今回は、1年前に書籍化され、ワシのblog & Facebookでも紹介さいてもうた、山本モロミさんの発酵醸造ミステリー小説、「山田錦の身代金」(山本モロミ 著 幻冬舎 2020年10月1日発行 1200円+税)が、「山田錦の身代金」(山本薫 著 幻冬舎文庫 令和3年10月10日発行 710円+税)として早くも待望の文庫化されたき、そちらをご紹介さいていただきますぜよ。
ちなみに著者の山本モロミさんは、この作品で作家デビューされ、文庫化にあたり山本薫さんっちゅうペンネームに変更されたがやけんど、実は日本酒と食のジャーナリストとして活躍中の山本洋子さんの旦那さんながやき。
山本洋子さんは、「週刊ダイヤモンド」に「新日本酒紀行〜地域を醸すもの〜」を連載中で、昨年8月末に講演で高知に来られた際に、司牡丹酒造に旦那さんと一緒に取材にお越しいただいちょって、同連載に司牡丹を取り上げていただいたがよ。
そん時に旦那さんは先に東京に帰られて、その晩は洋子さんをワシが土佐の夜の町にご案内さいてもうたきに、その御礼っちゅうことで、デビュー作のご著書をお送りいただき、今回もまた文庫本をお送りいただいたがやき。
山本薫さん、まっことありがとうございますぜよ!
ほんで、読み始めていきなりビックリしたがやけんど、イントロからして昨年のデビュー作とまったく違うちょったがよ。
「大幅に加筆修正」っちゅう言葉はよう聞くけんど、まさかこればあ変わっちゅうたぁ思いもよらず、ビックリしたっちゅうわけながやき。
しかも、1年前に読んじゅうきに、実は読むつもりもない状態でペラペラと頁をめくりよったら、一気に引き込まれてしもうて、再び読破してしもうちょったがよ。
元々が、面白うて目が離せんなるミステリー小説やったがやけんど、さらに展開がスリリングになり、演出がドラマチックになり、こりゃあすぐに映像化の話がくるがやないかと思うたばあ、こぢゃんと面白かったがやき。
ほいたら、その内容やけんど、ネタバレせん程度にちくとご紹介さいていただきますぜよ。
まず簡単にアラスジをご紹介すりゃあ、世界一の日本酒といわれる烏丸酒造の純米大吟醸酒の原料となる山田錦の田んぼが、人質にとられるっちゅう話ながよ。
脅迫状が烏丸酒造に届き、見りゃあ一本100万円を超える純米大吟醸酒の元となる田の一角が枯らされちょったっちゅうんが、事件の発端やったがやき。
そんな酒蔵にボッチり居合わせた、主人公である「日本酒と食のジャーナリスト」山田葉子さんを中心にした個性豊かな面々が、複雑に絡み合う事件の真相をめぐり、密室の謎やアリバイ崩しらあに挑んでいくがよ。
もちろん山田葉子さんっちゅうんは、著者の奥さんである山本洋子さんがモデルながやき。
他にも、実在の人物である「獺祭」醸造元の旭酒造の桜井会長さんが登場したりと、日本酒ファンの気持ちをくすぐって飽きさせんがよ。
さらに、山田葉子さんらあが日本酒の原料や造り方らあについてを、何ちゃあ知らん警察の方に分かりやすう説明したり、また実際の酒造りシーンらあも随所に登場するき、日本酒について何ちゃあ知識のない方々が読んだち面白う読めるし、読了したら知らんうちに日本酒についての知識が獲得できちゅうっちゅう、一石二鳥の前代未聞の発酵醸造ミステリー小説ながやき!
特に、日本酒1升瓶1本を造るがに、どれっぱあの酒米が必要かっちゅうんを、主人公の葉子さんが説明するあたりは、まるで本物の洋子さんの講演を聴きゆうかのように秀逸ながよ。
田んぼ1坪、つまり畳2畳から、一般的な純米酒が1升瓶1本造れるっちゅうがやき。
さらに計算してみりゃあ、20歳以上の成人が1人1日1合の純米酒を飲みゃあ、それだっけで1万ヘクタールの田んぼが必要になるっちゅうがよ。
そりゃあちょうど、減反されゆう田んぼ分ながやき。
つまり、20歳以上の日本国民が、純米酒を1日1合飲みゃあ、減反が不要になるっちゅうことながよ!
また、ストーリーの中で登場する、一子相伝の秘伝「玉麹」の技についちゃあ、まっことそんな凄い技術が実在しちょったら、どんな日本酒が生まれるがやろうかと考えただっけで、まっことワクワクしてくるっちゅうもんながやき。
もしかしたら、一般の方が普通に本書を読んだら、「玉麹」が実在しちゅう秘技やと勘違いしてしまうかもしれんばあ、まっことリアルに描かれちょって、そんなあたりもこぢゃんと面白いがよ。
さらに、物語のクライマックスで主人公の葉子さんがアツうに語る、米に関する愛情あふれる言葉は、まさに至極の名言といえるがやき!
しかもその名シーンが、1年前のデビュー作よりか、さらにドラマチックに変更されちょって、一層の感動の名シーンにバージョンアップしちゅうがよ!
著者の奥さんである洋子さんが、実際に講演らあでよう語られゆうその言葉は、まっこと心に響いてグッとくるし、ワシらあ日本酒蔵元はみんなあ、心に留めちょくべきもんながやき。
その名言についちゃあ、あえてここじゃあ紹介は控えさいていただきますきに、知りたい方は是非本書をご購入くださいや!
山本薫著「山田錦の身代金」・・・日本酒ファンやったら必携の、日本酒初心者や飲んだこともないライトユーザーやち読んだらきっと日本酒が飲みとうなる、さらに昨年のデビュー作を読んじゅう方が再度読んだちこぢゃんと楽しめる、極上の日本酒エンターテインメントながぜよ!