうがよ！
そりゃあ日本国民の義務やっちゅうがやき。
何で1日1合かっちゅうたら、「純米酒を1合飲みゃあ、減反が不要」になるっちゅうがよ。
米が余って、減反政策がとられちょったけんど、一人でも多くの人が純米酒を飲みゃあ、米は確実に消費され、減反解消になるっちゅうがやき。
計算したところ、20歳以上の国民1人が毎日1合の純米酒(純米吟醸、純米大吟醸ならさらに良し)を飲みゃあ、100万ヘクタールの減反の必要がなくなるっちゅうがよ。
この発想は、米の価値を最大化するっちゅうことであり、日本酒から見りゃあ、アプローチの視点を変えて魅力をPRするっちゅうことやっちゅうがやき。
洋子さんは、若い人から時々「肌がキレイですね。何か特別なことをされゆうがですか？」っちゅうて言われるらしいがやけんど、そんな時にゃあ待ってましたと、「純米酒を飲みゆう」っちゅうて伝えるっちゅうがよ。
ちなみに飲めん人にゃあ、甘酒を薦めるっちゅうがやき。
けんど、「日本酒は、お米から！」っちゅう、この当たり前のことすら、知らん人が意外に多いっちゅうがよ。
ワインは、原料のブドウの性質が色と味、香りにはっきり現れ、有名なワインは品種や畑の位置、土壌まで語られるけんど、日本酒はっちゅうたら、透明な液体からは、米や田んぼの姿が見えてこんし、醸造方法が複雑やき、原料があんまり注目されてきてないっちゅうがやき。
フランスらあは、国を挙げて外貨獲得の戦略として、ワインを上手に使いゆうっちゅうがよ。
初モノ好きの日本人にボジョレー・ヌーボーとか、健康オタクの日本人にポリフェノール含有量の多い赤ワインとか・・・ワイン戦略は、まっこと優れちゅうっちゅうがやき。
さて、こっからは高知のお酒についてのお話で、土佐酒全体としての酒質タイプを一言で表現すりゃあ、「きれいな酸があり、雑味は少のうて、キレのえい辛口」となるっちゅうがよ。
また、酒造組合のホームページを見りゃあ、「TOSA NAKAMA SAKE」っちゅうコンセプトを掲げて、「なかまぜよ！」っちゅうて書いちゅうけんど、こんな素敵な表現をしちゅうがは、高知県しかないっちゅうがやき。
さらに高知県は、森林面積比率日本一の84%で一級河川がギュッと詰まっちょって、自然豊富で良質な水が豊富で、酵母開発らあの技術力もあり、独自の酒文化もあり・・・等々、美味しいお酒が醸せる条件が整うちゅうっちゅうがよ。
皿鉢料理、可杯、箸拳、献杯・返杯っちゅう酒文化は、昨日今日に始まったもんやないし、豊富な清流に加えて海洋深層水まであるし、熱心な研究者がおって、20種類ばあの高知酵母を開発しちゅうし、酒米も「土佐錦」「吟の夢」「風鳴子」「土佐麗」と開発しちゅうし・・・ちゅうて、足るばあ誉めてくださったがやき。
さて続いては、輸入原料のお酒だっけを飲みゆう場合やない、上質な日本酒を飲むがは国民・県民の義務やっちゅうがよ。
ここで「Question！」。
「純米酒を1升つくるがに必要な米の量をご存じですか？」っちゅうがやき。
そりゃあ精米歩合によっても違うけんど、精米歩合70%の純米酒1升瓶1本に約1kgの玄米が、精米歩合60%の純米吟醸酒1升瓶1本に約1.5kgの玄米が、精米歩合50%の純米大吟醸酒1升瓶1本に約2kgの玄米が必要やっちゅうがよ。
ほいたら、「純米酒を1升造るがに必要な田んぼの面積は？」っちゅう質問を、続いて投げかけられるがやき。
田んぼ一反(990��)で玄米6俵収穫できると仮定して、6俵×60kg=360kg/反が一反あたりの米の量とすりゃあ、以下のとおりになるっちゅうがよ。
精米歩合70%の純米酒1升瓶1本を造るがに約3�屬療弔鵑椶�必要で、精米歩合60%の純米吟醸酒1升瓶1本を造るがに約4�屬療弔鵑椶�必要で、精米歩合50%の純米大吟醸酒1升瓶1本を造るがに約5�屬療弔鵑椶�必要やっちゅうがやき。
つまり、田んぼ1坪(畳2帖=3.3��)で純米酒1升瓶が1本できるっちゅうことながよ！
「田んぼ1坪 純米酒1升瓶 1本」とちゅうんは、米の酒の価値を見える化することになるっちゅうがやき。
純米酒を1升飲んだら、田んぼ1坪を飲んだっちゅうことで、そこに思いを馳せたときの達成感は、まっこと素晴らしいもんやし、そりゃあ国のため、県のためになるっちゅうがよ。
昨年亡くなられた、秋田の「天の戸」の森谷杜氏さんは、「酒米の田んぼが生態系を守ります」っちゅうて教えてくれたっちゅうがやき。
「慣行栽培の半分以上農薬、化学肥料を減らして酒米を栽培。少しずつ虫やタニシが増えました。明け方、細かい霧をまとったクモの巣が逆光に浮かび上がります。クモは小さな虫達を捕まえようと罠を仕掛けています。タニシを食べにカラスやサギがやってくる頃。」
タニシは、滋味豊かな水底掃除人であり、農薬に敏感やき、バロメーターになるっちゅうがよ。
酒米は、背丈が高いき、農薬が苦手やき、他の米に比べたら酒米は減農薬になり、つまり循環農業につながるっちゅうがやき。
ほんで、田んぼが果たす大事な役割として、「貯水効果あり」「CO2の削減」「暑くなりにくい」「生き物ができる環境が復活」➡「環境が保たれる」っちゅうことで、「環境に優しい農地、人と自然が共生していける連続性ある農地が、水田」やっちゅうがよ！
森谷杜氏は、「ワシらあは稲の種を醸して飲みゆう」がやっちゅう言葉を遺しちゅうっちゅうがやき。
続いて、お酒になるお米にゃあ、いろんな種類があるっちゅうお話をされたがよ。
80年以上人気ナンバーワンの「山田錦」、新米どころ新潟の「五百万石」、長野県生まれの「美山錦」、原生種といわれる岡山の「雄町」・・・高知県にも、「吟の夢」「風鳴子」「土佐麗」らあがあるっちゅうがやき。
ほんで、酒米は原生種に近いき、背丈が高うて大粒で倒れやすうて、従来の化学肥料や農薬に頼った栽培方法じゃあ上質な米は育たんきに、作り手の意識や技術が問われるっちゅうがよ。
お次は、日本酒の技術について、世界でも珍しい「並行複発酵」(ヘイコーフクハッコー)っちゅう技術で、ワインの「単発酵」、ビールの「単行複発酵」との違いについてや、複雑怪奇ともいえる日本酒の種類らあについて、語られたがやき。
「にごり酒」「スパークリング酒」「古酒」「生酒」「生貯蔵酒」「ひやおろし」「貴醸酒」・・・等々、これっぱあバラエティに富んだお酒は、世界中でも珍しいっちゅうがよ。
さらに、日本酒の火入れ(低温加熱殺菌)について、1866年にフランスのパスツールさんが低温殺菌(パスチャライゼーション)の技術を発明したことになっちゅうけんど、日本酒造りじゃあ室町時代(1336〜1573)から既に低温殺菌が行われよって、何と500年ばあ前から実用化されちょったっちゅうがやき。
また、原料によって日本酒の種類を分けりゃあ、アルコールが添加されたもんと、純米酒の2系統があるっちゅうがよ。
さらに、「特定名称酒」にも2系統があって、一定量以下の醸造アルコールを添加した「本醸造タイプ」と、米だっけの「純米酒タイプ」があるっちゅうがやき。
ちなみに「特定名称酒比率」は、全国平均で約42%やけんど、高知県は約66%と、「特定名称酒比率」が高いっちゅうお話もしてくださったがよ。
ちなみに、戦後は三倍にも水増しした「三倍増醸酒」もあったっちゅうお話や、いまだに「合成清酒」らあもあって、日本酒の戦後はまだ終わってないがやないかっちゅうお話らあもあったがやき。
続いては、まっとうな日本酒を飲むことは、日本を守ることにつながるっちゅうお話があったがよ。
まず、日本酒の蔵は、日本の杉を使うっちゅうがやき。
今は少のうなったけんど仕込み桶にも杉樽が使われよったし、いまでも酒造道具や酒器らあに杉が結構使われゆうっちゅうがよ。
特に、麹造りに使われゆう「麹蓋」は、今でもかなりの蔵で使われゆうけんど、1枚何万円もするっちゅうがやき。
何でそんなに高いかっちゅうたら、まず強度が高うて狂いが少ないき天然杉やないといかんし、暑い麹室に48時間も置かれるき、反らんようにするために樹齢何百年っちゅう杉の正目を使わにゃあいかんし、さらに熟練の職人が1枚1枚手斧で薄うにカットして作らにゃあいかんきやっちゅうがよ。
ウチも麹蓋を使いゆうけんど、ワシゃあそんなに大変な作り方やっちゅうんは知らんかったき、まっこと勉強になったがやき。
さらに、日本酒の面白さは器にもある、酒器の多種多様さは世界一やっちゅうがよ。
漆器、ガラス、杉、竹、陶器、磁器、金属(錫など)っちゅう具合に多種多様やし、しかも全てメイドインジャパンやっちゅうがやき。
また、ワイングラスで世界的に有名なリーデル社までも、「リーデル大吟醸グラス」や「リーデル純米酒グラス」を作っちゅうっちゅうがよ。
続いては、日本酒にしか合わん肴があるっちゅうお話ながやき。
伝統的な発酵食材とベストマッチするがは、「米の酒」である日本酒やっちゅうがよ。
魚卵、魚醤、納豆、古漬けタクアンらあの伝統的な発酵食品は、ワインと合わせりゃあ悲しいことになるけんど、日本酒と合わせりゃあ、風味抜群、旨み倍増になるっちゅうがやき。
数ある発酵食品の中でも、塩辛や糠漬けは日本酒で活きる格好の肴であり、酒盗、塩辛、漬物、干物、なれ寿司、蕎麦らあに相性抜群ながは日本酒だけやっちゅうがよ！
また、えい米を使うた酒は酒粕まで凄いっちゅうて、「えい米」➡「えい酒」➡「えい酒粕」っちゅう具合に、えい米は最後の最後まで美味しいっちゅうがやき。
つまり、良い循環がある酒が「お米のお酒」やっちゅうがよ！
ほんで締め括りに、米の酒から「伝えたい」こととして、地域はワシらあか選ぶ飲＋食が支えちゅうがやき、日本酒を飲むことは「日本を守る！」ことにつながるっちゅうがやき。
えい日本酒を飲むことは、上質な米の復権につながり、「農業＋林業＋漁業＋窯業＋漆業」っちゅう伝統産業と、木の道具を多用しゆう日本酒業界は山も救うことにつながり、自然環境全てにもつながっていくっちゅうがよ。
そして、お米の価値を最大化する米の酒は、地域の「おいしい」とも連携しちゅうっちゅうがやき。
ほんで、土佐の高知にゃあ、ダイナミックな飲み方、食べ方、酒文化、キレのえい辛口酒、工業技術センターが開発した高知酵母、期待大の県産酒米、「TOSA NAKAMA SAKE」で表現されちゅう酒造組合の強固な連携らあがあるがやき、まさに「地域を醸す一日一合(以上の)純米酒！」っちゅう標語にゃあ、ピッタリの地域やっちゅうがよ！
そして、日本酒の魅力を伝え、日本の大地を蘇らせたいっちゅう思いで、自然、環境、伝統産業がまるごとつながる日本のお酒を、これからも伝え広めていきたいっちゅうて、結ばれたがやき。
山本洋子さん、まっことこぢゃんと感銘を受けました！
素晴らしい講演を、まっことまっこと、ありがとうございましたぜよ！
土佐の高知の日本酒蔵元「司牡丹」の公式ホームページは、こちらをクリック！
司牡丹酒造株式会社
