「おまさんの商品に、最大の不満を抱いちゅう顧客こそ、おまさんにとっちゃあ最高の学習源ぜよ。」(ビル・ゲイツ)
アメリカ合衆国の実業家で、かのマイクロソフト社の共同創業者であり元会長兼顧問、ビル・ゲイツ(1955〜)さんの言の葉ながやき。
いわゆるクレーマーは別として、おまさんの商いで扱いゆう商品やサービスに対して、いろいろ不満や問題点を伝えてくれるお客さんっちゅうんは、実は最高の学習源ながやき、こぢゃんと大切にせにゃあいかんがよ。
何でかっちゅうたら、まず第一に、ほとんどのお客さんはたとえ商品に不満を抱いたとしたち、それを伝えてくれることらあまずのうて、ただ無言で去るのみ……つまり、何ちゃあ言わんともう二度と買わんなるだけながやき。
それを、あえて伝えてくれるっちゅうことは、そこにゃあ愛があるっちゅうことやき、こぢゃんと有り難いことやと感謝せにゃあいかんがよ。
さらに第二に、お客さんの抱えちゅう不満や問題や悩みらあにこそ、実はイノベーションの種が潜んじゅうっちゅうことながやき。
今から数年前のことやけんど、当時スーパーで1杯あたり10〜20円ばあの価格でドリップコーヒーが売られよった時代に、ネスレ日本CEOの高岡さんはその5〜6倍もする価格の、1杯あたり60〜80円もするようなドリップコーヒーを新商品として発売したがやけんど、そこにゃあ勝算があったっちゅうがやき。
ひと昔前は、家族みんあで揃うて朝食にコーヒーを飲みよったけんど、近年は核家族化が進んで朝食も個別に食べることが増えたき、毎朝自分1人の1杯のコーヒーのためだっけにお湯を沸かすがは面倒やっちゅうて、思いはじめた人が増えてきちょったっちゅうがよ。
この「自分1人のためだっけにお湯を沸かすがは面倒」っちゅう、お客さんの抱えちゅう不満・問題に気づいて、それを解決するために新発売されたがが、カプセルを入れてボタンを押すだっけで美味しいドリップコーヒーが1杯分出てくるっちゅう、「ネスカフェ バリスタ」やったがやき。
今じゃあ当たり前やけんど、当時は画期的な新商品で、瞬く間に大ヒットとなったがよ。
つまり、お客さんにとってまだ解決してない問題や不満や悩みを見つけることが、自社にとってのイノベーションにつながり、しかもそんな不満や悩みを解決する商品を発売すりゃあ、相場の5倍の価格でやち売れるっちゅうことながやき。
そりゃあ、不満や問題を抱えちゅうお客さんが、チャンスの女神に見えてくるっちゅうもんながぜよ!