7月13日(火)は、高知工科大学永国寺キャンパスにて、高知工科大学・経済・マネジメント学群「経営システム特別講義」に、久々にワシゃあ講師として招かれ、「コロナ禍のピンチをチャンスに!日本酒に『意味のイノベーション』を起こす!」っちゅう講演をさいてもうたがやき。
11時から12時半までの90分の講義に、経済・マネジメント学群の3年生の生徒さんらあが50名ばあ集まってくださったがよ。
皆さんにゃあ、ワシのパワーポイントの資料と、ワシの書いた小冊子「なぜ、日本酒をうまく活用する人は幸せになれるのか?」らあも、配らいてもうたがやき。
ほんで、ワシの講演内容は、だいたい以下の通りやったがよ。
【1】ビジネスにとって一番大切なもんは?
ビジネスにとって一番大切なもんは、「 ヒト」(人材)「モノ」(商品)「カネ」(資金)「ジョウホウ」(技術・ノウハウ・コンテンツ)・・・と思うかもしれんけんど、そりゃあ実は「顧客」やっちゅう話を、まずさいてもうたがやき。
ヒトがおらいじゃち、商品がのうたち、カネがのうたち・・・顧客さえおりゃあ、実はビジネスは立ち上がるがよ。
特にコロナ禍においちゃあ、それがより鮮明になっちゅうがやき。
【2】顧客が今求めゆうがは?
その一番大切な顧客が今求めゆうもんは、「モノの豊かさ」、「物質的な幸せ」から、「心の豊かさ」、「精神的な幸せ」に年々移りゆうがよ。
コロナ禍で、そんな流れが、さらに選別が加速しゆうがやき。
貯蓄に回ったといわれゆう20兆円の使い道に、選ばれるかどうかっちゅうことながよ。
【3】司牡丹のSTORY〜「志のSTORY」と「品質のSTORY」〜
お次は「司牡丹のSTORY」で、まずは「志のSTORY」について、語らいてもうたがやき。
「司牡丹の歴史と由来のSTORY」、「日本を創った偉人たちと司牡丹のSTORY」、ワシの曾祖父「竹村源十郎のSTORY」、ワシの父「竹村維早夫のSTORY」、ほんでワシ、「竹村昭彦のSTORY」っちゅう順番に、受け継がれる「志」について、語らいてもうたがよ。
続いては、「司牡丹のSTORY」の2番目、「品質のSTORY」ながやき。
「水のSTORY」、「米のSTORY」、「技のSTORY」、「心のSTORY」について、それぞれ詳しゅうに語らいてもうたがよ。
ほんで、「司牡丹のSTORY」のまとめとしちゃあ、以下のとおりながやき。
ここ100年間ばあを振り返りゃあ、一貫して品質のブラッシュアップをベースに、新たな領域に挑戦することで、危機を乗り越えてきた100年間やったといえるがよ。
人々の心の荒廃がさらに進行しゆうコロナ禍、アフターコロナにおいて、さらなる品質のブラッシュアップをベースに、日本酒で「心の豊かさ」や「精神的な幸せ」を提供するっちゅうことしかないがやき!
【4】日本酒に「意味のイノベーション」を!
「心の豊かさ」や「精神的な幸せ」を日本酒で提供するたぁ、つまり日本酒に「意味のイノベーション」を起こすことやといえるがよ。
一般に「イノベーション」たぁ、「技術のイノベーション」のことで、そりゃあテクノロジー開発の背中を押す「技術革新」のことながやき。
一方「意味のイノベーション」たぁ、市場に“新しい意味”をもたらす土壌を創るっちゅうことながよ。(参考:「デザインの次に来るもの」〜これからの商品は「意味」を考える〜 安西洋之・八重樫文 著)
電灯がこればあ普及しちゅうに、ロウソクはなんで今も売れ続けゆうかっちゅうたら、「食事のムードを楽しみたい」っちゅうロウソクの新たな意味に、誰かが気づいてそれを広めたきながやき。
つまり、ロウソクに「意味のイノベーション」を起こしたっちゅうことながよ。
考えてみりゃあ、日本酒の「意味」も、時代によって様々に変遷してきちゅうがやき。
「神事のための魔法の水」、「神と一体化するためのツール」、「人生儀礼における必需品」、「憂いを晴らす飲み物」、「酔うための道具」、「後輩イジメの定番」・・・
ほんで現在はっちゅうたら、「飲みよったらちくとツウっぽう見える、まあまあ美味しい珍しい飲みもん」といった程度ながよ。
今こそ日本酒に“新しい意味”をもたらす、「意味のイノベーション」が求めらゆうがやき!
また、コロナ禍のピンチをチャンスに変えるっちゅう意味でも、「意味のイノベーション」しかないがよ。
ほんでワシゃあ、昨年12月に、小冊子「なぜ、日本酒をうまく活用する人は幸せになれるのか?」(〜日本酒に興味などない普通の皆さんのための、知らないと損する日本酒活用法〜)を緊急発行さいてもうたがやき。
さらに、「酒道 黒金流」の仮のホームページを12月下旬にオープンし、本年3月にゃあ正式オープンに漕ぎ着けたがよ。
「酒道 黒金流」(https://shudo-kurogane.jp/ )は、ソムリエや唎酒師らあみたいな資格や職業やのうて、日本酒を媒介とした「道」を伝えるもんであり、これこそが日本酒の「意味のイノベーション」やと、ワシゃあ考えちゅうがやき。
【5】高知県酒造組合のSTORY
お次は、「高知県酒造組合のSTORY」で、まずは土佐の高知の「風土のSTORY」について、語らいてもうたがよ。
鮮度抜群の山・川・海の幸に日本一恵まれた高知県の、まずは山の幸にゃあ、<春>イタドリ<夏>リュウキュウ<秋>柚子<冬>葉ニンニクらあがあるがやき。
次に、川の幸にゃあ、<春>川エビ<夏>鮎<秋>ツガニ<冬>川ノリらあがあり、海の幸にゃあ、<春>ドロメ<夏>初鰹<秋>サバ<冬>ウツボらあがあるがよ。
さらに、土佐の高知にゃあ独特の豊かな食文化があり、土佐の酢みかん文化(柚子、ブシュカン、直七らあの香酸柑橘類を酢として多用する文化)と、土佐寿司文化(柚子酢を酢飯に使うた野菜寿司「土佐田舎寿司」等、何でも寿司にすると言われるばあ多様な郷土寿司文化)らあが存在しちゅうがやき。
さらにさらに、食を引き立てる日本一旨い辛口酒、土佐酒(全18蔵)があり、明るうて、人なつっこい土佐人気質があり、独特の「おきゃく文化」「なかま文化」をベースとした楽しい土佐の宴があるがよ。
つまり、「食が美味しい!酒が旨い!人が明るい!そして世界一宴が楽しい酒国土佐!」やっちゅうことながやき。
続いては、「土佐酒のSTORY」で、酵母開発、酒米開発、産官学連携組織「土佐酒振興プラットフォーム」(竹村昭彦会長)、土佐酒ブランドコンセプト「TOSA NAKAMA SAKE」、オンライン酒場「酔うちゅう部」(https://youtu-bu.jp/ )らあについて、詳しゅう語らいてもうたがよ。
【6】日本酒の未来・土佐酒の未来
お次は未来についてで、まずコロナ禍においちゃあ酒類が悪者扱いされ、令和2年3月頃から国内消費は激減したけんど、日本酒の輸出に関しちゃあ、海外におけるECサイトでの販売の伸長らあにより、令和2(2020)年の輸出金額は約241億円(対前年約3%増)となって、9年連続過去最高を記録しちゅうがやき。
日本酒の輸出は、これまでは飲食店メインで、家庭需要開拓が課題やったがやけんど、コロナ禍で期せずして、ECサイトでの販売が伸長し、家庭需要の開拓が進んだっちゅうことながよ。
アフターコロナにおいて、飲食店需要が復活し、家庭需要を維持できりゃあ、今後の大きなプラスにつながっていくっちゅうことながやき。
また、国の輸出拡大実行戦略でも、農林水産物・食品の輸出目標は、2025年までに2兆円、2030年までに5兆円となっちょって、酒類についちゃあ「清酒」「ウイスキー」「本格焼酎・泡盛」の3品目が重点品目に上げられちゅうがよ。
この3品目についちゃあ、農林水産物・食品全体の輸出目標の伸び率(対2019年比約2.2倍)を上回ることを目指しちゅうがやき。
ちなみに、清酒のターゲット国は米国、中国、香港、EU、英国、台湾、シンガポールで、2025年目標は600億円(対2019年比約2.5倍)やっちゅうがよ。
さらに、日本酒・焼酎らあの日本独自の麹を使うた酒類を、ユネスコ無形文化遺産に登録しょうっちゅう流れも加速しちゅうがやき。
最速やと2024年にゃあ、日本酒はユネスコ無形文化遺産に登録になるっちゅうことながよ!
続いては、土佐酒の未来で、まず高知県の日本酒の現状は、国内出荷も輸出も品質も、四国で断トツやっちゅうお話をさいてもうたがやき。
高知県の日本酒は、四国四県の総合計出荷量の約半分を占めて断トツやし、高知県の令和2年の輸出量は、日本酒157.7kl(前年比105.3%)、リキュール83.5kl(前年比106.8%)で、こりゃあ四国四県総合計の約70%を占めちゅうことになるがよ。
さらに、高知県の本年度「全国新酒鑑評会」最高位金賞受賞数は6場(18蔵中)で、こりゃあ四国・九州で断トツ1位の成績ながやき。
中国・四国・九州で見たち、かの銘醸地広島県の9場(42蔵中)に次ぐ2位ながよ。
しかも、高知県の食品輸出は、トップが柚子、2位が水産物、3位が酒なもんやき、県の応援も手厚いがやき。
さらにさらに、高知県酒造組合は、国税庁の輸出振興関係の補助金を獲得し、現在オンライン酒場「酔うちゅう部」を格段にバージョンアップしゆう真っ最中で、「酔うちゅう部」にゃあ翻訳機能らあが装備され、海外プロモーションらあにも活用できるようになる予定ながよ。
最後に「まとめ」で、まず日本酒全体についちゃあ、確かに人口減・高齢化らあもあり、今後も国内消費は厳しいろうけんど、輸出についちゃあ、国の施策の後押しらあもあり、未来は明るいと言え、「世界のSAKE・日本酒」となる日も近いと言えるがやき!
次に土佐酒についちゃあ、課題先進県(人口減・高齢化のトップ)である高知県内じゃあ、今後も厳しいと言えるけんど、県外出荷や輸出についちゃあ、土佐酒は全体の高品質が認知され、県の後押しらあもあり未来は明るいと言え、「TOSA NAKAMA SAKE」が世界の共通語となる日もそう遠うないと言えるがよ!
最後に司牡丹について、「酒道」の可能性についてで、ソムリエや唎酒師は資格や職業やけんど、「酒道」は「道」であり、そりゃあ精神性をベースとした生き方ながやき。
「酒道」の概念は、「茶道」や「華道」のように、外国人にとっちゃあ間違いのう、憧れの対象となり得るがよ。
50年後、あるいは100年後にゃあ、「世界のSHUDO」となっちゅうはずながぜよ!
だいたいこんなようなお話をさいてもうて、ワシの講義は終了したがやき。
皆さん、熱心にご聴講いただき、まっことありがとうございました!
ほいたら最後に、学生の皆さんからいただいたアンケートの中から、悦びの声の一部を、以下にご紹介さいていただきますぜよ。
●高知県の魅力をお酒を通して知ることができました。私は高知県出身で、同世代の人々に高知の魅力を発信したいと思っています。また日本酒が好きで、高知に生まれて良かったとも思っています。本日の講演は、私にとって、とても魅力的な内容でした。今はコロナ禍で、土佐のおきゃくや宴が全くできず、大ダメージを受けられていると思いますが、どうか魅力の発信を続けていただきたいと思います。
●司牡丹のこれまでの歴史や、経営していく上での考え方を知れてよかったです。日本酒はあまり飲めませんが、料理に使ってみようと思います。
●高知県出身ですが、酢みかん文化は高知だけと知り驚きました。また紹介にあった高知の食材の数々も、知らないものがあり勉強になりました。
●私も高知の日本酒が好きなので、本日の講演を楽しみにしていました。辛口の日本酒が好き!というだけで、日本酒の歴史について何も知らなかったので、司牡丹さんのストーリーを知ることができて嬉しかったです。今後司牡丹を飲む時に今日の講演を思い出して、更に美味しく感じるんだろうなと楽しみです。家に帰って日本酒を飲みたくなりました。
●県外から来高し、高知の企業を全く知らなかったので、講演を通し、酒造りのお話や歴史を知れて、とても有意義な時間になりました。夏に地元に帰省する際には、司牡丹さんのお酒を両親へのお土産にしようと思います。お忙しい中、貴重な講演ありがとうございました。
土佐の高知の日本酒蔵元「司牡丹」の公式ホームページは、こちらをクリック!
司牡丹酒造株式会社