「優しさとは “人生にゃあ不可能なことがある” と知っちゅう大人だっけのもんぞね。」(塩野七生)
「ローマ人の物語」らあで知られる歴史作家・小説家、塩野七生(1937〜)さんの言の葉ながやき。
「人生にゃあ不可能なことがある」っちゅう言葉を聞いたら、若い頃やったら、何ちゅうつまらんマイナス思考の言葉を発する人やろかっちゅうて、反発を覚えたかもしれんがよ。
誰やち、「人生にゃあ不可能なことがある」らあて、そりゃ当たり前のこととして分かりきっちゅうことながやけんど、そんなマイナス思考の言葉をあえて発するっちゅうことが、若い頃にゃあ理解できんがやき。
けんど、ワシも来年にゃあ還暦を迎える年になり、「人生にゃあ不可能なことがある」っちゅう言葉の中に潜む限りない優しさに、気づけるようになったがよ。
「いけいけドンドン」の若い頃は、「人生にゃあ不可能なことがある」たぁ分かっちょったち、何でもできるような気になってしもうちょって、まあ言うたら、ちくとつけあがってしもうちゅうがやき。
つまり、すべてを包み込むような大きな優しさが足りんがよ。
そのことに腹の底から気づいて腑に落ちて初めて、真の優しさっちゅうもんを体得した、本当の大人の人間に成長することができるっちゅうことながぜよ。