「成長を欲するもんはまず根を確かにおろさにゃあならん。上にのびる事をのみ欲しちゃいかん。まず下に食い入ることを努めや。」(和辻哲郎)
哲学者・倫理学者・文化史家・日本思想家で、「古寺巡礼」「風土」らあの著作で知られ、その倫理学の体系は「和辻倫理学」と呼ばれた、和辻哲郎(1889〜1960)さんの言の葉ながやき。
この言の葉を聞いたとき、こりゃあもう知っちゅうとか、同じような言葉を聞いたことがあるとか、そう思うた人が少のうないと思うがよ。
農作物らあの植物全般を見りゃあ分かるとおり、幹や枝や、茎や葉や、花や果実っちゅう地上に出ちゅう部分の成長を欲するやったら、しっかりと地下に根をおろさにゃあいかんがやき。
誰やち知っちゅうことやけんど、知っちゅうこととできるたぁ違うがよ。
まずは下にしっかり根をおろさにゃあ上が成長するこたぁないと誰やち知っちゅうはずやに、世の中を見回しゃあ、下は放ったらかしにして上にのびることばっかしを求めゆう人が、いかに多いことか!
ほんじゃき、あらためてこの「言の葉」を噛み締めたいがやき。
「上にのびる事をのみ欲しちゃいかん。まず下に食い入ることを努めや。」
肝に銘じちょきたい言の葉ながぜよ。