「あらゆるもんを奪われた人間に残されたたった一つのもん、そりゃあ与えられた運命に対して自分の態度を選ぶ自由、自分のあり方を決める自由ぜよ。」(ヴィクトール・フランクル)
オーストリアの精神科医・心理学者で、多数の著作は日本語訳も多うて重版もされちゅう、ヴィクトール・フランクル(1905〜1997)さんの代表作、「夜と霧」の中からの言の葉ながやき。
フランクルさんが、自身のナチスの強制収容所での2年半の壮絶な体験を、心理学的に解明しょうと試みた記録が「夜と霧」ながよ。
フランクルさんの目的は批判や告発やのうて、「人生たぁ何か」をあぶり出すことにあり、過酷な環境によって損なわれたもんやのうて、むしろ損なわれんかったもんに目を向けちゅうがやき。
過酷な環境はまったく好転せん・・・それやち!
別の収容所におる妻の生死もわからん・・・それやち!
明日、いや今夜にも死ぬかもしれん・・・それやち!
そこまで突き詰めた先に、「どんな状況やったち人生にゃあ意味を見出だすことができる」と説いたフランクルさんの言の葉は、筆舌に尽くし難いばあの重みがあるがよ。
ナチスの強制収容所でのフランクルさんの2年半と比べりゃあ、長期化するコロナ禍を過酷な環境やっちゅうて嘆きゆう自分自身が、ちくと恥ずかしゅうなってしまうがぜよ。