「自然物としての人間は、決して孤立して生きられるようにゃあつくられちゃあせんぜよ。」(司馬遼太郎)
「竜馬がゆく」「燃えよ剣」「坂の上の雲」らあの人気歴史小説の著者として有名な、小説家・ノンフィクション作家・評論家、司馬遼太郎(1923〜1996)さんの言の葉ながやき。
この言の葉は、司馬さんが子供向けに書いた初の随筆で、大阪書籍「小学国語」に書き下ろした、「二十一世紀に生きる君たちへ」の中の一文ながよ。
「人間は孤立しちゃあ生きれん」っちゅう表現だっけやったら、よう聞くような言の葉やけんど、そこに「自然物としての」と、「決して〜つくられちゃあせん」っちゅう表現がプラスされることで、見事な司馬遼節になっちゅうがやき。
これらあの表現により、まず「人間も自然物なんや!」っちゅう、ある意味当たり前のことに気づかされるがよ。
自然物やっちゅうこたぁ、人間やち自然の摂理からは逃れられん、自然の一部なんやっちゅうことが実感されるがやき。
次に、「決して〜つくられちゃあせん」っちゅう表現からは、人間は勝手にたまたま生まれてきたわけやのうて、何か大いなる意思の元に「つくられた」存在やっちゅうようなニュアンスが含まれちゅうがよ。
この短い文章の中に、しかも「人間は孤立しちゃあ生きれん」っちゅうありふれた言の葉の中に、こればあ壮大なイメージを盛り込むことができるっちゅうんが、司馬遼太郎さんの司馬遼太郎たるゆえんながぜよ。