2022年08月29日

馬場啓一氏の新著「毀誉褒貶 だから魯山人」はこぢゃんと面白いぜよ!

今回は、久々のお薦め書籍で、ワシの憧れの存在でもあるダンディーな文筆家、馬場啓一さんの新著「毀誉褒貶 だから魯山人」(馬場啓一 著 夏目書房新社 令和4年7月23日発行 2500円+税)を、ご紹介さいていただきますぜよ。
写真1 毀誉褒貶 だから魯山人

ちなみに馬場さんは、東京で開催された司牡丹のお酒の会らあで、何度かご一緒さいていただいたことがあり、またかなり昔になるけんど、ジャズ雑誌「Swing journal」の馬場さんの連載コーナー、「JAZZ VIP ROOM」にて対談さいてもうたこともあるがやき。







馬場さんは、ミステリ、ジャズ、映画、酒、ファッションっちゅう幅広いジャンルに造詣が深うて、そんな分野のエッセイを手がけらるほか、小説も執筆されるっちゅう文筆家であり、何ちゅうたちダンディーでカッコえいき、憧れの先輩っちゅうイメージを、ワシゃあ勝手に抱かいてもうちゅうがよ。
写真2  毀誉褒貶 だから魯山人2

これまでに、ジャズ・ミステリー・酒についてや、白洲次郎さんや池波正太郎さんについての著書らあを執筆されてこられた、そんな馬場さんの新著が、今回はかの北大路魯山人さんやっちゅうがやき、こりゃあまっこと楽しみやったがやき。







しかも、さすがは馬場さんっちゅう感じの、ご覧のとおりのちくと凝った、カッコえい装丁の書籍になっちょって、この書籍を眺めたり、手にして愛でたりするだっけで、ワクワクしてくるっちゅうもんながよ!
写真3  毀誉褒貶 だから魯山人3

ほいたら早速、その内容についてをちくとご紹介さいていただきますぜよ。


魯山人さんに関する書籍は、これまでにワシも何冊か読んだことがあるけんど、それらあは魯山人さんの料理に関する書籍やって、今回の馬場さんの新著は、「魯山人の人間観」「魯山人の誕生」「魯山人の性格」「魯山人の才能」「魯山人昇天」「その後」っちゅう具合に多岐にわたり、北大路魯山人っちゅう人間そのものを炙り出しちょって、まっことこぢゃんと面白かったがやき。


まず、魯山人さんがその才能を最初に開花さいたがは、二十歳そこそこのときに大日本書道展に入賞し、第二位を獲得(一位は空席のため実質一位)するっちゅう、華々しいデビューやったっちゅうがよ。


学歴ものうて、これっちゅう師にも就かんと、人一倍の努力っちゅう全くの自力のみで、この高みに到達したっちゅう事実が、その後の魯山人さんに強烈な自負と自信を与えたことやろうっちゅうがやき。


ちなみにこの入賞の作品「千字文」は、時の宮内大臣田中光顕さんのお買い上げとなったと書かれちょって、田中光顕伯爵といやあ、我が町佐川町出身の偉人で、司牡丹の命名者でもあるきに、ちくと縁を感じさいてもうたがよ。


さて、著者の馬場さんは、魯山人っちゅう不思議で厄介な人格を解き明かすカギは、学校における同級生同士の、「ワシおまん」っちゅう深い気脈の通じ合いを有する知己を持たんと、師との上下関係も形式的にゃあ経験せんかった魯山人さんにとっちゃあ、出会う人間の全てが警戒心を抱いて接する必要のあるもんやったっちゅう点にあるっちゅうがやき。


誰が敵か、味方か、わからんし、そもそも世の中に味方らあておる筈もないっちゅうんが、魯山人さんの人間観やなかっつろうかっちゅうがよ。


ほんじゃき、「要するに、おまんとワシ、どっちが偉いがぜよ?」っちゅうんが、魯山人さんの土壌にあり定理となっちゅうっちゅうがやき。


最初から強う出て、先手必勝で、勝てる相手としか喧嘩をせんし、ひと目で自分より弱いと踏みゃあ、コテンパンにやっつけて戦意を奪う……動物と一緒やっちゅうがよ。


後にパリまで出向いて、かのピカソさんに会うた際に、魯山人さんはまったく敬意を払わんと、バカにしたっちゅうこともあるっちゅうがやき。


そんな魯山人さんやに、大磯の吉田茂さんに会うた際にゃあ、さすがにコチコチになって、帰り際に靴を左右間違えて履こうとしてしもうたっちゅうがよ。


吉田茂さんといやあ、高知県出身の総理大臣であり、司牡丹を愛飲された方やきに、ここでもまたちっくと縁を感じさいてもうたがやき。


さて、魯山人さんは書家から入り、篆刻家として身を立てよった頃、金沢の油屋で土地の素封家、細野燕台さんの家に1ヶ月ばあ居候したっちゅうことが、その後の方向性を決定付けたっちゅうがよ。


ここで魯山人さんは、居候の負い目引け目を解消させるために、細野一家の三度の食事を作り、彼らあをこぢゃんと満足さいたっちゅうがやき。


さらに、漢学に詳しゅうて書画骨董にも造詣が深かった燕台さんは、茶人としても鳴らし、魯山人さんに大きな影響を与えたっちゅうがよ。


燕台さんは、古来の名品から今出来のもんまで、数多くの酒器や食器を所有しちょって、それらあを惜しげものう魯山人さんに見せたっちゅうがやき。


今出来のもんっちゅうんは、他でもない燕台さん自身が作った酒器や食器やったっちゅうがよ。


細野家に窯があったわけやのうて、これらあは全て加賀山代の陶芸家須田菁華さんに注文し、職人に轆轤をひかいて出来上がったもんで、これらあに自ら絵付けして焼いたもんやったっちゅうがやき。


自分好みの食器を、自分で作り上げる満足に目覚め、そして面倒な下ごしらえは職人に任せりゃあ済むんやっちゅう発見に瞠目し、さらにゃあ自分でこしらえた食器に自分で作った料理を乗せて提供する喜びにも、こん時に気づいたがやないかっちゅうがよ。


ほんで、後に論議の元となる、魯山人は自分で轆轤をひかんき真の陶芸家たぁ言えんっちゅう批判も、その根源はここにあるっちゅうがやき。


著者の馬場さんは、もっとも現在じゃあ、答えはハッキリしちゅうっちゅうがよ。


確かにそうやったとしても、そのことが陶芸品としての価値を損なうもんやない、自らが手掛けちゅう以上、北大路魯山人さんの作品は真価を失わんっちゅう見方に落ち着いちゅうっちゅうがやき。


すなわち、下ごしらえっちゅう感じで職人が轆轤を回して作ったもんやち、それを魯山人さんは丹念に、しかし一瞬のもとに性根を見極め、それに沿うてカタチを整えたっちゅうがよ。


同じ窯でこしらえて、同じように形成されたもんやち、魯山人さんの物真似作品は、当の魯山人さんの手になるもんたぁ雲泥の違いを見せたっちゅうがやき。


オリジナリティとか個性とよばれるもんが、これであり、そしてそれこそが芸術の本質に他ならん、魯山人さんが手を加えりゃあ土は息を吹き返したっちゅうて、馬場さんは語られちゅうがよ。


その後、魯山人さんは大正14年に、かの有名な会員制の美食倶楽部、「星岡茶寮」を開店させるがやき。


さらに開業の2年後、北鎌倉の自宅近く山崎の地に、「星岡窯」を開くがよ。


これまでの人類の歴史において、自分でこしらえた料理を供するために、ただその一つの目的のために陶芸の窯を開いた人間はおらん、そしておそらくこれからもおらんやろうと、馬場さんは強調されるがやき。


また、魯山人伝説のハイライトとも呼ぶべき、パリのトゥール・ダルジャンの鴨料理を、日本から持ち込んだ粉ワサビと醤油で食べたっちゅう武勇伝も、馬場さん独自の切り口で紹介されちゅうがよ。


トゥール・ダルジャンの創業は1582年やき、魯山人さんが訪問した際にゃあ創業から370年ばあ経っちゅう老舗中の老舗の名店であり、そんな店でこういう振る舞いをした人間はおらんし、今後もおらんやろう、魯山人さんにして可能な所業やっちゅうがやき。


傍若無人と言やあそれまでやけんど、たとえば番号付きで出された鴨が実は見せるためだっけのもんで、肝心の料理は奥で成されよったらあっちゅうことを、魯山人さんはしっかり看破しちゅうっちゅうがよ。


また、日本でロクなもんを食べてない日本人が、フランスで初めてありついた西洋料理を有り難がるがは当然で、それを真に受けて、人々がフランス料理を持ち上げるがはおかしいっちゅう魯山人さんの言葉を取り上げ、馬場さんは「一理ありますね。評価の基準の問題。」っちゅうて、語られちゅうがやき。


さらにゃあ、フランス料理店自体の問題として、魯山人さんは、その素材の程度の低さ、水の悪さ、十年一日のその料理技術の停滞、チープな器に粗野なボーイなどなど、苦々しゅう指摘しちゅうっちゅうがよ。


魯山人さんにゃあ、伝統と評判の上に胡座をかいたフランス料理と料理屋が、無性に腹立たしいもんに映り、我慢ならんかったがやろうと、馬場さんは語られちゅうがやき。


ほんで、このご著書のラストを、以下のように締め括られちゅうがよ。


「魯山人の体内にゃあ毒が含まれちょった。河豚がそうであるように。けんどそれを知ったち、心ある人は魯山人を褒めたがやき。
短い付き合いで終わった人も多いけんど、長う付き合いをした人も、又おったがよ。魯山人を認めて、の事ながよ。
このように魯山人にゃあ、始めっから毀誉褒貶が備わっちょったがやき。
大いに褒められ、絶賛され、同時に大いに人々から悪口を浴び、低められた魯山人。
文字通り毀誉褒貶である。
本書を『毀誉褒貶 だから魯山』と銘打ったがは以上の理由によるがぜよ。」


さらに「あとがき」にゃあ、次のとおり書かれちゅうがよ。


「魯山人のような破天荒な男は、そうおらん。軌跡を追うがは、ほんじゃき楽しかった。読んで面白うなかったら、そりゃあ書き手の責任ながやき。」


馬場さん!魯山人さんの一生をリアルに追体験さいてもうたようで、まっこと面白かったがよ!


魯山人さん自身の破天荒な面白さももちろんやけんど、馬場さんの名ナビゲートのお陰で、より一層面白う読み進めさいていただき、終盤に近づくにつれ、「まだ終わらんとってほしい!まっと読みたい!」っちゅう気持ちがドンドン強うなっていき、読破した際にゃあちくと「魯山人ロス」になってしもうたばあながやき。


「毀誉褒貶 だから魯山人」……こぢゃんとお薦めさいていただきますぜよ!


















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Posted by tsukasabotan at 09:22│Comments(1)
この記事へのコメント
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Posted by AqsHiemn at 2022年08月29日 23:07