今回は、山本モロミさんの発酵醸造ミステリー小説、「山田錦の身代金」(山本モロミ 著 幻冬舎 2020年10月1日発行 1200円+税)をご紹介さいていただきますぜよ。
ちなみに著者の山本モロミさんは、実は日本酒と食のジャーナリストとして活躍中の山本洋子さんの旦那さんながやき。
山本洋子さんは、「週刊ダイヤモンド」に「新日本酒紀行〜地域を醸すもの〜」を連載中で、8月末に講演で高知に来られた際に、司牡丹酒造に旦那さんと一緒に取材にお越しいただいちょって、同連載に司牡丹を取り上げていただいたばっかしながよ。
そん時に旦那さんは先に東京に帰られて、その晩は洋子さんをワシが土佐の夜の町にご案内さいてもうたきに、その御礼っちゅうことやろうか、このご著書をお送りいただいたがやき。
山本モロミさん、まっことありがとうございますぜよ!
ほんで、先日の土曜に読み始めたがやけんど、面白うて目が離せんなるミステリー小説なもんやき、土日の2日間で一気に読破してしもうちょったがよ。
さて、その内容やけんど、ネタバレせん程度にちくとご紹介さいていただきますぜよ。
まず簡単にアラスジをご紹介すりゃあ、世界一の日本酒といわれる烏丸酒造の純米大吟醸酒の原料となる山田錦の田んぼ(総額3億円!)が、人質にとられるっちゅう話ながやき。
「天津風の田に毒をまいた。残りの山田錦が惜しかったら、五百万円用意しろ。」っちゅう脅迫状が烏丸酒造に届き、見りゃあ一本100万円を超える純米大吟醸酒の元となる田の一角が枯らされちょったっちゅうんが、事件の発端やったがよ。
そんな酒蔵にボッチり居合わせた、主人公である「日本酒と食のジャーナリスト」山田葉子さんを中心にした個性豊かな面々が、複雑に絡み合う事件の真相をめぐり、密室の謎やアリバイ崩しらあに挑んでいくがやき。
もちろん山田葉子さんっちゅうんは、著者の奥さんである山本洋子さんがモデルながよ。
他にも、実在の人物である「獺祭」醸造元の旭酒造の桜井会長さんが登場したり、元プロサッカー選手で日本酒プロモーターのワカタヒデヨシさんっちゅう、どっかで聞いたことがある名前の方が登場したりと、日本酒ファンの気持ちをくすぐって飽きさせんがやき。
さらに、山田葉子さんらあが日本酒の原料や造り方らあについてを、何ちゃあ知らん警察の方に分かりやすう説明したり、また実際の酒造りシーンらあも随所に登場するき、日本酒について何ちゃあ知識のない方々が読んだち面白う読めるし、読了したら知らんうちに日本酒についての知識が獲得できちゅうっちゅう、一石二鳥の前代未聞の発酵醸造ミステリー小説ながよ!
特に、日本酒1升瓶1本を造るがに、どれっぱあの酒米が必要かっちゅうんを、主人公の葉子さんが説明するあたりは、まるで本物の洋子さんの講演を聴きゆうかのように秀逸ながやき。
田んぼ1坪、つまり畳2畳から、一般的な純米酒が1升瓶1本造れるっちゅうがよ。
さらに計算してみりゃあ、20歳以上の成人が1人1日1合の純米酒を飲みゃあ、それだっけで1万ヘクタールの田んぼが必要になるっちゅうがやき。
そりゃあちょうど、減反されゆう田んぼ分ながよ。
つまり、20歳以上の日本国民が、純米酒を1日1合飲みゃあ、減反が不要になるっちゅうことながやき!
また、ストーリーの中で登場する、一子相伝の秘伝「玉麹」の技についちゃあ、まっことそんな凄い技術が実在しちょったら、どんな日本酒が生まれるがやろうかと考えただっけで、まっことワクワクしてくるっちゅうもんながよ。
もしかしたら、一般の方が普通に本書を読んだら、「玉麹」が実在しちゅう秘技やと勘違いしてしまうかもしれんばあ、まっことリアルに描かれちょって、そんなあたりもこぢゃんと面白いがやき。
さらに、物語のクライマックスで主人公の葉子さんがアツうに語る、米に関する愛情あふれる言葉は、まさに至極の名言といえるがよ!
著者の奥さんである洋子さんが、実際に講演らあでよう語られゆうその言葉は、まっこと心に響いてグッとくるし、ワシらあ日本酒蔵元はみんなあ、心に留めちょくべきもんながやき!
その名言についちゃあ、あえてここじゃあ紹介は控えさいていただきますきに、知りたい方は是非本書をご購入くださいや!
山本モロミ著「山田錦の身代金」・・・日本酒ファンやったら必携の、日本酒初心者や飲んだこともないライトユーザーやち読んだらきっと日本酒が飲みとうなる、極上の日本酒エンターテインメントぜよ!
土佐の高知の日本酒蔵元「司牡丹」の公式ホームページは、こちらをクリック!
司牡丹酒造株式会社