土佐の高知の司牡丹酒造(株)社長の竹村です。
いよいよコロナ禍がかなり長期化することが決定的になったため、これは全国の飲食店さんに何としてもお伝えしなければと思い、急遽長文を書かせていただきました。
今回は読みやすさ重視でいつもの土佐弁も封印させていただいております。
まず、このままの「新しい生活様式」が、しばらく続くと考えなければなりません。
それは今年いっぱいか来年までか、数年続くのかは分かりませんが、間違いなく長期化します。
そして、かつての状態のように、元に戻ることはもはやないと覚悟を決めなければなりません。
と、いうことは、最も大きな影響を受けるであろう全ての飲食店さんが、この流れに至急対応し自らを変容しなければ、生き残れないということです。
私には、全国各地に大好きな飲食店さんがたくさんあります。
そして、それらの1店1店に絶対に生き残ってもらいたいと心から切望しています。
そのためにいま私ができることを考えた結果、この度の大変な長文となってしまいました。
どうか私の意をお汲みいただき、何とぞ、至急この内容を、皆様の大切な飲食店さんにお伝えいただけましたら幸いです。
【コロナ禍に負けない飲食店に必須の2つの「根本づくり」とは?】
誰でも平常時には、「お客様の笑顔のために働いてます!」と自信満々で言えるでしょうし、実際に実践することもできるでしょう。
しかし、この度のコロナ禍のような緊急事態となって、自店が大変な被害に遭っている場合には、そのことが頭から飛んでしまいがちです。
「それどころではない!」という言葉が横行しはじめ、自店のことしか考えられなくなってしまうのです。
しかし、実は逆なのです。
自店が大変だからこそ、他者のため、お客様のためにできることを考え、それを行動に移さなければならないのです。
大変なのは自店だけではなく、大切なお客様だって大変なのだと気づかなければなりません。
仏教には「托鉢」という行があります。
お坊さんが手に鉢をもって、家々を回りお布施を頂くという行です。
そして、お釈迦様は托鉢に向かう弟子たちに、こう言ったそうです。
「お金持ちの家ではなく、貧しい人たちの家を回って托鉢をしてきなさい。」と。
普通に考えると、お金持ちのところに行くのが当然でしょう。
しかし、お釈迦様の思いは別のところにありました。
貧しい人がなぜ貧しいのか。
それは、自分のことしか考えず、自分のためにしかお金を使わないからです。
そういう人たちに与える喜びを味わってもらい、貧しさから抜け出す道に一歩踏み出してもらうというのが、実は托鉢の真の目的だったのです。
つまり、逆なのです。
自店が大変だからこそ、他者のため、お客様のためにできることを考え、それを行動に移す。
そこにこそ発展の道がある。
これこそが、コロナ禍に負けない飲食店に必須の2つの「根本づくり」の第1番、「根本精神」なのです。「それどころではない!どころではない!」のです。
続いては、コロナ禍に負けない飲食店に必須の2つの「根本づくり」の第2番、「根本活動」についてです。
まず真っ先に、絶対にやらなければならない根本活動は、「顧客リストを作り常に更新する」ことです。
確かにかつては、店を開けるだけで行列ができ、常に満席という繁盛店なら、顧客リストの必要性など全く感じなかったでしょう。
しかしいまは、そして今後はどうでしょう。
長期化するコロナ禍の第二波や第三波により、来店客が激減したり、休業を余儀なくさせられたりした場合、顧客リスト無しでは打つ手がないことになります。
何より、お客様の幸せを考えて何かを実践しようとしても、何もできないことになってしまいます。
あらゆるビジネスにとって、顧客リストが無いというのは致命的となるため、顧客リストづくりは必須の根本活動となるのです。
では、もしいま顧客リストが全く無いという飲食店は、どうすればいいのでしょう。
まずは、これまでお客様からいただいた名刺や手紙(年賀状など)などを、とにかく集めることです。
これで何名かの顧客リストはできるでしょう。
さらに、お店に来店された常連のお客様たちに声をかけ、リスト化していくことです。
しかし、いきなり「顧客リストを作りたいので、アドレスを書いてください。」などと言っても嫌がられるだけでしょうから、思わずアドレスを書きたくなるような仕組みが必要でしょう。
「極秘に楽しいイベントを企画中でして、是非そのご案内をお送りしたいので、ご記入いただけませんか?」と言って記入用紙を渡すとか、何らかのお客様の得になるようなお店の情報発信を送るためとか、抽選でお食事券が当たるアンケートに答えてもらうとか・・・様々なやり方があります。
自店のイメージに合ったやり方を選び、とにかく顧客リストを作り、常に意識して増やし続け、更新していくことが必須となるのです。
【「動機づくり」「顧客づくり」「店づくり」の3つの「柱づくり」で結果が出る!】
2つの「根本づくり」という土台の上に、では実際に何をするのかというと、3つの「柱づくり」の実践です。
それは、「動機づくり」「顧客づくり」「店づくり」という3本柱です。
まず「動機づくり」とは、「お店に行きたい!」「テイクアウト弁当を買いたい!」などとお客様に思ってもらい、来店してもらったり購入してもらったりするという、つまりお客様の気持ちのスイッチを押して、行動を起こしてもらうための実践です。
続いての「顧客づくり」とは、1人1人のお客様との絆を深める「絆づくり」の実践と、お店に対して高い信頼を寄せるお客様の集まり「顧客コミュニティづくり」の実践です。
3つめの「店づくり」とは、「来て良かった!」「この店でならお金を使いたい!」などとお客様に思ってもらえる、毎日でも通いたくなるような店づくり・サービスづくりの実践です。
2つの「根本づくり」という土台の上に、これら3つの「柱づくり」により3本の柱が立ち上がれば、必ず結果が出ます。
たとえ1つ1つの実践は小さなものであっても、「動機づくり」「顧客づくり」「店づくり」という3本の柱にかなった実践が組み合わされば、折れない3本の矢のごとく、長期化するコロナ禍にも負けない強い飲食店に変容することができるのです。
あとは、3本の柱にかなった実践を、日々お客様の幸せを考えながらバージョンアップを繰り返していくことです。では以下に、3本の柱のそれぞれの代表的な実践事例をご紹介しておきましょう。
【動機づくり:お客様の気持ちのスイッチを押して、行動を起こしてもらうための実践】
DM(紙媒体)なのか、SNS(ネット)なのか、いずれにしてもコロナ禍では「飛び道具」が必須になります。
離れているお客様の気持ちのスイッチを押して行動を起こしてもらうためには、DMか、SNSかのどちらかの実践が不可欠になるのです
。SNSが苦手なら、顧客リストのお客様にDMを出しましょう。
また、常連のお客様やお取引先酒販店様などにSNSに強い方がいるなら、その方に教えてもらうという方法もあります。
そして、DMでもSNSでも、書き方のコツは同じです。
まず、最初の1行で、お客様が思わず動機づけられるようなキャッチが必要です。
「緊急案内!常連の皆様だけにコッソリご案内!先着〇名様!」などのような書き方です。
その後は、コロナ禍で大変なお客様の気持ちに寄り添うような文章が必要でしょう。
「この店は、私の気持ちが分かっている!」と伝わるような表現で伝えることです。
そんな表現に、お客様は気持ちのスイッチが押され、来店するとか、テイクアウトを注文するなどの行動を起こしてくださるのです。
では、DMかSNSで伝える、「動機づくり」の具体的な内容の事例を、以下に挙げてみましょう。
●「テイクアウト・デリバリー・通販などを始めました!」と伝える
まず、絶対に必要というわけではないですが、コロナ禍では、テイクアウトやデリバリーや通販などを実践した方が圧倒的に有利です。
自店の都合ではなく、お客様の気持ちになって考えてみてください。
会社命令で外食を禁止されたりして、皆様のお店に行きたくても行けない方々にとって、テイクアウトやデリバリーは本当にありがたいものなのです。
料理人の中にはテイクアウトを下に見て、「あんなものはウチの料理じゃない!」と断言する方も少なくないようですが、ならばテイクアウトで冷めても美味しい料理を研究したことはあるのでしょうか?
ある名店のテイクアウト弁当に入っているミニトマトは、生のままでは入れていません。
皮をむき、ヘタを取り、甘めの出汁を含ませていました
。焼肉は、他の香りがつかないように笹の葉で包まれていました。
1品1品に思いやりが込められているそんな料理は、テイクアウトであってもお客様に感動を与えることができるのです。そこにお店の姿勢が明確に表れるのです。
また、「食べログ」や「Retty」などのグルメサイトも、相次ぎ飲食店の料理をお取り寄せできるサービスを始めています。
さらにアイビック食品という会社は、飲食店のテイクアウトや通販ビジネス参入を支援する事業をスタートさせています。
試作用のキッチン貸し出しやデザインの考案にとどまらず、完成商品の売り場まで提供するなどの丸ごと支援です。
今後はこのような飲食店応援サービスも増えてくるでしょうから、アンテナを立てておきましょう。
他にも、「ウーバーイーツ」や「出前館」などのデリバリーサービスを活用したりするのも手ですが、近隣の異業種のお店とグループを作り、独自のデリバリーの仕組みをスタートさせる飲食店も現れはじめています。
●「ケータリング・出張料理などを始めました!」と伝える
どうしてもテイクアウト・デリバリー・通販は嫌だという方にお薦めなのが、ケータリングや出張料理です。
どちらもお客様の自宅や指定の場所に料理を届けるサービスですが、食材の大半をあらかじめ仕込んでおいて現場で温めたり配膳などをするのがケータリング、訪問場所で大半の調理を行うのが出張料理という違いでしょうか。
これらの方法なら、温かい料理は温かく、冷たい料理は冷たく、目の前ですぐに食べてもらうことが可能になります。常連のお客様には、大いに悦んでいただけることでしょう。
ちなみにバー系のお店なら、カクテルづくりの出張サービスなどが考えられるでしょう。
●「飲めないご家族もOK!貸し切りOK!」を伝える
これまで家族需要にあまり目を向けていなかった居酒屋などの業態の場合、あらためて家族需要を喚起するという方法があります。
地方の焼肉店などで、普段から家族需要をメインにしていたお店は、コロナ禍でもほとんど売り上げを落とさなかったという事例があるのです。
家族の場合、日常一緒に暮らしていますから、ソーシャルディスタンスの必要はありません(ただし要確認)。たとえば、一般のお客様ならソーシャルディスタンスで4人席に2人しか座ってもらえないところを、4人家族ならそのまま4人席に座ってもらえます。
つまり、これまでお酒を飲まないお子様や奥様を同伴できなかった居酒屋が、「飲めないお子様・奥様用のノンアルドリンクも充実!是非ご家族でご予約を!」という動機づくりの呼びかけをすれば、少しでも席が埋まり、来店客数をアップさせることができるのです。
また同様に、これまで貸し切りを行っていなかった小さな居酒屋店などが、「貸し切りもOKになりました!」という呼びかけをするだけでも、動機づくりになり、来店客数アップにつながるでしょう。
●「オンライン飲み会主催」や「オンライン飲み専用席設置」を伝える
コロナ禍で増加している「オンライン飲み会」を、自店で主催するという方法もあります。
しかしその場合、テイクアウトやデリバリーなどを行っていないと、自店の売り上げにはなりません。
テイクアウトやデリバリーを購入してくださったお客様と「オンライン飲み会」を開催すれば、自店の売り上げになり、ソーシャルディスタンスは完璧ですし、席数を気にする必要もなく、何人でも参加できますので、やり方によってはかなりの売り上げを上げることも可能でしょう。
しかし、Zoomなどのオンライン会議ツールを使う必要がありますので、その会費(短時間なら無料)が必要になり、それを使いこなせなければなりません。
使いこなせる常連さんや酒販店さんに手伝ってもらうという手もあるでしょう。
また、主催をしなくとも、「オンライン飲み専用席」を設置して、それを伝えれば、来店の動機づくりになります。
自宅での「オンライン飲み会」は、声がうるさいとか様々な理由で家族から嫌がられている場合が、意外に少なくありません。
そういうお客様のために、「オンライン飲み専用席ができました!」と伝えれば、悦んで来店される方が結構いらっしゃることでしょう。
ただし、その場合は自店にフリーWi-Fiを導入する必要があります。
居酒屋チェーンでも「オンライン飲み専用席」を設置し、希望者にタブレット端末を貸し出すサービスを始めたチェーンがあります。
また、テイクアウトで一定額以上の購入者に、Zoomの「2時間分無料権」を進呈する「オンライン飲み会プラン」を始めた居酒屋チェーンまであるのです。
●「レシピ配信・オンラインサロンなどを始めました!」と伝える
人気メニューの作り方を配信したり、料理教室や日本酒セミナーなどのオンラインサロンを開始するという方法もあります。
ただし、オンラインの知識や能力が必要となります。
得意な常連さんや酒販店さんに手伝ってもらうという手もあるでしょう。
またその場合、「投げ銭」などのオンラインでの課金の仕組みを作っておかないと、売り上げにはつながりません。
また、冷めても美味しいテイクアウト弁当の開発経緯をお客様に事前に配信することで話題になり、テイクアウト弁当が大人気になったという事例もあります。
●「店に行くことが社会に対して良いことをすることにつながる」ことを伝える
コロナ禍において、多くの人々がお金の使い道を真剣に吟味するようになり、「どうせ使うなら、社会に対して何か良いことをすることにつながるように使いたい。」と考える方々が増加しています。
つまり、あなたのお店で食事することやテイクアウト弁当を買うことが、社会に対して良いことをすることにもつながるなら、あなたのお店は選ばれやすくなるということです。
社会に対して良いこととは、以下のように数多くありますので、あなたのお店にふさわしいものを選び、それを推進することを掲げ、お客様に伝えましょう。
フードロス(賞味期限切れ間近の食品の廃棄)を減らす、「SDGs」(持続可能な開発目標。
貧困や飢餓、環境問題など)の実現、フェアトレード(公正な取引。発展途上国の貧困な生産者や労働者の生活改善と自立を支援する運動のスローガン)商品の積極的活用、フードマイレージ(食料の輸送距離。輸送に伴い排出される二酸化炭素が地球環境に与える負荷に着目したもの)の短い食材の利用、ASC(水産養殖管理協議会)認証やMSC(海洋管理協議会)認証といったサステナビリティ(持続可能性)度合いや、障がい者を積極的に雇う・・・etc.
●ホテル・旅館業でも可能!ライブハウスの画期的な事例
ライブハウスは、コロナ禍でどこも大変ですが、高知市のあるライブハウスでは、オンライン配信の撮影機器や専門のスタッフも準備して、誰でもオンラインライブを開催できる仕組みをつくり、コロナ禍でも繁盛しているのだそう。
例えば、全くオンライン知識の無いバンドであっても、この店で演奏しさえすれば、オンラインライブが開催でき、「投げ銭」などの課金の仕組みも付けられるように工夫もされているのです。
この仕組みをバンドだけに限らず、たとえばコロナ禍で公演が開催できずに困っている演劇、演芸、舞踏、伝統芸能・・・等々の方々に「当店のオンラインライブの仕組みをご利用ください!」と伝えるだけで、彼らがこぞって利用するようになり、大繁盛になるのではないでしょうか。
そして、この仕組みはライブハウスのみならず、演奏や演劇などができる舞台を持っている料亭や、ホテル・旅館業でも実施可能なビジネスモデルであるといえるでしょう。
●最後の手段は「攻めの閉店」!
六本木の豚しゃぶ専門店「豚組しゃぶ庵」は、早くからツイッターで予約を取るなどの取り組みでIT系の方々に人気でしたが、コロナ禍で6月末に「10月末に閉店します」とツイッターに投稿し、たちまち話題に。
さらに7月には「オンライン移転&店舗再出店プロジェクト」と銘打ち、クラウドファンディングをスタート。
店の貸し切りや豚しゃぶのオンラインセットなどをリターンに、開始から1時間も経たずに目標の250万円を達成したというのです。
この成功は、もちろん同店が長年顧客と関係を深めてきた努力がもたらしたもので、他店が手法だけマネても同様の結果の達成は難しいでしょう。
しかしここで参考にしたいのは、その「攻めの閉店」の姿勢です。
同店は、現在の状況を論理的に分析した結果、あえて閉店という選択を早めに決めました。
そして、結果的にコロナ禍の後にも、同店の味を残すためのオンライン化という道を見出すことができているのです。(出典:日経MJ<7月10日>「奔流eビジネス」:徳力基彦)
また、コロナ禍で都心部に出向かなくなった人々が、地方都市の地元のこだわりの飲食店に目を向けはじめているのだそうです。
実際に、ある地方都市の某小さな飲食店は、緊急事態宣言下でも来店客が急増しているのだとか。
こうした「地元に注目が集まる」流れは今後もしばらく続き、定着する可能性も大でしょう。
リモートワークが浸透し、大都市圏に通勤することが少なくなり、地元で過ごす人たちが今後も増えていくでしょうから。
ならば、大都市圏の飲食店が、このコロナ禍であえて「攻めの閉店」に打って出て、地方都市に引っ越すという選択をするのもありなのではないでしょうか。
【顧客づくり:「絆づくり」の実践と「顧客コミュニティづくり」の実践】
「動機づくり」同様「顧客づくり」においても、DMかSNSか、いずれかの「飛び道具」は必須です。
ただし目的は異なります。
「動機づくり」では、お客様の気持ちのスイッチを押して、行動を起こしてもらうためのDMやSNSでしたが、「顧客づくり」では、お客様1人1人との「絆づくり」のためと「顧客コミュニティづくり」のために、DMやSNSを送ることになります。
「動機づくり」のDMやSNSは、お客様からすれば「売り込み」です。
一方「顧客づくり」のDMやSNSは「絆づくり」ですから、それで売り上げが上がることはありません。しかし、効果は見えにくいですが、確実に顧客流出率は下がっていくのです。
そんな「顧客づくり」のコツや内容などについては、以下の通りです。
●コツ:ひんぱんにつながり続ける
DM送付やSNS送信は、どの程度のペースで行えばよいかというと、答えは「ひんぱんに」です。
最低でも毎月1回は送るべきでしょう。なぜならお客様は必ず忘れるからです。
どれだけ大好きな飲食店でも、いつの間にか疎遠になったりするのです。
そしてその一番の理由は、単純に「忘れている」からです。こうして大切なお客様が流出してしまいます。
この率を顧客流出率といいますが、コロナ禍では顧客流出率を下げることが、平常時以上に重要になります。
では、どうすれば顧客流出率を下げることができるのかというと、「ひんぱんにつながり続ける」ことしかないのです。
毎週来店してくれる常連客なら別ですが、他のお客様は来店がない限りつながることはできませんから、DMやSNSを使ってひんぱんにつながり続けるしかないのです。
お店にしばらく来ていなくても、たとえ離れていても、「お店とつながっている」という感覚を、お客様に常に持っていただくことが大事なのです。
●内容➀:お客様の気持ちに寄り添う
では、「顧客づくり」のDMやSNSには、どのような内容を書いたらよいのでしょう。
ここは「根本精神」です。自店が大変だからこそ、お客様のためにできることを考え、それを行動に移す。
その具体的な行動が「動機づくり」になります。
では、「顧客づくり」としては何が必要かというと、まずは「お客様の気持ちに寄り添う」ということです。
コロナ禍では特にここが大切です。1人1人のお客様の顔を思い浮かべ、彼らの気持ちを慮り、「あなたの気持ちに寄り添っています」ということを、ハッキリと伝えることが重要でしょう。
●内容➁:ちょっとした自己開示
お客様に、お店に対しての絆を感じてもらうためには、お客様に心を開いてもらうことが必要です。
DMやSNSでお客様に心を開いてもらうために最もよい方法は、「ちょっとした自己開示」です。まずはこちらから先に心を開くのです。簡単な自己紹介から始めるとよいでしょう。
自己アピールではなく、こちらが心を開くことで相手も心のガードが解けていくような、心が近づくお便りを目指すことが大切です。
お店が目指していることや、自分たちのちょっとした個人的なことや趣味、最近感動したことや失敗談など、こちらの人となりを理解してもらえるように、自分を語っていくのです。
これにより、お客様も自分のことを語りやすくなり、相互に理解が深まり、関係性が深まっていくのです。
●内容➂:心が通う体験を共有する
過去に開催したことがある楽しいイベントなどの写真(特にお客様の満面笑顔の写真など)やお客様の悦びの声などを、DMやSNSに掲載しましょう。もちろん新たにイベントを開催し、その写真や悦びの声を掲載することができればそれに越したことはないのですが、コロナ禍では難しいでしょうから、過去のイベントを活用するのです。
他には、「さりげない心づかい」や「笑顔になるサプライズ」や「ちょっとした特別感」などを演出することで、お客様と心が通う体験を共有することにつながります。
●内容➃:紹介をお願いする・応援団やサポーター組織を作ってもらう
常連のお客様や絆が育まれてきたお客様に、思い切ってお友達や知り合いの紹介をお願いしましょう。絆を感じてくれているお客様なら、悦んで紹介してくれるはずです。
これが、「根本活動」の「顧客リストを作り常に更新する」ことにつながります。
また、さらに一歩進んで、常連のお客様や絆が育まれてきたお客様に、自店の応援団やサポーター組織を作ってもらえるようお願いしてみましょう。
お客様には必ず1人くらいは世話好きな方がいますので、そんな方に中心になってもらい、応援団やサポーター組織を作ってもらうのです。
これによりファン・コミュニティが形成され、自店との絆だけでなく、お客様同士の絆も育まれていきます。
ファン同士がつながると、気持ちの共鳴が起きて盛り上がったり、新しいアイデアや企画が出たりするかもしれません。このようなファン・コミュニティの存在は、お店にとって精神的な安心感をもたらし、楽しく長く商売を続けていく基盤となるのです。
【店づくり:毎日でも通いたくなるような店づくり・サービスづくりの実践】
私はコロナ禍において、「オンライン飲み会」を開催する中で、「飲食店は、生のライブ感がウリのエンターテインメント業だ!」と気づきました。
確かに「オンライン飲み会」は、遠く離れていても一堂に会すことができるなど、リアル飲み会にはない利点も多く、コロナ終息後も新しい飲み会として残っていくことは間違いありません。
しかし、何かが物足りないのです。
その後、緊急事態宣言が解除となり、久々に開店した馴染みのお店で、久しぶりにリアルな飲み会を開催して気づきました。
店主や従業員の人柄や彼らとの何気ない会話、そして他のお客さんも含め共に醸成される店全体の雰囲気・・・等々。絶対にオンラインでは体験できない大切なものが、そこにあったのです。
涙が出そうなほど嬉しかったです。
今まで当たり前だと思っていたことが、いかに有り難いことであったか。
そのお店の存在自体に、心から感謝している自分がいました。
「オンライン飲み会」は、飲食店の営業妨害になるという声も聞こえてきますが、私は逆に飲食店の有り難さに気づいてもらえる大チャンスだと思っています。
実際、私の周りにも、「オンライン飲み会」に参加してこのことに気づいた方々が少なくありません。
「オンライン飲み会」は、所詮はコンサートをビデオで観ているようなもので手軽ではありますが、生のライブ感満点のエンターテインメントであるリアル飲み会には、比ぶべくもないのです。
ただし、全ての飲食店がそうかというと、残念ながらそれは違います。
コロナ禍で出現した新しい世界では、人々の選択は極めて厳しいものになるからです。もはやお客様は、自分好みでないお店にはびた一文落としたくないのです。
ならば、自店は生のライブ感がウリのエンターテインメント業なのだという意識をしっかりと持ち、お客様が毎日でも通いたくなるような店づくり・サービスづくりを実践しなければならないということなのです。
●自店らしい雰囲気づくりの徹底
あなたのお店のお客様は、何を求めて来店しているのでしょう。お客様から「このお店、何かいいよね」と言われたときの「何か」とは何でしょう。
その「何か」こそ「自店らしさ」です。それは、お店全体の雰囲気から匂い立つように立ち現れるものです。
それは、実家へ戻ったような安心感であったり、日常を忘れ去らせてくれる非日常性であったりと、お店によって全く違います。
この自店らしい雰囲気づくりを徹底することが、コロナ禍では一層求められます。
店全体の内装、机や椅子、飾り付け、制服、BGM・・・等々を、「自店らしさ」で統一することを徹底すべきです。なぜなら、コロナ禍で出現した新しい世界では人々の選択が極めて厳しくなるからです。
選択眼が厳しくなると、ちょっとした違和感でも気づきやすくなり、それで一気にファンの気持ちが醒めてしまうこともあり得るのです。
●お客様の気持ちを察した臨機応変のサービス
飛沫防止シート、アクリル板、マスク、消毒の徹底など、感染対策の徹底は当然のことですが、そこにはお客様の気持ちを察した臨機応変のサービスという考え方も必要でしょう。
たとえば、一緒に住んでいる家族4人で最近ランチに行った際、アクリル板の仕切りがあるままで食事をしましたが、ちょっと違和感があり、あまり会話が弾みませんでした。
一緒に住んでいる家族の場合はアクリル板を取りはずすなど、それぞれのお客様の気持ちを察した臨機応変のサービスがあってもよいのではないでしょうか。(※ただし、同居家族でもソーシャルディスタンスを徹底している場合がありますので、その確認が必要。)
●お客様と共に創る
飲食店は生のライブ感がウリのエンターテインメント業ですから、店主や従業員だけで創るものではなく、お客様と共に創るものです。
ならば、お客様に「自分も共に創り上げている!」という意識を持ってもらうことが重要です。たとえば、メニューの1品1品に、その料理ファンのお客様のコメントを掲載しているお店がありますが、これだけでも掲載されたお客様には、「共に創っている」意識が芽生えてくるものなのです。
このような小さな活動の積み重ねが、「ここでならお金を使いたい!」と思ってもらえるような、毎日でも通いたくなるような、店づくりやサービスづくりの実践となるのです。
そして、それができるかどうかが、ウィズコロナ時代にはお店の競争力を大きく左右することになるでしょう。
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