今回は、ワシが創始して立ち上げさいてもうた、日本酒を媒介とした「もうひとつの道」、「酒道 黒金流」ホームページ(https://shudo-kurogane.jp )の「門前編 其の弐」に、新しいコンテンツとして「日本料理とは?そして日本料理の可能性、日本酒の可能性」を、6月25日にアップさいていただきましたきに、動画も文章も無料で観ることができますき、是非たくさんの皆さんにご覧いただきたいがよ。
1ヶ月前の前回コンテンツは、「和食」をテーマにお届けいたしましたけんど、今回は「日本料理」がテーマながやき。
「和食」と「日本料理」の違いは何かっちゅうたら、家庭食を中心とした日本の伝統的な食文化全般を「和食」というて、料理店で提供される高度な技術を要する料理を「日本料理」っちゅう言い方がふさわしいと考えられちゅうようながよ。
ちなみに「日本食」っちゅう言い方もあるけんど、こちらは日本で食べられゆう食事全般の総称で、ラーメンやカレーらあの外来食も含まれるがやき。
そんな中で今回は、料理店で提供される高度な技術を要する料理である「日本料理」について、「日本料理とは?そして日本料理の可能性、日本酒の可能性」っちゅうタイトルでお届けし、日本酒についても言及してみたいと思いますきに、そのあたりについて興味を持たれちゅう皆さんにゃあ、特にご覧いただきたい内容ながよ。
https://shudo-kurogane.jp/shudo/gate02/gate02_16.html
【最古の日本料理とは?】
「日本料理とは?」を解説するにあたって、まずは全国日本調理技能士会連合会師範会最高顧問であり、日本料理の歴史を系統だてて語れる数少ない語り部の料理家、阿部孤柳(1925年〜2010年)氏の著書「日本料理の真髄」(阿部孤柳 著 講談社+α新書 2006年8月20日発行 838円+税)を、ご紹介さいていただきますぜよ。
阿部氏はこの書籍の中で、まず「最古の日本料理」を紹介されちゅうがやき。
「古事記」や「日本書紀」と同じ頃に書かれた「高橋氏文(うじぶみ)」っちゅう祝詞(のりと)の中に、次のように記されちゅうらしいがよ。
「十二代景行天皇が日本武尊の戦跡を訪ねられた折に、料理人として随行した磐鹿六雁命(いわかむつかりのみこと)が上総の国淡水門(あわみなと)で、海中からハマグリとカツオを獲って、なますにして天皇に奉った」とのことで、これが日本最古の調理法の文献とされちゅうがやき。
近世に醤油ができるまでは生の魚はすべて「なます」にして食べよったそうで、刺身の前身ともいえるがよ。
古代の「なます」は、生の魚肉を細う薄う切り、海の塩と天然の柑橘類の搾り汁や梅酢で食べよったようで、これが刺身の原形やと考えられちゅうがやき。
ところで土佐の高知は、日本一カツオをよう食べる県で、さらに「酢みかん」と称して柑橘類の搾り汁を酢として多用する独特の食文化が根付いちょって、カツオにも搾りかけることが多いけんど、こりゃあある意味、最古の日本料理の流れを汲んだ食材や調理法がそのまんま残っちゅうもんやといえるがよ!
【日本料理の「素材の持ち味」、「単味」、「返り味」】
また阿部氏は、日本人はおいしいもんを探し、その持ち味を味わうことを第一としてきたと書かれちゅうがやき。
まずいもんをうもう調理して食べようたぁせんかったっちゅうがよ。
一方、外国の料理はどんな素材やち、できるだっけうまいこと加工して食べることを目的として発展してきちゅうがやき。
そこが日本人の料理に対する考え方と大きゅう違うところやと語られちゅうがよ。
つまり日本料理の原則は、「素材の持ち味以上においしゅうせん」ことで、それが素材をいかにうもうして食べるかを追求した中国料理や西洋料理との根本的な違いになったと書かれちゅうがやき。
日本人は、豆腐に醤油をちょっとつけて食べ、「えい大豆を使うちゅうきおいしい」らあっちゅうて、豆腐の味を「単味」で味わうがよ。
白い豆腐や味つけのされてない白いご飯をおいしいっちゅうがは、日本人だっけが持つ「単味」の味覚であり、素材そのもんを「単味」で味わう能力を日本人は持っちゅうがやと、阿部氏は語るがやき。
けんど現在は、素材は何であれ、濃厚でうまい味にしょうと考える人が多うなってきたっちゅうて、阿部氏は嘆くがよ。
さらに阿部氏は、近頃吸い物を半分飲んで蓋をする人が増えたっちゅうて、つまり吸い物がうまいと思えん人が増えたっちゅうて嘆くがやき。
こりゃあ、「返り味」っちゅうもんを知らんからやっちゅうがよ。
吸い物は日本料理の中で、食べる人に季節感を教える重要なもんやけんど、口をつけて吸うた瞬間に味が分かるもんやないがやき。
いったん胃袋に納まってから、ゆっくりと脳に刺激が伝わり、再び口に戻んてきて「うまい」と感じるもんながよ。
「返り味」たぁこういう味のことをいうがやき。
一口吸うた瞬間にゃあ物足りんように感じるけんど、全部吸い上げたときに、はじめてちょうどえい味になるように仕立てちゅうきに、一口すすって「うまい!」と絶賛するラーメンのスープたぁ違うがよ。
本物の吸い物たぁ、一口吸うただけじゃあ味がせんもんながやき。
ところで日本酒も、近年は甘うて濃い味わいのもんが増えちょって、そんな日本酒が人気を博しちゅうがよ。
かつては、いわゆる「甘口の酒」であったち、人がもっとも強い甘さを感じるグルコース(ブドウ糖)以外に、ほの甘さを感じるオリゴ糖やデキストリンらあも含まれちょったけんど、近年は、高グルコ菌っちゅう麹を使うたり、酵素剤を使うたりすることで、オリゴ糖やデキストリンもほとんどグルコースに変えてしもうて、かつての甘口酒の比やないばあ、こぢゃんと強い甘味を持ったグルコース濃度が極めて高いタイプが増えちゅうがやき。
その理由は、グルコース濃度が高い日本酒の方が、コンテストらあで入賞しやすいことと、これまで日本酒が苦手やった若い方々らあにも、一口飲んで「うまい!」と絶賛されるきながよ。
確かに、グルコース濃度の高い日本酒は、若者の入門酒としちゃあ最適やろうし、「濃厚でうまい味の料理」らあにゃあ合うかもしれんがやき。
けんど、日本料理を代表する会席料理においてのメインディッシュである「椀刺し」、つまり刺身と吸い物にゃあ、グルコース濃度の高い日本酒じゃあ、その繊細な味わいを台無しにしてしまうがよ。
本来、酒の相手をする肴であるはずの「椀刺し」に、合わん日本酒が近年は増えちょって、人気を博しちょって、「うまい!」と絶賛されよって、コンテストでも賞を獲りまくりゆう…。
グルコース濃度が高い日本酒を否定するつもりはないけんど、もしそんな日本酒だらけになってしもうたら、吸い物の返り味のおいしさも、日本人の持っちゅう単味を味わう能力も、素材の持ち味を引き出すっちゅう日本料理の原則も、廃れてしまうがやないろうか。
これらあの日本料理の素晴らしさを守り、次世代につなげていくためにも、「酒道 黒金流」じゃあ、一口飲んだだけやと物足りのうたち、食材の素材そのもんのおいしさを下から押し上げ引き立て、食がおいしゅうなり、ついつい杯が進むっちゅう、辛口酒の王道のおいしさを伝え広げていこうとしゆうがやき!
この後もさらに、 【日本料理の旬、日本酒の旬】、【日本料理は抽き算の料理、日本酒は抽き算の酒】、 【“饗(あえ)”という概念】、 【「日本料理 龍吟」山本征治氏の「日本料理とは?」、そして「日本料理の可能性」】っちゅう、こぢゃんと興味深いネタが目白押しやき、このあたりについてまっと詳しゅう知りたい方は下記をクリックし、YouTube動画やPDF原稿を、是非是非ご覧いただきたいがぜよ。
https://shudo-kurogane.jp/shudo/gate02/gate02_16.html
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