「桜がひとつ 花をつけただっけで 寒うて厳しい冬を乗り越えたがよ 人間の心が 明るうなるぜよ」(祖父江省念)
幼時から浄土真宗の節談(ふしだん)説教僧として修業をつみ、独特の節回しで親鸞上人の一代記らあを語り、最盛期にゃあ年間400回におよぶ説教の会を開いた僧侶、祖父江省念(1908〜1996)さんの言の葉ながやき。
桜は植物やき、何ちゃあ一言も語るこたぁできんし、その場所から動くことすらできんがよ。
けんど、そんな桜の蕾がほころび、たったひとつやち花が開いただっけで、寒うて厳しい冬を乗り越えて花を開かせたっちゅう事実を、ワシらあ人間に雄弁に伝えてくれるがやき。
ほんでさらに、ワシらあの心を明るうしてくれるがよ。
一言も語らいじゃち、その場から動くことすらできいじゃち、人の心を明るうするこたぁできるっちゅうこの事実は、何ちゅう凄いことじゃろか!
ワシらあ人間も、そんな桜を、まっこと見習いたいもんながぜよ!