「一生の間に一人の人間やち幸福にすることが出来りゃあ、自分の幸福ながぜよ。」(川端康成)
大正から昭和の戦前・戦後にかけて活躍した、近現代日本文学の頂点に立つ作家の一人で、1968年に日本人初のノーベル文学賞を受賞した小説家・文芸評論家、川端康成(1899〜1972)さんの言の葉ながやき。
人間、一生の間にどればあのことを成し遂げりゃあ幸福な一生やったと思えるろうかと考えたとき、よっぽどいろんなことを成し遂げにゃあいかんがやないろうかっちゅうて、考えてしまいがちながよ。
けんど、かの文豪川端康成さんが、これに対して明快に、単純な答えを用意してくださっちゅうがやき。
そりゃあ、「一生の間に一人の人間やち幸福にすることが出来りゃあ、それが自分の幸福になる」っちゅう答えながよ。
いろいろ、あれもこれもらあて考えたり、悩んだりする必要らあないがやき。
一生の間に一人、たった一人でえいき、幸福にすることさえ出来りゃあえいっちゅうがよ。
そう考えりゃあ、ちくと気が楽になるかもしれんけんど、実はこのたった一人の人間を幸福にすることやち、実はそれほど簡単なことやあないがやき。
けんどもし、それができりゃあ、つまりたった一人の人間だけでも幸福にすることが出来りゃあ、そりゃあまず大抵は一人にゃあとどまらんもんながよ。
おそらく結果としてまっとたくさんの人間を幸福にすることにつながるはずやし、何よりそれによって、自分も幸福になっちゅうがやき。
たった一人の人間を幸福にしょうとして成したことが、結果としちゃあたくさんの人間を幸福にすることにつながっちゅうっちゅうことながぜよ!