「人間は不幸のどん底につき落とされ、ころげ廻りもってやち、いつかしら一縷の希望の糸を手さぐりで捜し当てちゅうもんながぜよ。」(太宰治)
戦前から戦後にかけて、「走れメロス」「斜陽」「人間失格」らあの名作を次々と発表した小説家、太宰治(1909〜1948)さんの言の葉ながやき。
自身のこれまでの人生の中で、一番大変やったっちゅうドン底体験を、ちくと思い出していただきたいがよ。
一筋の光明も見えん、すべてを墨汁で塗りつぶしたような真っ暗闇、なんぼ時間が経ったち目が馴れてボンヤリ見えるようになることすらないような真の漆黒の暗闇の中で、たった独りでもがき苦しみ、七転八倒ころげ廻ったっちゅうドン底体験・・・。
そんな最悪の状況の中で、ふと我にかえったとき、一寸先も見えん真っ暗闇っちゅうこたぁ、こっからは手さぐりだっけでジワジワ進んでいくしかないんやっちゅうて気づいたときの、あの背筋が凍りつくような感覚。
けんど、今になってよう思い返してみて、ワシゃあ気づいたがやき。
一寸先も見えんような真っ暗闇やったきにこそ、研ぎ澄まされた肌感覚が、いつの間にか手さぐりで、一縷の希望の糸を捜し当てちょったがやっちゅうことに。
つまり、もし今おまさんが、どればあ真っ暗闇のドン底で七転八倒しよったとしたち、心配するこたぁない、大丈夫やっちゅうことながよ。
おまさんやち必ず、いつの間にか手さぐりで、一縷の希望の糸を捜し当てることができるっちゅうことながぜよ!